間もなくジャパンツアーが予定されているKISS。今回の来日公演は昨年スタートした結成40周年を祝すワールドツアーの一環だが、実際にバンドが結成したのは1973年、レコードデビューが翌1974年なので、本来の意味での40周年とはズレがある。では、40年前の1975年には何があったかというと、3rdアルバムにして日本デビュー作の『Dressed To Kill(邦題:地獄への接吻)』と2枚組ライヴアルバム『ALIVE!(邦題:地獄の狂獣 キッス・ライヴ)』のリリースだ。本稿では、後者にスポットライトを当ててみたい。

 筆者のKISSとの出会いは、1983年のアルバム『地獄の回想(Lick It Up)』。バンドのトレードマークであったメイクアップを落とし、素顔を露にして驚かせたこの作品はそれなりのヒットを記録。しかし、ノーメイクの80年代作品の多くがそれまでのファンから邪道とされた。70年代のKISSこそが、本来あるべき姿である、と。しかし、邪道だろうが何だろうが、1971年生まれの筆者にとってKISSと言えば「Lick It Up」であり、「Heaven's On Fire」、「Crazy Nights」であり、MVにセクシーなお姉ちゃんが大挙する、エロさを売りにした大御所バンドだったのだ。
 時が経ち、1996年。音楽シーンはKISSが13年振りにオリジナルラインナップで再結成し、大規模なワールドツアーを行なうという発表に沸き立った。その熱も手伝って、筆者は『ALIVE!』と初めて真剣に向かい合うことに。そして、KISSの真髄を知るに至った。
 1975年当時、KISSはライヴバンドとして高い評価を得ていたにもかかわらず、それがスタジオ盤で表現し切れておらず、なかなかヒットに結び付かなかった。「ならライヴアルバムだろう」ということで起死回生を狙ってリリースされたのが本作。“KISS=ライヴバンド”のイメージを決定付けたこのアルバムを通して聴くと、キャッチーな楽曲の素晴らしさはもちろんだが、KISSがKISSたる所以が鮮明に伝わってくる。ライヴバージョンの楽曲は、スタジオ録音の何倍もの輝きを華ち、場内のただならぬ熱気、メンバーの一挙一動が目に浮かぶのだ。ポール・スタンレーの絶妙なトークが冴えるMCやオーディエンスとのやりとりは、その後のロックコンサートの教科書として多くのアーティストが模倣した。ロックバンドとして理想形のひとつがここにあるのだ。本作が大ヒットを記録したのに伴い、観客動員数も見る見る内に増加、まさに出世作と呼ぶに相応しい作品だ。ここからKISSは、輝かしい黄金時代へと突入していく。
 この黄金時代をリアルタイムで体験した世代の中には、ミュージシャンを志す者が多数出現した。1977年4月の日本武道館公演にYOSHIKI(X JAPAN)が母親に連れられて来ていたエピソードは有名だし、hideがプロのミュージシャンを目指したのもKISSの存在が大きかった。ザ・イエロー・モンキーのHEESEYは、『ロッキンf』という音楽誌でジーン・シモンズと対談した際、KISSの全アルバムを持参してその全てにサインを求め、ジーンに呆れられていた(笑)。斉藤和義は2013年に『ミュージック・ステーション』でKISSと共演した際、「KISSは小学生の時に出てきて、衝撃を受けてほうきをギターにしてマネをした」と発言。現在のように気軽にバンドのライヴ映像を見ることができなかった当時、NHK『ヤング・ミュージック・ショー』で1977年の武道館公演が放送され、多くの小学生にかなりの衝撃を与えたようだ。
 最新ニュースとしては、ももいろクローバーZと異色のコラボ「夢の浮世に咲いてみな」を発表。ディスコ全盛の時代には「ラヴィン・ユー・ベイビー」をリリースするなど、その時代の空気を読み取って柔軟に反映させてきた。しかし、それも全てKISSとしての強固なアイデンティティーがあるのを自負しているから。ベテランとしてふんぞり返ることなく、果敢に未知へと挑戦を続ける姿勢。『ALIVE!』には、その原点が克明に記録されている。もし今回の来日公演でKISSを初体験する人は、必ず本作を聴き込んで行ってほしい。

著者:金澤隆志

OKMusic編集部

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