これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!

これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!

『コロシアム・ライヴ』は、
ブリティッシュロック界の最強集団
コロシアムが生んだ壮絶な作品

『Colosseum Live』(’71)/Colosseum

『Colosseum Live』(’71)/Colosseum

今回紹介するコロシアムの『コロシアム・ライヴ』は、ブリティッシュロック界でもっともテクニカルで熱いプレイが聴けるアルバムだ。LP発売当時は2枚組で、当時のロック界で最高のパフォーマンスを繰り広げたといえるだろう。サックスとオルガンを中心にしたそのサウンドは、イギリスのミュージシャンが得意とするジャズロックのひとつではあるのだが、ジャズ的な表現を盛り込みながらもロックの強烈なエモーションを感じさせるものであった。全編を通して聴くとかなりの疲労を感じるぐらいパワフルで、同じジャズロックとはいえ、ソフトマシーンの冷徹なまでの冷静沈着さとは対極に位置している。今では忘れられがちだが、本作はロック史上に燦然と輝くライヴ盤の傑作なのである。

コーナー、メイオール、ボンド

60年代初頭のブリティッシュロックシーンにおいて、キーマンとなるアーティストと言えば、アレクシス・コーナー、ジョン・メイオール、スペンサー・デイヴィス、グレアム・ボンドの4人。アレクシス・コーナーとジョン・メイオール、そしてスペンサー・デイヴィスは、イギリスでのブルースブームに火を付けたあと、ブルースロックを仕掛けた。そして、グレアム・ボンドはと言えば、ブリティッシュロックの技術面を大幅に引き上げたジャズロックの仕掛け人として知られる。この4人の知識力と組織力によって、彼らのもとには優れたミュージシャンたちが集まっていく。
コーナーのもとにはストーンズのメンバーをはじめ、ジンジャー・ベイカーとジャック・ブルース(どちらもクリームのメンバー)、グレアム・ボンドらが出入りしてR&Bの勉強をしていたし、メイオールのもとにはブルースの教えを請うためにエリック・クラプトン、ピーター・グリーン(フリートウッド・マックのメンバー)、ミック・テイラー(彼がストーンズに加入したのは、メイオールの紹介であった)、エインズリー・ダンバー(多くのバンドを渡り歩く英ロック界でもっとも著名なドラマーのひとり)などが集まっていた。スペンサー・デイヴィスのもとにはマフとスティーブ・ウインウッドの兄弟がいたことは言うまでもないだろう。

グレアム・ボンドは当初はサックス奏者としてアレクシス・コーナーのブルース・インコーポレイテッドに参加、63年に自身のバンドとなるグレアム・ボンド・オーガニゼーションを結成し、ここではジャズキーボード奏者として頭角を現している。ボンドを支えるメンバーはジンジャー・ベイカー、ジャック・ブルース(クリーム)、ジョン・マクラフリン(マハヴィシュヌ・オーケストラのリーダー)、ディック・ヘクトール・スミス、ジョン・ハイズマンら強力なアーティストが参加し、ブリティッシュ・ジャズロックの原型を作り上げる。

グレアム・ボンド・オーガニゼーションのメンバーはクリームとマハヴィシュヌ・オーケストラという、後に一世を風靡するグループのメンバーが在籍していたわけだが、残りのジョン・ハイズマンとディック・ヘクトール・スミスが結成するのがコロシアムである。グレアム・ボンド・オーガニゼーションの解散後にリリースされたベスト盤的な作品『ソリッド・ボンド』(‘70)を聴くと、まだまだジャズの要素は強いがロック的なスパイスがちりばめられた素晴らしい作品に仕上がっており、ジャズロックが生まれる前夜の気配が感じられるのである。

コロシアム結成

そして、68年にジョン・ハイズマンとディック・ヘクトール・スミスを中心にコロシアムが結成される。69年にリリースされたデビュー作『Those Who Are About To Die We Salute You』はブルースロック色が強く、ある意味でクリームに似たサウンドである。ただ、ハイズマンやヘクトール・スミスの技術的な卓越性は感じられるものの、この時点ではまだグループとしての独創性はあまり見られない。何よりもギター&ヴォーカルとベースの力量に不満が残るのだ。しかしセールス的には好調で、イギリスのチャートでは15位まで上昇、幸先の良いスタートとなった。

同年にリリースされた2ndアルバム『Valentine Suite』は前作よりジャズ寄りのサウンドになり、グループとしてのまとまりが感じられる力作となったが、それだけにやはりギター&ヴォーカルとベースの弱さが際立ってしまっている。クリームのギターとベース&ヴォーカルがエリック・クラプトンとジャック・ブルースというすごいメンバーであるだけに、どうしても比べてしまうのだ…。

本作『コロシアム・ライヴ』について

そういう想いはハイズマンも感じていたのだろう。前作のリリース後にギター(名手デイブ・クレム・クレムソン)とベース(マーク・クラークとルイス・セナモのふたりを半分ずつ起用)を挿げ替え、ヴォーカリストとして何曲ものヒット曲を持つ著名なR&Bシンガーのクリス・ファーロウを迎え入れる。この第二期コロシアムのメンバーでリリースしたのが4rdアルバム『Daughter Of Time』(‘70)で、ヴォーカル、ギター、ベースが最高の状態になったというか、ハイズマンとヘクトール・スミスのレベルに見合うミュージシャンの起用で、グループのアンサンブルは驚異的にアップした。

実はこの『Daughter Of Time』の前、メンバー交代が中途半端な時期に3rdアルバム『The Grass Is Greener』(’70)がアメリカのみでリリースされているのだが、この作品は未聴なのでコメントはしないでおく。それにしても、『Daughter Of Time』はメロディーを重視したアルバムになっており、ジャック・ブルースの代表曲のひとつでマウンテンがヒットさせた「Theme For An Imaginary Western」をカバーしたのもその意識の表れに違いない。

そして、出た! 『コロシアム・ライヴ』(‘71)。LP当時は2枚組でリリースされ、日本でもロック少年たちに支持された。というか、僕が中学生の頃、コロシアムのアルバムでレコード店に置いてあったのはこれだけだった。まぁ、そんなことはどうでもいいが、これを最初に聴いた時、こんなにカッコ良いロックサウンドと出会ったのは初めてで、毎日聴いていた記憶がある。

ハイズマンのやたら手数の多いドラミング、クレム・クレムソンの超絶ギターテク、デイブ・グリーンスレイドの歪んだハモンドオルガン、ヘクトール・スミスのフリーキーなサックスプレイ、ファーロウのパワフルなシャウトなど、ロック本来のパワーとテンションに満ちた音がたっぷり詰まっていたのだ。今でもこれだけの熱を帯びたロックはなかなかない。本作は彼らのこれまでのスタジオ録音盤とはまったく違う次元のサウンドであり、本当のテクニックを持ったアーティストが本気を出すとこれだけの演奏ができるということを認識させられた作品である。

もしコロシアムを聴いたことがないなら、ぜひこの『コロシアム・ライヴ』を聴いてみてください。冬でも汗だくになるほどの熱〜い音楽がここにあるのだ。ロック史上に残るライヴ盤のひとつであることは間違いない。

TEXT:河崎直人

アルバム『Colosseum Live』1971年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.ROPE LADDER TO THE MOON
    • 2.WALKING IN THE PARK
    • 3.SKELLINGTON
    • 4.TANGLEWOOD'63
    • 5.STORMY MONDAY BLUES
    • 6.LOST ANGELES
    • 7.I CAN'T LIVE WITHOUT YOU
『Colosseum Live』(’71)/Colosseum

OKMusic編集部

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