L→R 北原康平(Gu)、伊東 潤(Vo&Gu)、きたはらさき(Vo&Dr)、岡 涼太郎(Ba)

L→R 北原康平(Gu)、伊東 潤(Vo&Gu)、きたはらさき(Vo&Dr)、岡 涼太郎(Ba)

【KOZUMI】これから始まるKOZUMIの物
語への“覚悟”

男女ツインヴォーカルの4人組バンド、KOZUMIがミニアルバム『アンデルセン』をリリース。それでも世界が続くならの篠塚将行がサウンドプロデュース兼アレンジャーとして参加した初の全国流通盤は、聴く者を楽曲の世界に引き込む訴求力を持った作品になった。
取材:高良美咲

まずは、KOZUMIの結成の経緯について教えてください。

康平
特に何かを目指して結成したのではなくて地元が全員一緒で、メンバーが大学進学のために上京したタイミングでASIAN KUNG-FU GENERATIONのコピバンをやってみたのが始まりでしたね。
僕はもともと本気でバンドをやる気はなくて、上京したメンバーと飲みに行った時に“デカい音鳴らしてぇ!”って感じでスタジオに入ったのがきっかけです。ちなみに、その時は僕と康平がベースで、若干ギターの弾けた康平に“ギターやれ”って言ってやらせました(笑)。そこからオリジナルを作ってみたら意外と良い曲ができたって実感があったのと周りの後押しもあって本気で頑張ろうと思いました。そこから今までの活動はひたすらライヴをしていた感じですね。多い時は月10本くらいやってました。

活動を続ける中どういった変化がありましたか?

康平
もともとは潤だけが曲を作って歌っていたんですけど、今回プロデューサー兼アレンジャーとしてお手伝いしてもらった、それでも世界が続くならの篠さん(篠塚将行)に“さきちゃんも歌ってみたら?”って言われて。前から案はあったし、そこからヴォーカリストがふたりに変わりました。潤がひとりで歌ってる時は青春パンクみたいな要素が強い楽曲が多かったんですよ。さきちゃんが歌うことになってから、楽曲の雰囲気がシリアスな方向に寄っていったかもしれないです。
今回のリリースまでは僕がやりたいことをバンドでやるって感じでしたけど、今回のリリースを経て“4人でしかできないことをやりたい!”と思うようになりましたね。
さき
あとは歌を活かすために個々が抑えていた個性を、あえて全員が前面に押し出すようになりました。なので、“変化”というよりも“進化”という言葉の方が合っているんだと思います。
今回はひとりひとりの武器を明確にして楽曲制作に取り組んだので、さきちゃんが言った“進化”するイメージで、メンバー全員が自分だけの武器を持ってぶつかり合った感じですかね。今まで鉄の棒で殴っていたのが日本刀で斬りつけるみたいな…いや、日本刀でも、相変わらず殴ってるって感じですかね(笑)。

KOZUMIの特徴である男女ツインヴォーカルという部分を踏まえて、このバンドだからこそできることはどういうことだと思っていますか?

康平
KOZUMIの曲作りの特徴として、“自分が歌うパートは自分で作る”ってルールがあるんですよ。だから、ひとつの曲でサビメロがふたつあったり。歌詞も自分のパートは自分で書いていたので、ストーリーがふたつあるんです。そこは武器になっていると思いますね。ヴォーカリストがふたりいるので、僕も負けじとギターで歌おうっていうのは意識していて、どのフレーズも口ずさめるようなアレンジにしてます。
さき
私は自分の歌う部分のことだけを考えて作るので、潤と歌詞について話すことは少なくて。メロディーも同様ですが、これは潤がリズミカルなメロディーだから私は伸びやかでメロディアスにするとか、バランスは無意識にとっているのかもしれないですが。
僕は逆に、お互いのメロディーラインの分け方を意識していますね。自分が細かく刻むメロディーを作りがちなので、流れるようなメロはさきちゃんに、とか。
男女ツインヴォーカルのバンドって稀にいるとは思うんですけど、その上で各楽器が一歩も退かない強気なアレンジしているところも、他に真似できないKOZUMIらしさだと思います。つまり“ここは歌”“ここはギター”みたいな押し引きは一切考えず、ひとりひとりが“俺、カッケェ”ってアレンジやメロを考えてくるんで、“互いを意識しない”ことがKOZUMIの個性につながっているのかなと。場合によっては“さすがにこれは(苦笑)”みたいな空気になるので、そこは上手いことやってますけどね。

1月11日にリリースしたミニアルバム『アンデルセン』についてですが、制作にとりかかったのはいつ頃だったのですか?

