L→R マッシュ遠藤(Dr&Cho)、天野大地(Ba&Cho)、原田 巧(Vo&Gu)、矢野拳志郎(Gu&Cho)

L→R マッシュ遠藤(Dr&Cho)、天野大地(Ba&Cho)、原田 巧(Vo&Gu)、矢野拳志郎(Gu&Cho)

【GINNEZ】“ここからが勝負”と感じ
た前作から1年。さらにロックに振り
切った新作が完成

北海道から上京して丸4年。ライヴハウスを拠点に歌の力でファンを魅了する4人組、GINNEZが2ndミニアルバム『HELLO』をリリース。今を懸命に生きることを歌いながら、前作以上にロックに振り切ったという新作について、メンバー4人がそこに込めた想いとともに語る。
取材:山口智男

GINNEZはどのように始まったのですか?

矢野
高校時代、音楽の授業でギターを始めるきっかけがあって、どうせやるならバンドを組みたいと思い、中学の時に同級生だった原田を誘いました。彼は別に楽器をやっていたわけではないんですけど、歌が上手いことは知っていたので、原田と僕の高校の同級生だった天野に声をかけて、そこからバンドが始まりました。
天野
いきなり“バンドやろうぜ”って言われて、“いいよ”って言ったら“じゃあベースな”って。“あ、俺、ベースなんだ”って感じでした(笑)。
矢野
仲が良い奴らとやりたかったから、それまで楽器をやったことがない初心者ばかりで組んだんですけど、しばらくして前のドラマーが抜けた時、対バンしたことがあるマッシュを誘って、今のGINNEZになりました。それが2012年です。

バンドを始めたってことは、バンドに興味があったということですよね。みなさん、どんなバンドが好きだったのですか?

矢野
BUMP OF CHICKENとか。
原田
ASIAN KUNG-FU GENERATIONとか、スピッツとか、ギターロックって言うんですかね? そういうところから聴き始めて、どんどん広がっていきました。
天野
僕はその他にもボン・ジョヴィとか、L'Arc-en-Cielとか、GLAYとか、そういうロックバンドも聴いていました。

マッシュさんもバックグラウンドは似ているのですか?

マッシュ
最初にバンドを知ったきっかけはELLEGARDENでした。もともとドラムはちょっとやってたんですけど、バンドってすごいと思って真剣にやり始めたんです。

お互いに、どんなところを認め合ったのですか?

マッシュ
対バンした時から歌がすごくて、このバンドで叩いたら面白そうだなって思ったんですよ。そしたら自分のバンドが止まってしまい、GINNEZからドラマーが抜けたタイミングで“良かったら叩かせてくれないか”って言ったら“東京に行く”って言うので“分かった。俺も一緒に行くよ”って(笑)。
矢野
バンド初心者だった僕らからしたら、彼はすごく上手かったんですよ。
天野
だから、最初は“こういうふうに叩いて”って言って、その通りに叩いてくれるのが衝撃でした(笑)。
原田
そうだった、そうだった(笑)。
矢野
何でも叩いてくれるから、僕らも求めるものがどんどんエスカレートしていって(笑)。
マッシュ
“いや、それは腕3本以上ないと叩けないから”とかって言ってました(笑)。

去年、初の全国流通盤となる1stミニアルバム『You are You』をリリースしてから1年。今回の作品はそれを踏まえての作品だと思うのですが、前作でどんな成果を残せたと考えていますか?

原田
前作を出した時、やっとここまで来られたという達成感はありましたけど、同時にここからが勝負で、気を引き締めていこうという気持ちもありました。正直、どれくらい成果を残せたかというとまだまだなんですけど…今回の2ndミニアルバムは確実に自分たちがやりたい音楽や自分たちが伝えたいものが見えてきたからこそ作ることができたんだと思います。

前作を作ったことで見えてきたやりたい音楽、伝えたいものとは?

