【ライヴアルバム傑作選 Vol.10】
アリスの偉大さを実感できる
『栄光への脱出〜武道館ライヴ』
https://okmusic.jp/news/371217
日本人初の武道館3日間公演を収録
そして、その日本武道館公演。ライヴ収録された8月29日、30日に加えて、翌々日の9月1日にも開催されている。日本武道館3日間公演というのは当時、日本人アーティストとしては初めてのことで、快挙だったと言える。そのわずか1カ月余りで発売された『栄光への脱出〜』も当然のことながらチャート1位を獲得する。同年12月にはシングル「チャンピオン(King of Kings)」をリリース。アリス史上、初めてシングル曲でチャート1位となった。『ザ・ベストテン』でも1位となって、完全にその人気をお茶の間にも広げたと言える。アルバム作品では、以降、7th『ALICE VII』(1979年)、8th『ALICE VIII』(1980年)と、4作品連続で1位となった上、今回調べて分かったことだが、カセットのみで発売されていた(らしい)『BEST NOW』(1977年)、『best10』(1978年)も1位となっていたようである。1978年、アリスは音楽シーンのトップを走っていたのだ。
アリス自体の盛り上がりもさることながら、この1978年下半期頃から音楽シーンの状況も変化している。いわゆるニューミュージックが台頭してきたのも同時期だ。1977年頃までは、年間シングルチャートにおいては演歌、アイドルが上位を占めていたが、この1978年を境に顔触れが変わっていく。トップ20にアリスの他、世良公則&ツイスト、サザンオールスターズの名前も見えるし、1979年になるとそれに加えて、ゴダイゴ、甲斐バンド、桑名正博、松山千春などもヒット曲を送り出している。ちなみに、アルバムチャートでは1975年から井上陽水、荒井由実らの作品は年間売上で上位にランクインされていたので、ニューミュージックの台頭の始まりは1970年代半ばだったと言えるが、シングルチャートでもプレイヤーがチェンジし始めたのは1970年代後半であり、データを振り返る限り、アリスがその先陣を切ったアーティストだったというのは大袈裟な物言いでも偏った見方でもなかろう。
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