アマイワナ

アマイワナ

【アマイワナ インタビュー】
自分ができる一番可愛くて
カッコ良いスタイルでやる

自分が可愛いと思ったら、
それをやればいい

自分らしさというところでは、例えばDTMで曲を作ると難しいことも簡単にできてしまうと思うんですが、あえてシンプルにチープに作ってるところもあるんですか?

もともとバンドが好きで音楽を始めたんですけど、仲間が集まらなくてバンドができなくて。最初はギターの弾き語りだけでやっていて、もっと自分の音楽の可能性を広げたいと思ってDTMを始めたんですが、やっぱりバンドが好きってのが根底にあるので、バンドでやる音数以上の音はいらないと思ったんです。電子音楽なんだけど、バンドにも落とし込めるくらいの音数が自分に一番しっくりくるというか。昭和歌謡やシティポップみたいな豪華さって今の私には絶対に再現できないし、それよりもミニマムな可愛さが好きなので、あまり豪華になりすぎないようにして、自分ができる一番可愛くてカッコ良いスタイルでやろうと思って、それが今のスタイルになったんです。

そういう発想だったんですね。アマイワナさんは自身の音楽を“ドリームパンク”と表現していて、パンクの精神もすごくあると話していましたが、流行りに寄せることのない音楽性やファッションやスタイルって、今の時代にカウンターを打っていると思うし、その姿勢がめちゃくちゃパンクだと思います。

自分の中のパンクって、自分が一番可愛いとか、カッコ良いとか、美しいと思うことをやり続けることだと思っているんです。特に私が育ってきた時代は“みんな一緒がいい”みたいな風潮だったから、学生時代からそこにすごい違和感があって。“自分が可愛いと思ったら、それをやればいいのに”と思っていたし、それを表現するために音楽をやっているっていう感じですね。ファッションや音楽はパンクでいたいという根底がありつつ、楽曲自体はドリーミーでポップな表現をしたいと思って作っています。

昭和の時代は現在のような便利な機材やPCもない中で必死に音作りしていたけど、現在の有り余る環境の中で、あえてチープな音を作るっていうのが面白いです。

古いものは好きですが、古い機材は使っていないんですよ。音はシンプルだけど、新しいものを使って、今の音楽を作るというのを一番心がけていて。あと、今作ではジンジャー・ルートが来日して一緒にツアーを回ったり、一緒に楽曲やMVを作ったりする中で、自分は日本人だと意識することが増えて。“ジャパニーズ・ポップスって素晴らしいんだよ!”というのを改めて思ったし、だから、“私も日本人の女の子として新しいジャパニーズ・ポップスを作って、自分のアイデンティティーとしてみんなに聴いてもらいたい”ということを強く思ったので、本当の意味で海外に向けて作りたいと強く思って曲作りするようになったのが今作でした。

歌詞についてもうかがいたいのですが、恋する女の子のワクワクを描いた「恋泥棒」やチョコレートレモネード」は、意地悪な聴き方をすると恋に恋する女の子の妄想にも思えるですが(笑)。アマイワナさんにとって“恋”とはどんな存在ですか?

難しいですね(笑)。でも、恋をしている女の子自体がめちゃくちゃパワーがあって、めちゃくちゃ可愛いと思うので、それを見て嬉しくなったり、パワーをもらって勇気が出たりしたら、それだけで十分というか。「恋泥棒」はフランス映画みたいな、まさに夢なのか自分のことなのか分からないアンニュイな世界観を作りたかったんです。“好きな人のハートを奪って逃げる恋泥棒”っていう設定を考えた時、“これはすでに可愛いな”と思って描いたんですが、歌詞はそういった“どれだけ可愛いか?”って視点で書くことが多いですね。

恋って“好きな人を振り向かせるために、もっと可愛くなろう”と力を与えてくれるものだったり、自分を成長させたり、輝かせてくれるものだったりもしますよね?

でも、私的には「恋泥棒」もどの曲もそうなんですけど、“彼のことは好きだけど、自分のやりたいようにやらせてもらいます!”みたいな感じで(笑)。恋をしている時って好きな人に気に入られたいと思って自分を変えちゃったりしますけど、私はそんな時こそゴーイング・マイウェイみたいな(笑)。自分の道を突き進むことが大事だと思っています。

あははは。どこまでもパンクですね!(笑) 男の子はそんな子も可愛いとかカッコ良いと思ったり、女の子は共感したり勇気をもらったりして聴くと思うのですが、曲を作る時に届ける相手のことをどうイメージしていますか?

“ライヴでやった時、どんな感じで聴いてくれるかな?”とか、“踊ってくれるかな?”っていうのを一番に考えます。あとは、パフォーマンスとか演出とか、例えば「恋泥棒」だと電話の声が入っているんで、実際の受話器をマイクにして使おうと考えて、実際にやっていたり。サウンド的には街中やお店で私の曲がふと流れてきた時に、風景にいい感じに馴染む曲にしたいっていうのもテーマとしてあります。

では、改めて『SWEET SWEET SWEET』が出来上がっての感想を聞かせてください。

“甘い罠(アマイワナ)=SWEET”から取ったタイトルなので、自分のテーマアルバムのようなイメージになったと思います。“SWEET”だけでなく“SWEET SWEET SWEET”なので、甘いだけじゃなくて“甘すぎて危険”みたいな(笑)。行きすぎた感じも出た、ポップで可愛い中毒性のあるアルバムになっていると思うので、たくさんの人に聴いてほしいです。

取材:フジジュン

配信ミニアルバム『SWEET SWEET SWEET』2023年10月18日リリース 0101RECORDS
    • ※詳細はオフィシャルHPなどをチェック

ライヴ情報

『SWEET SWEET SWEET RELEASE TOUR』
11/17(金) 大阪・SOCORE FACTORY
W)幽体コミュニケーションズ、Set Free
11/19(日) 京都・nano
※凱旋ワンマン
12/01(金) 東京・渋谷eggman
W)Billyrrom、BROTHER SUN SISTER MOON

アマイワナ プロフィール

アマイワナ:シンガーソングライター、トラックメイカー、女優、モデルと幅広く活動。昭和のテクノポップ、ニューウェイブ、ドリームポップや渋谷系など、自身が生まれる前の時代をピックアップし、自己流のファッションや音楽に乗せて世の中へ発信している。あくまでもレトロを表現するのではなく、新しいポップスを追求していて、そのジャンルを“ドリームパンクと自称。23年10月に配信ミニアルバム『SWEET SWEET SWEET』をリリース。 アマイワナ オフィシャルHP

「上海逢引」MV

「恋泥棒」MV

OKMusic編集部

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