GAUZEのスリリングなサウンドが
真っ直ぐに飛んでくる
日本ハードコアパンクの傑作
『EQUALIZING DISTORT』

『EQUALIZING DISTORT』('86)/GAUZE

『EQUALIZING DISTORT』('86)/GAUZE

今週は日本のハードコアパンクの先駆けとして、海外でも知られるバンド、GAUZEを取り上げる。1981年結成。40年以上の長きに渡って活動を続けてきたが、昨年11月26日、事前告知なしで、招待者のみによるライヴを開催したその翌日、公式Twitterで解散が発表された。メンバーの体調不良というのがその理由のようで、今も彼らの解散を惜しむこえは国内外で散見される。解散から1年を前に、そんなGAUZEの代表作である『EQUALIZING DISTORT』を聴いてみた。

担当編集者お薦めの作品

今回は楽屋落ちがだいぶ含まれることを読者の皆様にご容赦願いたい。ありがたいことに、と言うべきであろう。当コラムで取り上げるアルバム作品のチョイスは、筆者の独断で決めさせてもらっている。もちろん担当編集者からは“あのバンドならこっちもありですよ”くらいの助言はあるし、何か突発的なでき事があった時などはそれに関連づけて“今週は○○でしょうね”と連絡があることはある。だが、それ以外の平場で、“この人は止めておきましょう”などと言われたことはない。まったくなかったと言い切ってもいいと思う。そればかりか、コーナー内コーナーである【独断による偏愛名作】の立ち上げたいと提案した際にも、“いいですよ”とふたつ返事でOKしてくれた。当コラム担当編集者は、こちらの企てにほぼ口を挟まず、スムーズに仕事をさせてくれる、何とも懐の深いは人物なのである。ただ、そんな氏も時折、自己主張をかましてくることがある。それは主にアーティストのインタビュー取材の前後のことが多いのだが、“これを…”と、黒地に赤いショップ名が入った某中古レコード店の袋を渡される。中身はCDが4、5枚。それを見てこちらが“あらぁ…よくこんなの手に入れましたね”なんて返そうものなら、誇らしげな笑みを見せる。本当に音楽が好きな人だ。OKMusicはそんな人が手掛けている音楽媒体である。筆者の駄文はともかくとして、音楽好きの読者の皆様においては信頼していいサイトではないかと思う。

GAUZEの2ndアルバム『EQUALIZING DISTORT』は、そんな担当編集者が笑みを湛えて渡してきたもののひとつである。預かったのは少し前のことだった。いつ取り上げようかとタイミングを計っていたのだけれど、みなさんもご承知の通り、今年は訃報が相次いだこともあって、なかなか本作を取り上げる機会がないままにここまで来た。下手すると、そのまま失念していたかもしれない恐れもあった。ところが、ある日、ボケっとInstagramを眺めていると、その担当編集者のポストが流れてきた。K-POPのアーティストのライヴ取材に赴いたところ、ライダースにマーチンというロック仕様の出で立ちのため、会場で浮きまくっている──そういう内容だった。一瞬“K-POPのライヴには何を着て行けばいいのだろう?”と思ったけれど、今後自分は自発的にK-POPのライヴに行くことはないだろうから、考えても仕方がないと思い、そのポストを見返すと、ライダースの下はバンドTで、“ちなみにGAUZE”とそのプリントまでご丁寧に紹介してある。バンドTはバンドTでも、世界に冠たる有名バンド(THE ROLLING STONESのベロのヤツとか、柄もデザインも派手なヘヴィメタル系とか)ならまだ分からなくもないけれど、よりによって日本のハードコアパンクバンドとは、相変わらず信頼のおける人である。まさか氏が自身のInstagramを介して“そろそろGAUZEを書けよ”と遠回りに私に伝えようとしたのではあるまいが、無言の圧力を感じるところではある。リード文でも書いたように、GAUZE のラストライヴが2022年11月26日であって、その1年後となる2023年11月に『EQUALIZING DISTORT』の紹介文を書こうとは企てていた。若干繰り上げた感じではあるが、今週取り上げたのはそんなわけである。

OKMusic編集部

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