『不死身のタイマーズ』は
邦ロック史の焚書か? 死海文書か?
 これは聴いてはいけないアルバム。
聴くな! 絶対に聴くなよ!

『不死身のタイマーズ』('95)/THE TIMERS

『不死身のタイマーズ』('95)/THE TIMERS

昨年10月にCDリリースされた三宅伸治&The Red Rocksの『Red Thanks』。8月3日、その待望のLP盤が発売された。ということで、今週は三宅伸治に似たTOPPIなる人物がギターを弾いていたTHE TIMERSの作品を取り上げよう。2015年秋の『TIMERS』を紹介して以来、2度目のTHE TIMERSである。三宅伸治と言えば、今年の『FUJI ROCK FESTIVAL』で、そのThe Red Rocksに加えて、木村充揮ロックンロールバンドのギタリストとしても参加していた。そんなわけでまずはそのフジロックの話から書き始めてみる。
■『TIMERS』/THE TIMERS
https://okmusic.jp/news/95386

“ミスター・フジロック”忌野清志郎

『FUJI ROCK FESTIVAL '22』での鈴木雅之のステージをYouTubeで拝見した。「違う、そうじゃない」「恋人」「ガラス越しに消えた夏」といったナンバーに加え、シャネルズ~ラッツ&スターの盟友である桑野信義と佐藤善雄を招いて「ランナウェイ」や「め組のひと」までも披露。多くの人が知るヒット曲を有しているベテランアーティストというのはホントに強い。YouTubeで観る限りでも会場内が大いに盛り上がっていることがよく分かったし、入場規制もかかったと聞く。RCサクセションのカバー曲「スロー・バラード」を歌ったことも話題となっていた。アルバム『DISCOVER JAPAN III 〜the voice with manners〜』(2017年)でカバーして以降、自身のコンサートでも披露していたナンバー。生前に何度も『FUJI ROCK FESTIVAL』(以下、フジロック)のステージを踏んだ忌野清志郎への敬意を表す楽曲としてもナイスな選曲であった。この辺もさすがに百戦錬磨のベテランである。抜かりがあろうはずもない。ちなみに、この鈴木雅之が出演した前日、T字路sも同じ「スローバラード」をカバーしていた。これは全てを観ることができず、短い動画を拝見しただけなのだが、その短い動画を観るだけでも熱演と呼ぶに相応しいパフォーマンスであることが分かった。彼女らもまた素晴らしい。

鈴木雅之やT字路s以外にもRCサクセションや忌野清志郎関連楽曲をカバーしたアーティストがいたかもしれない。その辺は割愛させてもらうが、このコタツ記事を書くために『フジロック』と忌野清志郎との関係をちらりとネットで検索しただけでも、その結び付きの強さが伺い知れた。清志郎のことを“ザ・キング・オブ・フジロック”と言っている記事も見かけた。“ザ・キング・オブ・ロック”と呼ばれていたのは知っていたが、“フジ”も付くとは知らなかった。“ミスター・フジロック”といった呼び名もあった。さぞかし清志郎は『フジロック』に貢献したのかと思いきや──例えば、フジロック皆勤賞だとか、日本人アーティストとしてヘッドライナーの数が最多だったとか──どうやらそういうことでもないらしい。調べたところ、1998年の第2回からソロ、バンド、ユニットとあらゆる形態で何度も出演しているものの、氏が同フェスのヘッドライナーを務めた…といったことはないようである。2008年に大トリを予定していたそうだが、残念ながら病気のためにキャンセルされている。無論、皆勤でもなかった。

そうした記録的なことよりも、『フジロック』が現在の新潟県苗場スキー場に会場を移した年、1999年に、清志郎の「田舎へ行こう! Going Up The Country」が公式テーマソングになった…というようなことが大きいようである。行ったことがないので知らなかったけれど、その「田舎へ~」は会期中、毎朝グリーンステージで流れているそうで、『フジロック』来訪者には馴染み深いものであって、気分を盛り上げてくれる定番曲らしい。なくてはならないものと言ってもいいかもしれない。なるほど。記録よりも記憶といったところか。清志郎が逝去した2009年には有志による忌野清志郎スペシャル・メッセージ・オーケストラが結成されたり、2021年には忌野清志郎 Rock'n'Roll FOREVER with ROUTE17 Rock'n'Roll ORCHESTRA feat.仲井戸麗市が出演したりと、没後もその存在が忘れられることはない。今年の鈴木雅之やT字路sのように来年以降も清志郎へオマージュを捧げるアーティストは出てくることだろう。 “ザ・キング・オブ・ロック”は、夏になると“ザ・キング・オブ・フジロック”、“ミスター・フジロック”と称号を代えて、世代を貫いてロック好きの記憶にますます刻まれていくに違いない。

OKMusic編集部

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