半世紀以上に及ぶ活動の中で
最高傑作のひとつに挙げられる
ロッド・スチュワートの
『ナイト・オン・ザ・タウン』

『A Night on the Town』(’76)/Rod Stewart
ジェフ・ベック・グループ〜フェイセズ
69年にジェフ・ベック・グループが解散した後、ロッド・スチュワートとロン・ウッドは流行になりつつあったハードロック系のサウンドではなく、ルーツロック系の音楽を模索していた。当時、ロッドとロンはイギリスのアーティストたちの間で大きな話題となっていたザ・バンドの『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』(’68)の音作りに惹かれていたからである。スモール・フェイセズからマリオットが脱退したことを知り、グループのメンバーで旧知の間柄のロニー・レインとコンタクトを取り、ふたりの参加が決まった。彼らの加入を機にスモール・フェイセズはフェイセズと改名する。
アメリカへ渡りスーパースターに
『アトランティック・クロッシング』には彼の尊敬するソウルシンガー、オーティス・レディングのバックグループのMG’s(ブッカー・T・ジョーンズ、スティーブ・クロッパー、ドナルド・ダック・ダン、アル・ジャクソン)や、マスルショールズ・リズム・セクション(ジミー・ジョンソン、デビッド・フッド、ロジャー・ホーキンス、バリー・ベケット)、メンフィスホーンズら南部のスタジオミュージシャンをはじめ、デビッド・リンドレー、ジェシ・エド・デイヴィス、リー・スクラー、ボブ・グロウブ、フレッド・タケットら西海岸を代表するスタジオミュージシャンの豪華なメンバーが参加したというだけでなく、憧れのバックメンに支えられてか、ロッドのヴォーカルも冴え渡っていた。この作品にはメンター・ウィリアムスの「ドリフト・アウェイ」、ジェリー・ゴフィン&バリー・ゴールドバーグの「イッツ・ノット・ザ・スポットライト」、ダニー・ウィッテンの「アイ・ドント・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・イット」といった名曲のカバーが収録されているのも大きな魅力になっている。