L→R さいとー(Dr)、かずき(Gu)、向後雅貴(Vo&Gu)、SHAKE(Ba)

L→R さいとー(Dr)、かずき(Gu)、向後雅貴(Vo&Gu)、SHAKE(Ba)

【鳩とスパイス インタビュー】
活動はこれからどんどん広く、
さらに精力的になっていく

“乾いた部分を潤したい”というテーマを掲げ、耳に残るポップなメロディーとテクニカルなバンドサウンドを身上にライヴハウスで活動を続けてきた“鳩スパ”こと鳩とスパイスが結成から10年、ついに初の全国流通盤となるシングル「それは銀河鉄道にて」をリリースする。彼らが持つ振り幅をそれぞれに物語る表題曲他3曲について語ってもらった。

音楽を聴くことで
自分が変われる

音源の全国流通は鳩スパにとっても目標のひとつだったと思いますが、その意味では、結成10年目にして、また新たな一歩を踏み出すという気持ちもあるのではないでしょうか? 

向後
全国流通盤を出すことは憧れのひとつだったので嬉しいし、ずっと続けてきて良かったというのがまず一番にあります。とはいえ、全国流通盤を出したからって何かが変わるわけでもなく。レーベルのスタッフを含め、自分たちの手伝いをしてくれる人たちが増えたことはありがたいですけど、ここまで自分たちを信じてやってきたので、これからも自分たちらしいスタンスで進んでいけたらと思っています。
かずき
僕は全国流通盤を出す実感がまだ全然湧かなくて(笑)。“何か変わるのかな?”ぐらいの気持ちでいるんですけど。
さいとー
まったく一緒で、出してみてないと分からないという感じです。
SHAKE
自分はこれでやっといろいろなアーティストと同じ舞台に立てたんだという気持ちがあります。そういうバンドとやっと戦えるぞっていう。

実感はないとおっしゃいましたけど、期待はしているんですよね?

かずき
そうですね。
向後
期待はあるよね。
SHAKE
でも、期待しすぎちゃってもね。
向後
そうなんですよ。ここまでずっと流通盤を出さずにやってきたせいか、期待しすぎるのも怖い(笑)。
SHAKE
ここで浮かれちゃうと緩んじゃうっていうのはあるので。
向後
足を取られるよりは、そっちのほうがいいと思うんですよ。

なるほど。そこは今一度、気持ちを引き締めていこうと。ところで、14年に向後さんを中心に結成された鳩スパの歩みを簡単に振り返りたいのですが、もともと向後さんはBUMP OF CHICKENのライヴを観て、バンドをやりたいと思ったそうですね。 

向後
そうです。その後、RADWIMPSにどハマりして、それから当時、DIRTY OLD MENというバンド名で活動していたMAGIC OF LiFEや、UNISON SQUARE GARDENを聴いてきました。そういう邦楽ロック系を聴き漁って、ここまで出来上がった感じです(笑)。

鳩スパが掲げている“乾いている部分を潤したい”というテーマはバンドを組んだ当初からあったのですか?

向後
その言葉自体はなかったんですけど、それに似た感情は当初からありました。BUMP OF CHICKENの音楽に魅了されて、自分でも音楽を始めた当時は、わりと自分自身が劣等感が強いタイプというか、自分にそんなに自信を持てずに常に周りの目線を気にして行動して、流されて生きているような感じだったんです。しかも、“そんなものか”と諦めていたようなところもあったんですけど、BUMPと出会って自分自身をちょっと変えてもらえたというか、音楽を聴くことで人間が変わったように自分が変われるんだと思って、バンドを組んだ時に自分たちのリスナーや、これから出会う人に同じような体験をしてもらいたいと思いました。その気持ちは最初からずっと変わらずにあります。その気持ちがいつしか“乾いた部分を潤したい”という言葉になったんです。

その後、メンバーチェンジを繰り返して、現在のメンバーになったのが2021年。向後さんがライヴハウスで出会ったメンバーに声をかけていったそうですが、3人はどういう順番でバンドに加わったのですか?

