Every Little Thingが
時代に即した要素を過不足なく
楽曲に詰め込んだ大ヒット作
『Time to Destination』

『Time to Destination』(’98)/Every Little Thing

『Time to Destination』(’98)/Every Little Thing

3月15日(金)より持田香織のソロ活動10周年を記念した全国ツアー『KRASYS presents 持田香織10周年記念コンサートツアー2019「てんとてん」』が開催される。というわけで、今週はEvery Little Thingの2ndアルバム『Time to Destination』をご紹介。アルバムセールス歴代第10位。邦楽史にその名を残す大ヒット作である。

1998年に最も売れたオリジナルアルバム

冒頭から個人的な話で申し訳ないが、まずEvery Little Thing(以下ELT)で思い出したことをひとつ。あれは1999年か、その前後だったと思う。確かヴォーカルコンテストだったと記憶しているが、筆者がその審査員のひとりに招かれたことがあった。公開イベントではあったが、ライヴハウスを運営する会社の主催イベントで、自社のレーベルからデビューさせる新人発掘の意味合いもあったのだろう。出場者のほとんどが10代女子だったようにも記憶している。今となっては誰が優勝したとかまったく思い出せないが(当時そんなコンテストはいっぱいあって、審査員を任されることも多かったし、その中で記憶に残るような強烈な個性に出会うことがなかったのは残念でもあるのだが)、そのヴォーカルコンテストではとにかくELTのナンバーを歌う出場者が多かった。出場者が次から次へと「Time goes by」や「fragile」を歌うので(曲目ははっきり覚えてないので適当です)、かなり食傷気味だったほどだ。司会を務めた人物も同じように感じたのか、“さすがにEveryだけありますねぇ”みたいなことを言っていた。若干半笑いだったような気もする。まぁ、だからこそ余計に記憶に残っているのだけれど、ELTにさほど興味のなかった自分ですら、このグループが10代を中心に絶大な人気を誇っていることを実感させられた出来事ではあった。

ELTは1998年の年間売上金額第3位のアーティスト。同年に発表された2ndアルバム『Time to Destination』は、これまた年間売上第3位であったが、第1位と第2位はB'zのベスト盤『B'z The Best "Pleasure"』『B'z The Best "Treasure"』であったのだから、この年のオリジナルアルバムで最も売れたのがELT『Time to Destination』であった。気になって少し調べてみたら、『Time to Destination』の売上は歴代でもトップ10に入る作品(歴代11位という説もある。いずれにせよ、相当に売り上げたアルバムであることは間違いない)。ELT自体のアルバム、シングルを合わせた売上も、邦楽アーティストの歴代ベスト25には入るほどなので、そんなグループを指して“10代を中心に絶大な人気を誇っていることを実感”とは、読者に皆さんにとってはそれこそ笑い話だろうが、あくまでも前世紀における個人的な感想だったことをご理解いただきたい。


アルバム『Time to Destination』収録曲は、M1「For the moment」(4thシングル)、M3「Face the change」(7th)、M8「出逢った頃のように」(5th)、M9「Shapes Of Love」(6th)、M11「Time goes by」(8th)と、全11曲中5曲がシングル。M4「Old Dreams (Instrumental)」は短いインストなので、実質は半分が既発曲で、M3とM11はシングルとはアレンジが異なっているものの、準ベスト盤といった容姿ではある。M1がELTの初のチャート1位獲得シングルで、M11が初のミリオン作品であり、アルバム『Time to Destination』はそのELT最大売上を記録したシングル「Time goes by」のわずか2カ月後に発売されたものだ。なるほど。その概要だけでも売れる要素は揃っている。

もっと言えば、本作が発売された1998年はCD販売枚数がピークを迎えた年でもある。この年は実に25作ものアルバムがミリオンセールスを記録している。所謂“CDバブル”の絶頂期であったことも本作の売上を後押ししたのであろう。もちろん、それだけで300万枚を軽く超えるような奇跡が起こるわけではなく、『Time to Destination』にはそれだけ多くの人を魅了するだけの成分が入っていることは疑うべきもない。そんなわけで、今回初めて『Time to Destination』を聴いた。1998年当時、ELTに対する認識が“10代を中心に絶大な人気を誇るグループ”くらいだったので、能動的に聴いたのはもちろんこれが初めてだ。…なるほど。確かにこれは当時の若い子たちに支持されただろうなぁとは思う。半可通ながら辛うじてそれは理解できた。以下、その理由を記す。

OKMusic編集部

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