『TRANSIT』のデビュー作らしい
多彩さに垣間見る
女性シンガーソングライター、
泰葉の輝きと意欲

『TRANSIT』('81)/泰葉
落語一族に生まれた
シンガーソングライター
この度その第一弾として、泰葉を始めとして、俗に言うシティポップの名盤全25タイトルを復刻リリースした『<CITY POP Selections> by UNIVERSAL MUSIC』。その『TRANSIT』の商品紹介はこんな文章で始まる。[ロサンゼルスの若者たち2000人が「フライディ・チャイナタウン」をクラブで大熱唱するなど、世界を席巻しているシティ・ポップに新たな旋風を巻き起こしている泰葉の1st アルバム](当該サイトより引用)。“ロサンゼルスの若者たち”というのが何とも時代がかっていて気になるところではあるけれど、同曲を知る者としては、2000人が大熱唱はあながち惹句のための誇張でもない…というか、“それはそうでしょう!”と思わず膝を打つところではある。この楽曲にはまさに世界を席巻するだけの成分が含まれている。どこの誰であろうと、これを聴いたら自然と心と身体が躍る。間違いなく、そういうナンバーである。『TRANSIT』はB面2曲目、全体での7曲目という中盤に置かれているのだが、今回はまずこの不朽の名曲と言っていい「フライディ・チャイナタウン」から解説していきたいと思う。