L→R 亀山敦史(Ba)、陶山良太(Vo&Gu)、もぐ(Dr)

L→R 亀山敦史(Ba)、陶山良太(Vo&Gu)、もぐ(Dr)

【PLOT SCRAPS インタビュー】
PLOT SCRAPSを聴けば、
全部こと足りるような
音楽を作れたら最高

オルタナティブな感性を持つギターロックバンドを装いながら、あらゆるジャンルをポップに昇華させた多彩な楽曲に加え、テクニカルともエキセントリックとも言えるアレンジで差をつけるPLOT SCRAPS。彼らがリリースした『My FRAGMENTS+』は1stアルバムにして全18曲70分超えの大作となった。全曲の作詞作曲を手がける陶山良太(Vo&Gu)は“これを聴いてもらったら、絶対にPLOT SCRAPSのことを分かってもらえるはず”と語る。

アルバムでしか得られない
感動に挑戦したかった

『My FRAGMENTS+』の全18曲70分超えというボリュームに、まずびっくりしました。

2021年3月の「Telephone Box」から10月の「告白」まで、ほぼ毎月配信シングルをリリースしてきた中で、その曲をまとめてアルバムにしたらいいんじゃないかという話になったんです。でも、配信シングルだけでは作品として流れが組めない気がしたので、新曲を追加して考えたら、まとめるのに18曲が必要になってしまって(笑)。いろいろな音楽性をやりたくなってしまうバンドというか、僕がそういう曲をたくさん書いちゃうのもあって、必然的に収録曲が多くなりました。

ご自身で大作だという認識はありますか?

客観的に見たらそう思います。関係者の方に送っても“18曲!?”みたいな反応がすごく多いので、やっぱり大作なんだと思うんですけど、僕的には配信リリースしてきたシングルをコンパイルした作品でもあるので、アルバム初出の曲は6曲なんですよ。18曲が初出しだったらまた感じ方も違ったと思うんですけど。

全曲が初出しではないとはいえ、全18曲というボリュームのCDをリリースしているバンドは他になかなかいないと思うのですが。そこは現在の音楽シーンにインパクトを与えたいとか、挑戦的な態度で臨んでいるとか、そういう気持ちもあるのですか?

シーンに挑戦するみたいな気持ちはないです。個人的にサブスク以前の、アルバムというフォーマットでも音楽を聴いていた世代なので。やっぱりアルバムでしか得られない感動もあって、それが自分の中ですごく大きかったんです。CDよりもサブスクで音楽を聴く人が多い時代ではあるんですが、“そこに挑戦しないと”とは思っていました。

もちろん『My FRAGMENTS+』はアルバムとしてリスナーを感動させることができる自信もあると。

18曲まで膨らんでしまったのは流れを考えた結果でもあって、1曲目から聴いてもらうとバンドの歴史も追えるかたちになっていますし…そうですね、もう自信しかないです。

おっしゃるように全18曲、無闇に曲を詰め込んだわけではなくて、コロナ禍におけるPLOT SCRAPSの活動をまとめつつ、今とこれからのPLOT SCRAPSを印象づけた上で、過去曲も入れたベストアルバムとしても楽しめるものになっています。これまでリリースしてきたミニアルバムの収録曲も入っていますが、どんなふうに選曲したのでしょうか?

これまでミニアルバムを3枚リリースしてきたんですけど、ミニアルバムでは自分の全部は表現しきれないというか、“この視点での切り取り方です”という届け方になってしまうと思っていたんです。だから、アルバムへのこだわりも大きかったし、最初のフルアルバムは多くの人にアプローチできる機会だと考えた時に、昔の作品からもMVを撮っているリード曲と、リード曲ではないけどライヴの定番曲になっている「pink」も入れるべきだと思って、それぞれから2曲ずつ選びました。最後に曲を組む時、それらの曲がないと成立しないようになっていたので、これは必然的に並んだ感覚があります。

アルバムタイトルの“My FRAGMENTS+”には、やはりそこに収録されている18曲全てが陶山さん、ベースの亀山敦史さん、ドラムのもぐさんから生まれた自分たちの欠片という意味が込められているんでしょうか?

それも意味のひとつだと思います。“My FRAGMENTS+”にはもうひとつ意味があって、いつも曲を作りながら思うのが、曲だけに限らず、いわゆるエンターテインメント作品って100パーセントが作ったその人かと言うと、そんなことはなくて。あくまで一個の視点でしかないというか、例えば18曲目の「こころ」だったら「こころ」っていう視点でしかない。その視点の角度から作った人のことは分かるかもしれないけど、その人のことを全部表しているものじゃないと思った瞬間があって。タイトルに“+”を加えたのは、聴いてくれる人という意味なんですけど、つまり曲とそれを聴く人が干渉して初めて意味が生まれるっていう。だから、“My FRAGMENTS+”というタイトルには、作品を作ることに対して自分がどう思っているかみたいな意味も込められています。

さて、PLOT SCRAPSの今とこれからを印象づけるのは、今作で初出しとなる新曲だと思うのですが、M1「My FRAGMENTS」、M2「リブラ」、M6「ユクスキュル」、M12「ねがいごと」、M17「タイセツナモノ」、M18「こころ」の6曲は、アルバムのために作った曲というわけですね?

“何が足りないだろう?”“どういう要素があったら流れが面白くなるだろう?”というところで、書き下ろしたり、昔の曲から選んだりしました。「My FRAGMENTS」はオープニングSEとしてライヴだけで演奏していた曲です。「タイセツナモノ」はかなり前のストックで、4年くらい前からサビのメロディーだけあったんです。

歌詞もあったんですか?

歌詞は最近書きました。前に作った時には具体的な言葉はなかったんですけど、書きたいフィーリングや“切ない”要素はすでにあって、それに合わせて仕上げたので、コロナ禍はあまり関係なく、自分の中の確固たるものとして書きました。

初出となる6曲はそれぞれに違うサウンド、魅力を持っているのですが、それぞれにどんなサウンドをやりたかったとか、バンドのこんな魅力を表現したかったとかなどを教えていただけないでしょうか?

例えば「こころ」だとフォーキーなアプローチ、「タイセツナモノ」だったら初期の僕らのサウンドに近いものであるとか。

あぁ、なるほど。「タイセツナモノ」のエキセントリックなギターサウンドはそういうことなのですね。

そうです。テロテロピロピロしているとか、ソロを破壊的に鳴らすとか、サビのメロディーがグッとエモいとか…そういう要素も自分たちの持ち味だとずっと思っているし、昔のPLOT SCRAPSも好きと言ってくれる人もいるので、そういう曲もあるほうがいいと思いました。「ねがいごと」はほぼ書き下ろしなんですけど、スローナンバーが欲しくて最後に書いたんです。最初は音質を悪くして、こもったような音で、「ねがいごと」が流れている間中は耳を休められるように丸い曲にしたいと思ったんですけど、だんだん変わっていって、若干R&Bっぽい曲になりましたね。初めて自分でピアノも弾いたんですよ。とはいえ、コードもたくさん知っているわけじゃないから、3つぐらいしか使っていないんですけど、あえて上手に弾けてないテイクで作ってみたんです。
L→R 亀山敦史(Ba)、陶山良太(Vo&Gu)、もぐ(Dr)
アルバム『My FRAGMENTS+』

OKMusic編集部

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