デュアン・オールマンの名演が
収録されたボズ・スキャッグスの
2ndソロ『ボズ・スキャッグス
&デュアン・オールマン』

『Boz Scaggs』(’69)/Boz Scaggs

『Boz Scaggs』(’69)/Boz Scaggs

ボズ・スキャッグスと言えば大ヒットしたAOR作品『シルク・ディグリーズ』(’76)が代名詞のように思われがちだが、そもそも彼は都会的なR&Bが得意でAORという言葉がない70年代初頭から、『モーメンツ』(‘70)『ボズ・スキャッグス・アンド・バンド』(’71)『マイ・タイム』(‘72)といったアルバムで洒落たポップソウルをやっていたのである。しかし、その少し前の69年に彼がアトランティックからリリースしたソロ2作目の本作は、ブルースやカントリーをベースにした泥臭いルーツ系の音作りが特徴で、彼のバックボーンがよく分かる滋味深い仕上がりになっている。今回はアメリカーナのはしりとも言える『ボズ・スキャッグス&デュアン・オールマン(原題:Boz Scaggs)』を取り上げる。

70s初頭におけるレコーディングの聖地

60年代の中頃から1970年代初頭にかけて、多くのロックアルバム(もしくはアルバムの一部)がマッスル・ショールズで録音された。そもそもはソロモン・バーク、ウィルソン・ピケット、アレサ・フランクリン、クラレンス・カーターら南部ソウルのアーティストたちが主に使っていたのだが、僕が高1になった73年頃にはすでに「ロックの名盤はマッスル・ショールズ録音かどうかで決まる」みたいな根拠のない伝説があったし、行きつけの輸入盤専門店には“マッスル・ショールズ”というコーナーがあったぐらい注目されていたものだ。実際、マッスル・ショールズで録音されたアルバムには名盤が多かった…というか、ピークに近い旬のアーティストたちがマッスル・ショールズでレコーディングしたのだと思う。ロックではローリング・ストーンズ、ロッド・スチュワート、レーナード・スキナード、レオン・ラッセル、U2、ボブ・ディラン、ポール・サイモン、ボブ・シーガーらがこの地で録音しており、確かに彼らはみんなロック史に残る名アーティストたちである。

ロックの売れっ子アーティストたちがマッスル・ショールズで録音したかった理由は、前述のアレサ・フランクリンやクラレンス・カーターといった黒人ソウルシンガーたちのバックを受け持つサウンドに魅了されたからだ。アラバマ独特の泥臭く乾いた音作りは、マッスル・ショールズならではのテイストであった。70年代初頭はローリング・ストーンズ、ジョージ・ハリソン、エリック・クラプトン、ロッド・スチュワート、ジェフ・ベック、スティーブ・ウインウッドら、大物ブリティッシュロッカーたちが、こぞってアメリカの土の香りのするスワンプロックに魅了されていた時期である。そんなブリティッシュロッカーたちがお手本にしていたのがデラニー&ボニー、レオン・ラッセル、ジェシ・デイヴィスなどのアーティストであり、そのお手本の彼らが憧れていたのがフェイム・スタジオやマッスル・ショールズで黒人ソウルシンガーのバックを務めていたスタジオ・ミュージシャン(多くが白人)なのである。

OKMusic編集部

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