L→R 原田(Dr&Cho)、中野大輔(Gu&Vo)、関(Ba&Cho)

L→R   原田(Dr&Cho)、中野大輔(Gu&Vo)、関(Ba&Cho)

【ジラフポット】いつまでも不完全で
ありたい

一度聴けばその強烈なインパクトと中毒性にノックアウトされること間違いなし! ジラフポットが初の全国流通盤『Hydro human』を2月26日にリリースする。
取材:高良美咲

まずは、ジラフポットの結成のいきさつについて教えてください。

原田
僕と中野が音楽の専門学校で出会って、僕から声をかけて一緒にやってみようってところからですね。
中野
学生時代、原田さんが私をバンドに誘ったことで基盤ができ、ベースのみ9回のメンバーチェンジを経て関が正式加入して今に至ります。

“ジラフポット”というバンド名の由来は?

中野
メンバー内であまり意味を含まないバンド名にしたいという意見と、動物の名前を入れたいという意見が合わさって一度“ジラフポッド”に決定しました。しかし濁点で終わるとなんかカッコ付けて聞こえるし、初見の人が言いやすいなとひねくれた私が“ジラフポット”と濁点を排除した結果、言いにくいほうの“ジラフポット”に決定しました。

ジラフポットはどんなバンドだと思いますか?

中野
“うわぁ、こいつら面倒臭ぇ”です。
原田
難しいですが、僕が思うに気難しそうで、素直なバンドですかね。

現在の音楽性などに影響を与えた音楽はありますか?

中野
私は母親の影響でQUEENを小さい頃から聴いてきました。コーラスやオーバーダブに関してはかなり影響を受けたと思います。
Janne Da Arcです。中学の時に友達に勧められて聴いたらカッコ良くて。当時音楽にまったく興味なかったのですが、すごくギターを弾きたくなりました。しかし、ベースを弾いています。

昨年12月1日には大阪RUIDOにてワンマンライヴを行ないましたが、その後、意識やバンドとしての変化はありましたか?

中野
“継続は力なり”という言葉の意味が少し分かったような気がしました。
やるべきことが明確に見えてきました。同時に、ステージに臨む意識もより高くなりました。
原田
初めてのワンマンだったのですが、その後からバンド内の意識はかなり変わったと思います。みんなそれぞれ、いいふうに。

そして、2月26日発売のミニアルバム『Hydro human』は初めての全国流通盤となりますが、まずどのようなビジョンを掲げて制作に取り掛かったのでしょうか?

中野
私の脳の中で完成されている音楽と、ライヴで3人だけで演奏する音楽がまったくの別物で。もちろんわざと別物にしているっていうのもあります。でも脳の中も見てほしいというか、こういう感じで頭の中で再生されてます!!ってのを再現したいという思いで制作に取り掛かりました。

以前からライヴで披露されていた楽曲など、8曲が収録されていますよね。選曲はどのように?

中野
私が選曲するとものすごく偏ったアルバムになってしまうので、ふたりの意見をかなり意識しつつ選びました。最初に言ってた意見はベースの関にほぼ却下されたような記憶があります。悩んだ挙句、アルバムには“喜怒哀楽”と“無”をイメージできる曲を入れようと思い最終的にこのかたちになりました。
昨年は自主企画を3回行なったのですが、その際に新曲として持って行った3曲は入れようと。あとは偏りすぎないように意識しました。
原田
メンバーで話し合ってこれが入るならこれを入れたい、これは今作じゃないって話しをしつつ決めていきました。

今作のためにアレンジをし直した楽曲はありますか?

中野
大幅にアレンジを変えた曲はないですね。ライヴとは別物にしてるので変えなくても変化は楽しめるんではないかと思います。
原田
基本的にレコーディングになると中野がギターをかなり重ねるので、その辺で曲のイメージが変わったりしている部分はあると思います。

1曲目を飾る「HECTOR-G」は鬼気迫るバンドサウンドに、《やってらんねぇ》というフレーズが耳に残りますが、場面によって怒りや悲しみのような感情を歌い分けているのが印象的でした。