本格的にツインヴォーカルの体制になったのが昨年9月の頭からで、翌月にはレコーディング日程が決まっていたので、約1カ月で本格的なリアレンジや新曲の制作を全て行ないました。毎日徹夜で正直死ぬかと思いました(笑)。人生初の全国リリースなので、僕は“事件を起こす”ことしか考えてなかったですね。初めましての人をフルボッコにしようと(笑)。そんな中でアンデルセンの代表作『みにくいアヒルの子』のアヒルが白鳥になる過程でずっと苦しい想いをして、それでも耐えて続けて生きて…って部分が自分たちにも重なって。僕らのロゴにもある“From Ducks for Swans”っていうのは、そういう願いと覚悟の表明なんです。
今回の“アンデルセン”というタイトルも、僕が小さい頃に読んでいたアンデルセン童話からとったんです。童話なのに、ちっともハッピーエンドで終わる話がなくて。毎回、もやもやしたのを思い出したんです。
さき
アンデルセンと言えば、小さい頃に読んだ童話の作家としてメルヘンなイメージがある方も多いと思います。でも、よく読んでみると、『赤い靴』や『裸の王様』、有名な『みにくいアヒルの子』とか、意外とシリアスな内容の物語が多いし、私たちの日常でなかなか言えないことをテーマにした物語ばかりだなって。KOZUMIの楽曲に似ている部分もあるし、メルヘンなイメージと生々しい物語のギャップも理想と現実みたいで。なんだか“アンデルセン”というワードにシンパシーを感じました。

今作に収録された7曲は他にも楽曲がある中での選曲ですか?

15曲程制作をして7曲選びました。中でも僕らの個性が強く表れた曲、誰のものでもないKOZUMIの楽曲を選んだと思います。“事件”を起こすには、明確な凶器が必要ですから。
康平
その半分はほとんど一瞬でボツになりましたけどね(笑)。これまでの僕らの楽曲って両極端なものがとても多くて。極端に言うと、男臭い青春パンクっぽい要素の楽曲か、シリアスな雰囲気で轟音オルタナサウンド、だけど歌メロがめちゃくちゃきれいな曲とか…。
他にも、フォークな感じの曲も結構多くて。いろいろな曲が生まれるけど、これから “バンド”として全国で戦うなら、バンドでしかできない、誰にも真似できない、オルタナティブロックがやりたくて。
さき
どの曲でも自信を持って闘えるし、必死で何かを訴えようともがいているような、常に光を見ようとしているようなアルバムだと思います。

今作で篠塚将行さんがサウンドプロデュース兼アレンジャーを行なうことになったきっかけは?

春にあるコンピに参加するために1曲レコーディングをすることになったんです。篠塚さんがレコーディングエンジニアもできるので依頼して、その時に7曲目の「愛の矛盾」を録ったんですがすごい良くて。今まで足りなかったものがはまったって感覚がすごく強くかったので、そのまま他の曲のアレンジもお願いして、プロデューサーとして参加してもらったんです。
依頼したっていうよりは、篠塚さんと楽曲を作ってたらすごい楽曲たちが出来上がって、気付いたらプロデューサーになってたって感じですかね。篠塚さんは“お前らをプロデュースしてやるぜ”って感じではなく、“カッコ良い”“カッコ良くない”みたいな、あくまでバンドマンとして対等な意見をくれてました。
さき
なぜだか分からないのですが、篠さんには何でも相談できるというか、バンドへの考え方が合うというか。いろいろ話してそう思いました。考え方が真面目なのか不真面目なのかは分からないですが、とても信頼できる人です。という話をメンバー間でも時々していて、困ったことがあったら相談するノリで、作曲や編曲の際に行き詰まったら篠さんを召喚するという儀式が行なわれるようになりました。そのおかげで、プレイでも作曲でもあまり我慢しなくなりました。“これはやって大丈夫なのか?”と不安に思う時も、“もっとやれ!”って感じで背中を押したりしてくれて。結果的にそれが自分の個性だったり、いろいろ新しい発見をすることができました。
康平
ギタリストとしても、篠塚さんに“ギターをもっと弾き倒せ”って言われて。アレンジの面では前より単音弾きを多くしたり、印象的なフレーズを後ろに下がらず弾いてみたり、考え方が変わりました。
この制作中の思い出としては、2~3日で20時間くらいスタジオにこもって制作したりしていて、メンバーだけじゃなくて篠塚さんも死にそうになりながら協力してくれたことですかね(笑)。

歌詞は情景や心情の想像を掻き立てるような抽象的なものが多いですが、どういったことから楽曲を書くことが多いのでしょうか?

さき
私は実体験から曲を作ります。自分が普段人に言えないでいることをつらつら綴ったていたらできました。きっと誰かに聞いてほしいことなのかなとも思います。なので、結構自分勝手な歌詞だと自分では感じていて。「窒息」は手紙みたいな歌詞にしようと思ったのですが、気付いたら自分を質問攻めにしていました…。

「窒息」と「サヨナラSeptember」は“9月”という言葉が出てきますが。

さき
この2曲に“9月”ってワードが入ってるのは、潤と歌詞の打ち合わせをしたわけではないのに、たまたま共通のワードが生まれたんです。すごい!
「サヨナラSeptember」は、名前の通り9月にできた曲で。9月って夏でもなければ秋でもない季節なので、僕は夏の余韻に浸ってると“あれ、もう10月?”みたいになるんですよね。夏にやりきれなかったことへの思いとか、なんか切なくなる感じで。しかも気付いたら終わってるし。そういう思いで書いたんです。

