DEAD ENDのメジャーデビュー作
『GHOST OF ROMANCE』で
不世出のギタリスト、
足立“YOU”祐二の
非凡なプレイを堪能

『GHOST OF ROMANCE』('87)/DEAD END
https://okmusic.jp/news/63832
掛け持ちでDEAD ENDに参加
伝え聞くところによると、そのメンバーチェンジもなかなか異例だったようだ。前ギタリスト脱退は全国ツアーの直後。しかも、それはDEAD ENDがインディーズでリリースした1stアルバム『DEAD LINE』(1986年)のレコーディング完了前でもあったという。バッキングのギターは大半を取り終えていたというが、ギターソロはほとんどが手付かずのまま。全8曲中7曲は脱退した前ギタリストが作曲したものである。そんな状態で脱退しなければならなかったというのは断腸の思いであったことだろうし、そこでの精神状態は如何ばかりだったであろうかと慮られるところではあるけれども、あとを任せられたメンバーも筆舌に尽くし難い状況であったことだろう。修羅場というよりは、ほぼ愁嘆場だったと言ってよかろう。そんな状況下で、YOUは残っていたバッキング数曲と、ギターソロのほとんどを弾いた。彼の加入の経緯や、その後のレコーディング期間がどの程度あったのかは分からないが、件の全国ツアーが1986年3月から4月にかけてで、『DEAD LINE』の発売が同年6月30日であったという記録が残っているから、アルバムをプレスする期間を除けば、多く見積もって2カ月間、いや1カ月半といったところだったであろう。自分の作った曲であるならば不可能ではなかろうが、他人の作った曲で、しかもすでにほぼバッキングを取り終えたものの上に乗せるソロを短期間で考えてプレイするというのは、楽器を弾かない立場からしても凄まじいまでに困難な作業であることは想像できる。さらに言えば、インディーズの頃のDEAD ENDの音楽ジャンルは所謂HR/HMである。ギターソロは長めだし、速弾きもあるので、そこにソロを後乗せするなんて芸当はほとんど“曲芸か!?”って話である。YOUはそこをやり切った。
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