原田
音楽性としては、前作からロックにしたくて、今回もそれを意識しながらアレンジしていきました。歌詞は“今を懸命に生きる”ということがテーマになっているんですけど、ぼんやり見えてきたものがしっかりとかたちになって、前作よりも明確に伝えられるものになったと思います。

原田さんの伸びやかできれいな歌声がGINNEZの大きな魅力だと思うのですが、歌をしっかりと聴かせる一方で、おっしゃる通りバンドサウンドはロックしていて、ガツンとくるところが印象に残りました。

矢野
上京したばかりの頃は歌モノというか、ライヴでもとにかく歌を聴かせてきたんですけど、どこか物足りなさを感じていたんです。お客さんがじっと聴いているようなライヴではなく、お客さんとひとつになって一緒に作り上げるような熱量のあるライヴをしたかったんですよ。対バンからも刺激を受けていたこともあって、どんどんロックにしていこうとなりました。

ロックなサウンドを作るにあたって、具体的にはどんなことをやったのですか?

矢野
原田が曲を作るんですけど、以前はそれに対して、そのままバックを付けていたんです。それが、今はビートから作って原曲をどれだけ崩せるかということを考えるようになりました。
原田
弾き語りで持っていくから、それに演奏を付けると、ただそれだけにしかならないんですよ。でも、この3人は何をするにしても歌を大事にしてくれると分かっているので、安心して任せられるんです。

ビートを決めるのは?

マッシュ
聴きながら曲のイメージを僕が決めるんですけど、とりあえず広げていったところから、“これはダメ”って線引きしながら。
矢野
そうですね。各々やりたいことをぶつけてみて、音がぶつかったら、その都度音を出しながら決めていきます。

“ロックにする”という意味では、矢野さんのギターの役割も大きかったのでは?

矢野
その引き出しがなかったので、これまであまり聴いてこなかったハードな音楽も、どういうアプローチをしているんだろう?って意識しながら聴くようになりました。

ギターのフレーズは、王道のロックという感じで。

矢野
流行りに乗っかりたくないというのがちょっとあるんですよ(笑)。“昔ながらのロックだよね”ってよく言われるんですけど、THE YELLOW MONKEYやJUDY AND MARYのサウンドが好きということもあって、小難しいことをせずにカッコ良いフレーズを弾きたいと思いながらリフとかフレーズとかは作ってます。

ギターソロでこんなにチョーキングする人も今どき珍しいと思いました。

矢野
今、あまりいないですよね(笑)。タッピングばかりで。

今回の7曲は、どのように選んだのですか?

原田
バランスを考えながらみんなで決めました。バラードを何曲にするか、ロックに攻める曲は何曲にするかなどを考えた結果、今回の7曲になりました。

新たな挑戦と言える曲はありますか?

原田
唯一のバラードである「ホロスコープ」では、バンドとして初めて3拍子に挑戦してみました。
マッシュ
最初は普通に8ビートで作ってたんですけど、歌が乗ってないと思って“3拍子にしてみたらどう?”って提案したら、みんなそこからノリノリになって。
原田
“いいじゃん、いいじゃん”って(笑)。

リードギターが泣きまくっていますね。

矢野
封印したわけではなかったんですけど、バラードをずっとやってなかったんで、今回、改めて今の俺らができるバラードを作りたいということでやってみたんです。“もっと泣かせてよ”ってみんなからのリクエストを取り入れながら、自分でもこだわって作ったらこういうふうになりました。

「東京」の和風の歌メロも印象的でした。

原田
それも挑戦のひとつと言ってもいいかもしれないです。予想以上にはまったと思います。

リズム隊が重ためというところもGINNEZサウンドの特長だと思うのですが、その「東京」ではそれが顕著に出ていますね。

マッシュ
僕の趣味出しまくりです(笑)。海外のハードコアが好きなんですよ。そこからの影響と言えるフレーズはいくつかありますね。この曲は特に“これやりたい”“これもやりたい”という我がままを聞いてもらったところが多いです(笑)。

歌詞は“今を懸命に生きる”ということがテーマとおっしゃったように、どの曲も夢を追いかけながら、思い通りにいかない不安や迷いに加え、自分の不甲斐なさを歌っていて。リスナーはきっとそこに共感していると思うのですが、歌詞はどのようなところからインスピーレーションを受けているのでしょうか?