「素晴らしき日々」は客観的な不満や不信感を綴った楽曲に“素晴らしき日々”と名付けるところにこのバンドのユーモアを感じました。

さき
これは完全に皮肉ですね。
歌ってる内容に素直すぎるとちょっと 面倒臭い奴だなって思ったのもあって、皮肉を言って笑っていられるくらいのタイトルのほうがいいかなと。満足してます。

KOZUMIの楽曲は独特の世界観と表現を持ちながら、サウンド面ではライヴ感を持ち合わせていると思いました。特に「愛の矛盾」は立体的な音像がより一層ライヴ感を醸し出していますね。

康平
全てを破壊できるような楽曲が欲しくて。うちのメンバーはみんな“ライヴでお客さんに衝撃を与えたい”“面喰らわせてぇな”って考えてると思うんです。だから、そのために作った曲だと僕は勝手に思ってます。『アンデルセン』に収録されてる音源は全曲一発録りなので、そこでライヴ感を出せたんじゃないかなと。

今作は初の全国流通盤ということで、スタートでありここまでのバンドの現在の集大成的な部分もあると思うのですが。

今作はまず今までの自分たちをぶっ壊すことから始まったので、集大成というよりも本当の意味でスタートラインに立ったミニアルバムになったと思います。過去はこれから始まるKOZUMIの物語への“覚悟”に変えました。
始まったってイメージが強いので、僕ら自身“まだ、ここからやれる”って思ってます。
康平
生活や日常の中で人が普段思ってても言えないような感情を表現できた一枚になったんじゃないでしょうか。アレンジ面でも自信の持てる一枚。全曲リードトラックのアルバムだと思っています。男女ツインヴォーカルのふたりの行き交うメロディーや歌詞に注目してほしいです。ギタリストとしてはギターサウンドにも。ほぼ全曲、全フレーズにワーミーオクターバーがかかっていて、どこを探しても見つからない、普通じゃないサウンドになってます。
さき
めっちゃ濃いです。完璧じゃないけどそれが好きです。いろんな意味でライヴ感がすごい! 耳で聴いているだけでなく、ライヴを目で観ているような感覚になると思います。

思い入れのある楽曲をそれぞれ教えてください。

さき
私はやはり「窒息」です。ほぼ初めての作詞作曲というのもありますし、曲も大切な人に向けたリアルな歌なので。思い入れの強い、大切な一曲です。
僕も強いて言えば、やっぱり「窒息」ですね。メロディーラインや歌詞は美しく切ないですが、“それだけの曲で終わらせない”っていうメンバーの意志や覚悟がアレンジにも表れています。ギターのワーミーサウンドも、ベースのディストーションのタッピングも、あのメロディーからそうそう出てくるようなアレンジではないし、良い意味で常軌を逸している曲だと僕は思います。
僕らが一番最初に自主制作したEPに入っていた曲なので、「産声」にとても思い入れがあります。
康平
「素晴らしき日々」ですね。なぜなら、僕のギターリフがとてもカッコ良いからです(笑)。

今作ではプロデューサーを迎えたこともありますが、作ったことで改めて得られたことや発見できたことはありましたか?

康平
今回プロデューサー兼アレンジャーとしてお手伝いしていただいた篠さんに、メンバー4人だけでは気が付かないことをたくさん教えていただけましたね。バンドマン的な目線だけじゃなくひとりのリスナーとしての目線で僕らを見てくれて、自信にも参考にもなりました。
例えば今回のリードトラックの「窒息」は、さきちゃんが初めて作詞作曲を担当した曲だったので、メンバーの底が見えないセンスを発見できました。バンドを支え続けてきた潤のセンスと化学反応を起こして、これから4人で作っていく楽曲が楽しみで仕方ありません。
さき
自信が付きました。バンドとしての持ち味も、バンド内での自分の立ち位置も、はっきりとしたし、これからどんなふうに曲を作るかも見えてきて。今まで後回しにしていたことや不安でできなかったことを全部やってみたら、“こっちのほうがいいじゃん”ってなることが多かったです。
僕は“さきちゃん歌うま!”に尽きます(笑)。

リリース後の活動としては?

康平
まずはワンマンライヴですかね。
明確なビジョンは持っていますが、それは結果で示していきます。
さらに飛躍したいですね。“もっとできる”っていう可能性を見出せたので、それを実現させてきたいです。
さき
私たちの曲とライヴをいろんな人に知ってもらえたら嬉しいです。そのために、自分たちで納得できるものをちゃんと確実に作っていきたいです。
『アンデルセン』
    • 『アンデルセン』
    • LFRR-0001
    • 2017.01.11
    • 2160円
KOZUMI プロフィール

コズミ:2013年に長野県伊那市出身の同級生4人で結成された男女ツインヴォーカルバンド。クリエイティブな楽曲、年間100本近い本数に裏打ちされた圧巻のライヴパフォーマンスで、耳の早い音楽ファンや関係者の間で話題となる。16年1月、ミニアルバム『アンデルセン』で全国デビューを果たす。KOZUMI オフィシャルHP

OKMusic編集部

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