向後
3人の中ではSHAKEが最初だったんですけど…
SHAKE
別のバンドを始めて、そっちをやりたいということで自分は1回抜けたんです。
向後
脱退されました(笑)。なので、別のベースを入れて活動を続けていたら、今度はドラムが抜けることになって。
さいとー
自分が誘われました。
向後
もともと3ピースで活動していたんですよ。

あっ、そうだったんですね。

向後
本当は4ピースでやりたかったんですけど、自分が納得できるギタリストと出会えなくて。誰かいないかとずっと探していたところに、それまでやっていたバンドがなくなったかずきが現れたので声を掛けました。ずっと目をつけていたんですよ。ところが、当時のベースが抜けてしまって、もう無理ってくらい僕の体調が悪くなってしまったので、いったん活休を挟んでから、ようやくさいとーとかずきが正式メンバーになって、そのタイミングで“もう1回、バンドをやりたいから手伝ってくれない?”と声をかけたのがSHAKEだったんです。
SHAKE
“1回抜けておきながら、どの口が言うんだ!”と思われるかもしれないですけど、向後の音楽がめちゃめちゃ好きなんですよ。だから、“手伝ってくれない?”と言われた時は、もう1個のバンドは解散していたので、ぜひやりたいと思いました。
向後
ありがとうございます(笑)。

さいとーさんとかずきさんも同じ理由から向後さんとならと思ったのですか?

かずき
そうですね。
さいとー
もともとは変拍子を使うようなバンドで、今とは全然違うスタイルだったんです。それが魅力的で、しかも向後ならフロントマンを任せられると思って、自分は話を受けました。

もともと変拍子を使っていたのですか?

向後
cinema staffとか、the cabsとか、そういう系のバンドも好きだったので、3ピースでやるなら変拍子を使ったほうが3ピースらしい見せ方ができると思ってやっていたんですけど、かずきが加わって演奏の幅が広がったという感じですね。

向後さん以外の3人の音楽的なバックグラウンドも聞かせていただけますか?

かずき
僕は向後とまったく一緒ですね。BUMPから入って、RADWIMPSを好きになって、そこからDIRTY OLD MENをはじめ、当時のインディーズバンドをキッズとして聴きながら育って、今に至ります。
さいとー
自分もそうです。BUMPから入って、RADWIMPSを聴くようになり、『ミュージックステーション』で観た9mm Parabellum Bulletに衝撃を受けました。“えっ、演奏してないじゃん!?”って思ったんですよ(笑)。 
SHAKE
いやいや、演奏しているから(笑)。

それ以上に暴れているから(笑)。

さいとー
(笑)。でも、それがカッコ良くて! “バンドってこういうことをしてもいいんだ!?”となり…その時、何か没頭できるものが欲しかったっていうのもあると思うんですけど、その影響で音楽をやり始めました。そこから、マキシマム ザ ホルモンをはじめ、激しめのバンドを聴いて、高校の時にMONGOL800とHi-STANDARDを教えてもらって、メロコアというジャンルを知り、そこから鳩スパ以前はずっとメロコアっぽいバンドをやっていました。
SHAKE
自分は3人とは逆に中高生の頃はBUMPとかRADWIMPSとか一切聴いてなかったです。バンドをやりたいと最初に思ったのはELLEGARDENで。そこからASIAN KUNG-FU GENERATION、9mm、凛として時雨、相対性理論にハマりました。その後、鳩スパでは作ってないんですけど、自分でも曲を作るようになってからはボーカロイドにハマって、ボカロPを聴いて、今に至るって感じです。BUMPを聴いて“すげえいい!”とは思いましたけど、向後たちとはちょっとルーツが違うんですよ。

とはいえ、みなさん音楽的には重なるところも多いことを考えると、曲を作る上では、細かい話をしなくても理解し合えるのでは?

向後
そうですね。自分はそれを結構感じています。みんな音楽の解釈が広いタイプなんですよ。なので、自分がデモを送った時に、自分なりに噛み砕いて、“向後はこういうふうにしてほしそう”みたいな感じもちゃんとエッセンスとして取り入れつつやってくれているんで、曲を作る時は“ここはこうしてほしい”みたいなことはほとんど言わないと思います。わりとやらせたい放題っていう(笑)。
L→R さいとー(Dr)、かずき(Gu)、向後雅貴(Vo&Gu)、SHAKE(Ba)
シングル「それは銀河鉄道にて」

OKMusic編集部

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