最強のメンバーが集結した
タワー・オブ・パワーの3rdアルバム
『タワー・オブ・パワー』

『Tower of Power』(’73)/Tower of Power

『Tower of Power』(’73)/Tower of Power

タワー・オブ・パワーは1970年のデビューから現在まで続く、長い歴史を持つサンフランシスコのファンクグループだ。50年以上におよぶ活動の中で、彼らが最高の状態にあったのは本作『タワー・オブ・パワー』から7thアルバム『ライヴ・アンド・リビング・イン・カラー』(’76)あたりまでではないだろうか。それは、本作からレニー・ウィリアムス(Vo)、ブルース・コンテ(Gu)、チェスター・トンプソン(Key)、レニー・ピケット(Sax)の4人が新たに加入し、グループとしては最高の布陣となったことが大きい。このメンバー編成は5thアルバムの『オークランド・ストリート(原題:Urban Renewal)』(’75)まで続くことになるわけだが、中でも本作『タワー・オブ・パワー』が特に印象深いのは、彼らの代表曲である「ホワット・イズ・ヒップ?」の初演が収録されているからということに尽きるかもしれない。今年の8月8日、残念ながら黄金期のグループを支えたブルース・コンテが白血病で亡くなった。

サンフランシスコの文化

1960年代、ベトナム戦争の無意味さと黒人差別が全米の喫緊の問題となり、若者たちは既成の道徳や体制側の政治に大きな疑問を抱く。そんなことから西海岸のサンフランシスコでは、愛や平和をスローガンに、ヒッピー文化に代表される多くのカウンターカルチャーが花開いていく。それは当時のロッカーたちにも影響を与え、ジェファーソン・エアプレイン、クイックシルバー・メッセンジャー・サービスなどはフラワー・チルドレンらの動きにも呼応し、大きなムーブメントへと広がっていく。

このムーブメントは自然回帰の運動とも同調、グレイトフル・デッドをはじめサンフランシスコで活躍する多くのロックグループが、サイケデリックロックからフォークやカントリーなどに影響された土臭いサウンドへと転身する。この転身は70年代初頭に激増するシンガーソングライターのサウンドとも呼応するのだが、同じサンフランシスコでもベイ・エリアは少し事情が異なる。オークランド、リッチモンド、ワッツなどの地域は人種の坩堝とも言える場所で、ビートの効いた激しい音楽を要求する場合も多く、R&Bをベースにした白黒混合のグループも少なくなかった。その中で、ラテン風味を前面に押し出したサンタナや、ジェームズ・ブラウンとマイルス・デイビスを範にしたスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンらはまったく新しいスタイルのダンサブルなロックを創造している。タワー・オブ・パワーはそういったグループに影響され登場してきたのであり、ホーンセクションのキレの良さとリズムセクションの技術の高さは群を抜いていた。彼らの実力は、ロック界の名プロモーターとして知られるビル・グレアムが設立したサンフランシスコレコードから『イースト・ベイ・グリース』(’70)でデビューしていることがその証拠になるだろう。

OKMusic編集部

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