ゼリ→、衝撃のデビュー作
『RODEO★GANG』に
音楽的センスの萌芽と
揺るぎないスタンスを窺う

『RODEO★GANG』('00)/ゼリ→

『RODEO★GANG』('00)/ゼリ→

当初は他のバンドの作品解説を予定していたのだが、10月8日に観たLAID BACK OCEANの解散ライヴが鮮烈であり、あれから数日経っても、あの日、品川ステラボールでの光景が頭の片隅から離れない。ということで、予定を変更して、その前身であったゼリ→のことを振り返ってみたいと思った(LAID BACK OCEANの名盤にしようとも考えたのだが、彼らはフルアルバムが1作品だけだし、それだけで語るのも難しいと思ったので、それはまた別の機会に…)。改めて『RODEO★GANG』を聴いてみると、アルバム作品というのは、その瞬間をパッケージするのではなく、作者の過去も未来も反映させるものなのだなぁと、しみじみと感じた次第である。

スタッズ革ジャンのパンクバンド

ゼリ→の1stアルバム『RODEO★GANG』は全13曲収録で総タイム37分59秒。半数以上の楽曲が3分以内だ。もちろんミドル~スローテンポの楽曲はないし、メンバー4人の音以外は聴こえてこない。スパッとキレのいいナンバーがずらり並ぶパンクバンドらしいアルバムと言える。ツンツンヘアー(うち、ひとりはモヒカン)にスタッズ革ジャン&ダメージジーンズという、この時のメンバーのルックスから想像できる音、それを大きく裏切らないというか、むしろジャストフィットと感じる人も少なくないと思われる音像である。筆者も21年前に聴いた時、そう思った。プロデュースのクレジットにその頃SADSをやっていた清春が名を連ねており、それが話題にもなっていたこともあって、インタビューで“清春さんはどんなアドバイスをしたんですか?”と訊いた。すると、確かヤフミが答えてくれたと記憶しているが、“何を言っても仕方がないと思ったのか、清春さんは“そのままでいい”としか言ってくれなかった”という主旨の話を笑いながらしてくれたことが思い出される。実際のところはどうだったのか分からないけれど、そのアンサーを聞いて“確かにそうなんだろうなぁ”と妙に納得したような覚えがある。そのサウンドとアンサンブルは変に手垢に塗れてないと言ったらいいか、とてもピュアなものであったように思う。

その後、何度もライヴを拝見させてもらったが、そこで披露された本作収録曲は、いい意味でずっと印象が変わることはなかった。この時点でのゼリ→はある意味で完成されていたのかもしれない。というのも、ファンならばご存知のことと思うが、2nd『NO NEED』以降、彼らのビジュアルもサウンドも変わっていく。革ジャンとジーンズでなくなっただけなら、“まぁ、暑い時は仕方がないだろう”くらいに気にも留めないだろうが、音楽的なアプローチはどんどん変化していった。いや、それは進化もしくは深化だったと言うべきだろう。アッパーなナンバーがまったくなくなったわけではないが、ミドル~スローテンポも演奏するようになり、そればかりか、いわゆる8ビートや4ビートだけでなく、リズムも多彩になっていった。5th『青空は突っ立ったまま眠っている』(2004年)でファンクの乗りを取り入れた時、筆者は若干面食らったけれど──それはデビューのインパクトが強く筆者の意識に焼きつきすぎていて、それ故にその進化、深化の速度にうまくついていけなかったからだが、後期はもはや単純にパンクバンドと呼べない存在となっていった。それもまたカッコ良かったことは強調しておきたい。

さて、今回ゼリ→の名盤を紹介するにあたって、個人的にもインパクトが強かったこともあるし、何しろデビュー作にしてチャートトップ10入りを果たした作品ということで『RODEO★GANG』を選んだ。解散後、メンバーは新たなバンド、LAID BACK OCEANを結成して、そこではいち早くピアニストをメンバーに取り入れ(ちなみにピアノロックバンドとしては、●●●●や○○○○よりも結成は早い)、まさに彼らならではと言っていいオリジナリティーあふれるサウンドを構築するに至ったわけで、その始祖であるゼリ→がどうであったかを紹介することに意味があると思ったからだ。言ってしまえば、“ヤンチャなバンドマンが20年経ってこうなりました”という成長具合を示すことができるのではないかと、わりと簡単に考えて本作をチョイスしたのが正直なところである。だが、改めて『RODEO★GANG』を聴いてみると、随所にのちの才能の萌芽が感じられる。なかなか興味深いアルバムであることを再発見することができた。以下、その点に留意しながら本作を解説していこうと思う。

OKMusic編集部

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