21世紀最高のプロデューサー、
マーク・ロンソンの名盤と言えば
『アップタウン・スペシャル』

『Uptown Special』(’15)/Mark Ronson

『Uptown Special』(’15)/Mark Ronson

「星野 源とマーク・ロンソンが同じステージに立つ!?」、こんな空前絶後の企画を知ったのは今年の夏のことであった。コンサートは12月17日なので、すでにカウントダウンが始まっているわけだが、未だにどんな内容になるのかまったく分からない。両者の音楽性も違うので、星野 源のファンはロンソンのこと知らないだろうし、逆にロンソンのファンは洋楽しか聴かない人が多いので、星野のことを知らないのではないか。そこで今回は21世紀に入って最高のプロデューサーと称されるマーク・ロンソンのアーティストとしての側面にスポットを当てようと思う。取り上げるアルバムは『アップタウン・スペシャル』だ。グラミー賞に輝いた「アップタウン・ファンク(フィーチャリング、ブルーノ・マーズ)」を収録、ヒップホップやR&Bに精通したロンソンのファンクセンスが光る傑作である。

ロンソンの歩み

さて、マーク・ロンソンの音楽性はどう培われたのか。ロンドン生まれの彼は小さい頃に両親の離婚を経験しているが、母親と再婚したのがフォーリナーのミック・ジョーンズであった。フォーリナーは70年代後半から80年代前半に世界的な人気を誇ったロックグループだ。義理の父親はいろんな音楽をマークに教え、子供の頃すでに多くの楽器を演奏できるまでになっていた。8歳の頃に家族みんなでニューヨークに移住している。大学生になるとニューヨークでヒップホップ系のクラブDJとして活動し、幅広い音楽の知識とミックスの技術で認められていく。このあたりは義理の父親の影響が大きい。

DJとして彼は大成功を収めていたのだが、ひょんなことから女性シンガーのニッカ・コスタのプロデュースを任されることになる。そして、その仕事ぶりがエレクトラレコードの目にとまりアーティストとして契約する。2003年、『ヒア・カムズ・ザ・ファズ』でソロデビューを果たす。この時点での彼の音楽スタイルは、DJ時代に培った秀逸なミックス作業の延長線上にあり、サンプリングや打ち込みで基本トラックを制作、その上にラップや歌を乗せるというものだ。このアルバムは好セールスにはつながらなかったが、そのセンスの良さが業界で知られるところとなり、プロデュースの仕事がたくさん舞い込むようになる。

OKMusic編集部

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