L→R 藤田 彩(Ba)、朝日 廉(Vo&Gu)

L→R 藤田 彩(Ba)、朝日 廉(Vo&Gu)

【コンテンポラリーな生活】自分で聴
いていても泣けるくらいの力が必要だ
と思った

2016年、二人体制での活動続行を発表したコンテンポラリーな生活。見通しの良さすらも感じる新体制第一作目のミニアルバム『BAKEMONO in the Tennoji Park』について朝日 廉(Vo&Gu)に訊いた。
取材:高良美咲

今年に入って、ドラマーの脱退と同時に朝日さんと藤田さんの二人体制での活動続行を発表しましたが、今後の活動についてはどのように考えていましたか?

メンバーはサポートになるものの、とにかく今まで通りやろうと思っていました。活動を休止したり、解散したり、新たなメンバーを加えたり、なんてことは今のところは考えず、目下のライヴをちゃんとやってみせて、観に来た人をがっかりさせんとこうとだけ考えてました。

前作EP『ヤンキーガール』から約8カ月振りに発表されるミニアルバム『BAKEMONO in the Tennoji Park』は、二人体制になっての一作目となるわけですが。

メンバーが変わったことによって、おそらく“メンバーが変わっちゃったから、なんか聴いててもつまらんな…”って思う人が少なからずおるんやろなって思ったんで、そういう人らに舐められんような曲にしたろうとしてました。中途半端なエネルギーやと見向きもしてもらえん気がしたので。自分で聴いていても泣けるくらいの力が必要やと思いました。

それに向けて、どのような楽曲を収録しようと?

単純に、面白いと思える曲ばかりを選びました。やっぱり自分が聴いていて楽しいと思えないと作っててテンション上がらないので。「かえるくんの冒険」の制作中とかはテンション上がりっぱなしでしたね。

主軸になった曲はありますか?

リードトラックの「化け物になれば」です。王道をやり切ったこの曲がいてくれたからこそ、これを中心にいろんな方向に暴れることができました。あと、こういうストレートなギターロックの存在が全体像の指標になったというかなんというか、EP『ハスキーガール』(2015年6月3日発売)を作ったあたりからそうなんですが、3ピースバンドとしてやりたいことがだんだんはっきりしてきたんです。今回はそれがこの曲によってより見えてきたんだと思います。

「化け物になれば」は順調にいかない現実の中でも前向きに進んでいく楽曲ですが、《ロックンロールという言葉は 弱さすら歌うんだぜ》《ロックンロールという音楽は 強さゆえ笑うんだぜ》という言葉にバンドの道筋や意志を感じました。

もともともわりとストレートなギターロックを作っていたのですが、歌詞はもっと内に向いた個人的なことを歌っていました。でも、作ってるうちになんだか物足りない気がしてきて、“もっとガツンと歌わねば…!”と強く思っているうちにこの曲ができてきました。1番だけだと“弱さ”を歌うロックなのですが、2番までいくとそれが“弱さすらも笑って歌うロック”になるんです。これが今までバンドが歩んできた道のりと、これから見据えている道のりの変化を表しています。“意図的に変わるぞ!”と思っているわけでもないのですが、きっとこれからも変化はし続けるんだろうなという歌に結果的になりましたね。歌詞の内容に関しては、全部が全部自分の体験談ではないのですが、全部実話ではあります。今まであったいろんなことを思い浮かべながら書いた歌詞です。

「居酒屋で出てくるタイプの唐揚げが食べたい」は、ど直球のロックサウンドにお祭りっぽいノリやコミカルな歌詞が相まっていて面白かったです。

やっぱり楽曲にフックを求める性格なのかなんなのか、普通すぎたらおもんないなという意気込みで作っているので、あんなことになっちゃいます。アルバムの中でもお気に入りの一曲です。

「かえるくんの冒険」は思わず一緒に口ずさみたくなるようなフレーズが印象的で、ライヴで盛り上がる一曲になるのではないかと思いました。

作ってる最中は、なんかアドレナリンがドバドバ出てましたね。“変な曲、楽しー!”みたいな。出来上がってみると意外にもポップで驚きました。変な曲であることには変わりないですが、サビのメロディーがなんだかとてもアメリカンで、自分で聴いてても気持ち良い曲です。早くライヴでやりたいです。

今作を締め括る「虹がかかったなら」は、アコギとハーモニカによる郷愁感がありますね。

ミニアルバムの最後になんだか尾を引くような寂しさを感じてほしいなーという。聴き終えたあとの余韻があればいいなという思いでできた曲ですね。この曲のおかげでこのミニアルバム自体が、よくできたひとつのショーみたいになった気がします。

他にも、ゆるさの中に衝動感を感じる「僕は鳥」から、背中を押してくれるような「ステレオサイン」まで、多彩な全6曲が収録されましたね。

ポップで聴きやすい盤になったと思うので、ぜひいろんな人に聴いてほしいです。特に僕らより若い世代にももっといっぱい変な曲を聴いてほしいので、そこらへんもうまくバランスがとれているはずです。

今作に名付けられた“BAKEMONO in the Tennoji Park”というタイトルに込めた想いは?

“僕はここにいるぞ!”という自己主張です。長く住んでいる土地なので、天王寺という地名には愛着があって。歌詞やタイトルに入れると“俺の作品だ!”となんだか気合が入るのもあってこのタイトルになりました。

今作の中でも思い入れのある曲はありますか?

3曲目の「何もないサンデイ」です。やっぱりこういうのが一番得意だなと思います。曲も歌詞も。特に最後サビあたりは自分の良さをちゃんと引き出せたなと、ちょっとだけ自画自賛しました。

作り終えて何か得たものや再発見できたことはありましたか?

もっと変な曲を作りつつも、もっとポップになれそうだなと。さらに開けた曲を作れそうな可能性みたいなものを感じました。もしかしたらすごいポップな曲とかも自分に向いてるのかな?といったことも考えましたし。ドラムが抜けたことによって曲の作り方も大きく変わって、改めて曲作りにじっくり向かい合わなければと思っています。

リリース後は今作を提げて7月10日から東名阪ワンマンツアーを行ないますね。

ライヴというものに対して、本当に魂を込めなければ何にも勝てないんだな、と最近すごく思います。ライヴが良くなっているかどうかは自分やとよく分かりませんが…絶対にいいもん観せたろっていう覚悟はできてます。ワンマンに限ったことではないですが、今のコンポラのライヴは謎のエネルギーに満ちています。ぜひ目撃していただきたい。よろしくお願いします。
『BAKEMONO in the Tennoji Park』
    • 『BAKEMONO in the Tennoji Park』
    • XQMB-1007
    • 2016.06.08
    • 1728円
コンテンポラリーな生活 プロフィール

コンテンポラリーナセイカツ:地元大阪、高校の軽音部にて朝日 廉、藤田 彩、酒井俊介の3人で結成。“どのバンドとも似たようなことはしたくない”という捻くれたポップミュージックの理想型を目指して活動を行なう。2016年1月1日、活動休止中であった酒井の脱退と同時に二人体制での活動続行を発表。6月8日、新体制初となるミニアルバム『BAKEMONO in the Tennoji Park』をリリースする。コンテンポラリーな生活 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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