中野
1曲の中で主人公へいくつかの選択肢を与えて、最終的にどちらか決めさせずに終わらせたりすることはよくします。聴き手に投げつけてエンディングを迎えるといった感じです。どちらに決めるかは聴く人に委ねることが多いですね。サウンド面であえてダサいことをしたり、自分たちが納得いかなくても絶対マニアは喜ぶでしょってところはそっちを優先したり、いい意味で中途半端なアレンジを意識してます。振り切る時は振り切りますけど。この楽曲は制作当初、私が精神的にやつれていた時期とも重なって大っ嫌いだったんです。でも、関はやろうやろうってうるさかったんです。これやるぐらいならバンドを辞めるぐらいやりたくないって言っても関は“これやろうこれやろう、自信ある、これは大丈夫だ”と。そこまで言うならと作って、歌詞も“この曲やりたくねー!”って素直に《やってらんねぇ》って書いたんです。そしたらなんかスッキリしたというか、悪魔は口から去っていきました。今ではかなりアルバムの中でも聴いているほうです。
もともとは“大阪ディ○ニーランド(仮)”というボツになった曲だったのですが、どうしてもやりたくて半ば強引に進めました。かなり中野を苦しめましたが、その分感情が乗ってパワーのある曲になったと思います。

「オレンジテレフォン」は“tonight”という掛け声がライヴアンセムになりそうな楽曲ですが、これは制作の時からライヴを意識していたのですか?

中野
その通りです。あえて中身をすっからかんにして、シンプルに“ライヴ用に覚えてね”といった感覚でアルバムに入れました。他の楽曲が込み入った感じで、たまには軽くいきたかったので。
“掛け声を入れて”と言い続けた記憶があります。お客さんと一体になれる曲が欲しかったんです。
原田
この曲は“みんな歌えて楽しそうならええんじゃない”って感じから作り始めた気がします。僕の声が入ってる部分があるんですが、レコーディングの際、エンジニアの方にその部分はとても褒められました(笑)。

今作を締め括る「ワンダーサワー」は潤いのある歌声がさわやかですね。

中野
アルバムを締め括る最後の曲は絶対笑顔で終わりたい、喜怒哀楽の“喜楽”で終わりたいって思ってました。でも、そんな曲が少なめな私たちはもう作るしかないなと。もともとある程度曲はできていたものの歌詞がなかなか決まらないし、ライヴでもやりそうにない「ワンダーサワー」、こいつを完成させてアルバムの最後に突っ込んでやろうと思った次第です。

ベースラインが臨場感を引き立てる「nocebo effect」、声や言葉を色に例えた「ウルトラカラフル」、さらに「I don't know don't I」はストーリーを頭の中でふくらませられたり全体的に比喩的な表現が多く、歌詞を読みながら聴くことでまた違った面からも楽しめますね。

中野
歌詞はある程度何を言っても直接怒られないんで、なるべく素直に書いています。あとアレンジ同様、聴き手に選択肢を与えて答えは委ねてます。

今作のタイトル“Hydro human”に込められた意味とは?

中野
水のようにさらさら流れていく、誰のためでもない言葉たちを吐き散らすクソみたいな奴をぶっ殺す。肉体的ではなく精神的に、そして新たな人間に再構成する。…すみません、実は変態でした。

(笑)。ずばり、聴きどころはどこでしょう?

中野
いかに人間がダサくて、弱くて、ここぞという時に強いか、歌詞やコードテンションの積み方やベースやドラムとの絡みで表現しております。“喜怒哀楽”と“無”はどの曲に当てはまるか考えながら聴いてほしいです。

制作を終えて、何か発見できたことなどはありましたか?

中野
他者の音楽以外に人の言葉や映画や景色や、多種多様な事柄から曲になっていくんだなとCDというかたちになった時に改めて感じました。
原田
レコーディングして曲が出来上がった時はすごい得るものがありますね、できたー!って感じが。みなさん当たり前でしょうけど(笑)。この作品を出すことによってより多くの人に聴いてもらえる立場に立てたっていうのは大きいです。

そんな『Hydro human』は、ついに2月26日にリリースとなりますね。

原田
今までライヴハウス限定でしか手に取れなかったCDが、お店でいつでも手に入るっていうことがやっぱり大きい一歩だと思うので、音源もいいけどライヴもいい!!って言われるよう精進していきたいです。
日頃から応援してくれている人も、『Hydro human』を機に出会う人も、みんなで一緒にいい景色を作っていきたいです。

人間臭い部分が詰まっていて、幅も広い一枚になっていると思います。

原田
人にお渡しする時には“濃いですよ”と自信持って言える一枚です。
中野
正直なところ、収録曲数が少なすぎてまったくジラフポットらしさを表現し切れませんでした。まぁ、そこがジラフポットらしさということにしておいてください。いつまでも不完全でありたいです。
『Hydro human』
    • 『Hydro human』
    • GPCD-1001
    • 2014.02.26
    • 1890円
ジラフポット プロフィール

ジラフポット:2009年に大阪で中野、原田を中心に結成。11年に関が加入し現在の編成になる。キャッチーなメロディーと変幻自在で先が読めない展開、感情を爆発させたようなエモーショナルなサウンド、そして卓越したライヴパフォーマンスで圧倒的な存在感を示す。ジラフポット オフィシャルHP

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