L→R 佐藤健一郎(Ba&Cho)、福田裕介(Dr)、山崎 陸(Gu&Cho)、小池貞利(Vo&Gu)

L→R 佐藤健一郎(Ba&Cho)、福田裕介(Dr)、山崎 陸(Gu&Cho)、小池貞利(Vo&Gu)

【teto インタビュー】
リアリティーこそが
自己投影できる最大の手段

ライヴハウスシーンを中心に着々と注目を集めている4人組ロックバンド、tetoが鳴らす音楽は飾り気のない現実であり、そこにたくさんのロマンがあることに気付かされる。そんなバンドの根本にある魅力を改めて感じられると同時に、シンセの導入をはじめとする新たな試みもきらりと光る2ndアルバム『超現実至上主義宣言』について、小池貞利(Vo&Gu)にインタビューを実施した。

伝えたいことがあるのであれば
ポップであるべきだと思う

2018年9月にリリースした1stアルバム『手』から約1年振りのアルバムリリースですが、どんな作品にするイメージでしたか?

まず前作の延長線上として、そこで表現し切れなかった部分を補足するつもりで制作を始めたんです。「ラストワルツ」での4つ打ちや「夜想曲」でのマイナー調の進行など、アルバム全体の中で音楽的にアクセントとなる部分を決め、その部分も美味しくなるようなバランスをイメージしました。

今作には「夜想曲」や「時代」などのシングルに収録されていた楽曲もありますが、それらも含めてアルバム制作に向けて作られた曲が多いのですか?

もともと自分自身がバンドの価値をフルアルバムに見出していて。フルアルバムをどう聴かせるのかもバンドの腕の見せどころだと思うんですよ。バンドを組み始めた時からアルバムのイメージというものがあり、この3年間で制作した楽曲は全てアルバムへ向けての制作とも言えます。

なるほど。では、楽曲はどんなペースでできるんですか?

自分の気持ちが乗らなければ、その時に制作しても良いものにならなそうなので、作るタイミングが大事だと考えてます。タイミングが合えばどんどん曲を作るので、メンバーは曲を覚えるのが大変だと思うことは良くありますね。

前作『手』のリリースツアーファイナルとなった恵比寿LIQUIDROOM公演で宣言した通り、前作同様全15曲のアルバムを完成させた今の心境は?

先ほど言った前作の延長線上で、やりたかったけどできなかったことをようやくやれたという感じです。時間も手間暇も掛りましたけど、無事に完成できて良かったですね。しかし、完成した今はもう関係ないと言いますか、すでに次の作品をどう楽しもうかと考えています。

2018年発表のシングル「忘れた」にアコースティックで収録されていた「光るまち」が、今作の1曲目としてバンドサウンドで収録されていますね。

原点の曲でもありますし、やはりさまざまなバンドを観て感じたことが今までの人生でたくさんあったので、還元するという意味でもバンドサウンドにする必要はあると考えていました。この曲から始まるアルバムを作ってみたいし、聴いてみたかったので1曲目にしてます。

今作は大人になって物事を俯瞰で見たり、過去をポジティブにとらえる落ち着きも感じつつ、やっぱり少年心のある一枚だと思いました。その少年心はリード曲「蜩」にも色濃く出ているなと。

リード曲に選んだ理由としては、ただのアップテンポで終わらないというか、切迫感や生き急いでいる雰囲気が今までの自分というものを一番表していると感じた部分が大きいです。何よりビートの早い曲は一番少年心をくすぐりますからね。

「蜩」の夏に始まり、「ねぇねぇデイジー」の春、「コーンポタージュ」の冬など、ところどころに季節感のある楽曲が収録されているのは?

季節感を踏まえて曲作りをしようという意識はなかったですね。しかし、一年間どの季節でもずっと曲作りをしていたので、時間の流れというものが自然に反映されたのかなとは思います。なので、夏の曲は夏に聴いて、冬の曲は冬に聴くのが一番耳と心に馴染むのではないかと。

「ラストワルツ」や「コーンポタージュ」など、今作ではシンセを使った楽曲を楽しめるのも印象的でした。

シンセの導入はバンドを組み始めた時から絶対にしようと思っていましたが、タイミングが合わなかったのとシンセを練習する時間があまりなかったため、ここにきてようやく導入できたと実感しています。本当は誰かにお願いしてサポートメンバーを入れられたらと考えていたのですが、交友関係を作る余裕もあまりないし、自分たちでやってこそという精神もあるので、結局自分で全部することになりました(笑)。キーボードやピアノの音はやはり琴線に触れると思います。

シンセの他にも今作で新たに挑戦したことは?

たくさんありますよ。自分自身、他のアーティストのアルバムを聴いていても“ここで違う雰囲気の楽曲があれば両方の曲が生きるのに”と感じることがあるので、基本的にはそういった楽曲の幅を意識しています。4つ打ちやマイナー調もそのひとつです。

「不透明恋愛」から「ただいまおかえり」までの流れは、アッパチューンを詰め込んだ前半からアルバムの雰囲気ががわりと変わり、メロディーがポップですし、“歌を聴かせる”という意識もあったのかなと感じました。

個人的には全曲ポップだと思っていますし、伝えたいことがあるのであればやはりポップであるべきだと考えています。自分の中の根本的な部分として“最後に笑えるような結末を迎えれたら、それまでの過程がどんなに醜いものであろうと全て愛せる”という理念があるので、後半に向けて曲が温かくなるのもそういった部分からなのかなとも思います。
L→R 佐藤健一郎(Ba&Cho)、福田裕介(Dr)、山崎 陸(Gu&Cho)、小池貞利(Vo&Gu)
アルバム『超現実至上主義宣言』

OKMusic編集部

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