原田
僕自身がそんなに強い人間じゃないんですよ(笑)。だから、凹んだり悲しい気持ちになることがよくあるんです。でも、自分で選んで音楽をやっているわけだから、そういう気持ちも歌にしていかないといけないし、伝えていかないといけないと思って。無理矢理前向きに作るものもあれば、“そのままでいいんじゃないか、それが生きているってことだろ”ってなるものもあるので伝え方はいろいろなんですけど…。最後には聴いている人の背中を押すというか、一緒に手をつないで歩けるようなものになるように書いています。
天野
原田を知っているだけに、“その気持ち分かるぜ。俺も悔しかったぜ”ってところが、僕は結構ありますね。いや、それが合っているかどうかは分からないですけど(笑)。
原田
聴いた人それぞれに置き換えてもらえれば、それでいいというか、彼がそう思ってくれるなら、それはそれでありがたいです(笑)。

ヴォーカリストとしては、今回どんな挑戦がありましたか?

原田
メロディーに対して、どれだけ普段自分が話しているように言葉をはめられるか、言葉を言葉としてちゃんと届けられるかというのを前作以上に意識しながら書いていきました。それと同時に、レコーディングの時もそこにどんな気持ちが乗っているのかをすごく考えながら歌いました。
マッシュ
見ていると、あまり力まないようになったと思います。気持ちの切り替えがスムーズになったのか、“次、この曲を歌います”ってその曲の中に入り込む時間が早くなりましたね。前は曲に対する気持ちを作るのに時間がかかったんですけど、そこは成長したところだと思いました。
天野
悔しいとか楽しいとか、歌の中のいろいろな表情が見えるようになったと思います。
矢野
しかも、原田節っていうんですかね? 彼特有の歌い回しをポイントポイントで入れてくるなって(笑)。

今回、楽器隊はどんなアプローチを?

マッシュ
今回は“GINNEZのロックはこうだ”ってところを尖らせようという意識がありました。その上でロックと歌の二面性を、より濃くできるように考えながら作りました。ドラムに関してはビートはシンプルにして、出るところが出る時に面白いことをやりたいと考えました。
矢野
もちろん、歌を大切にした上でですけど。ギターについて言えば、前回よりも自分らしさがはっきりしてきましたね。「ひとゆめ」という曲では、ギタープレイ的にいろいろやってみたんですけど、これまであまりやらなかったタッピングにも挑戦してみたんですよ。

ベースはリズムを支えながら、ここぞというところでは印象に残るフレーズを弾いていますが、どのようこだわりがあるのでしょうか?

天野
フレーズは常に、いかにヴォーカルを引き立たせらえるか考えながら作っています。いいメロディーを歌っているからって、ベースがずっとルート弾きしてればいいというわけではなくて、逆にヴォーカルを殺すこともあるんですよね。だから、ここはヴォーカルと一緒にメロディーを弾かないとヴォーカルが引き立たないだろうとあえて動く時もあります。たとえば、「ひとゆめ」はギターがカッコ良いからベースはドシッとしているほうがいいと思って全然動いていないんですけど、逆に「ハロー」「東京」ではベースもメロディーを弾いています。そんなふうに今回は曲ごとに自分がやるべきことが見えていたので、フレーズもすんなり付けられました。

お話を聞きながら、バンドがひと皮剥けたことが伝わってきました。改めて、どのような手応えを感じていますか?

原田
そうですね。僕らがテーマにしている“今を懸命に生きること”をしっかり表現できた7曲が集まったと思います。特に「ハロー」には今悔しかったとしても“今の自分が一番だ”“今の自分が最高なんだ”というメッセージを込められたので、今回のミニアルバムを聴いて、僕らと一緒に一歩進む勇気を感じてもらえたら嬉しいです。
天野
ライヴを通して、みんなと共有できるものになったと思います。今回、僕ら3人がコーラスするところが多いんですよ。それをお客さんにも一緒に歌ってほしいです。4月20日に下北沢MOSAiCのリリースイベントから、7月5日のTSUTAYA O-Crestファイナルまでリリースツアーをするので、お客さんと一緒にライヴを作っていけたらいいですね!
『HELLO』
    • 『HELLO』
    • NEON-1001
    • 2017.03.22
    • 1944円
GINNEZ プロフィール

ギンネズ:2011年結成。北海道帯広出身のロックバンド。12年に上京し都内での活動をスタート。17年3月、2ndミニアルバム『HELLO』をリリース。同年10月にドラマ―が脱退。3人での新体制となり初のシングル「LIGHT SHIP」を2月7日にリリースした。GINNEZ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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