ゆいにしお

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【ゆいにしお インタビュー】
相手に“好き”と言わずに、
いかに“好き”と伝えられるか

ゆいにしおが10月放送開始のテレビアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』(以下、『真の仲間』)のオープニングテーマを担当。ストーリーから感じた生活感をヒントに彼女らしさもかけ合わせて完成した配信シングル「息を吸う ここで吸う 生きてく」は、部屋の空気を入れ替えたような涼し気な気分をもたらす。

スローライフ感のある楽曲なら
私の得意分野

ゆいにしおさんは2016年に弾き語りで活動をスタートさせてから、2021年で5年が経ちましたが、ひとつの節目としてご活動を振り返ってみると、どんな5年間でしたか?

振り返る暇もないほど、あっと言う間の5年間でした。5年の間には上京したり大学を卒業したりと、音楽活動以外の人生も転がり続けていたので…

中でも印象に残っている出来事を挙げるとしたら?

やっぱり大きな節目になったのは、現在所属している日本コロムビアのオーディション『半熟オーディション supported by Eggs』でグランプリを獲得したことです。マネージャーをはじめ、たくさんの人に支えていただくようになって、個人戦ではなくひとつのチームで活動する楽しさも分かりました。個人で活動していたら出会えない人にたくさん出会えて、これまで以上の熱量をかけられるのは、やっぱり今でも変わらず嬉しいことです。私は人づき合いがかなり苦手で腰も重いので、ひとりでは今の活動ペースに行くまでに20年はかかるのではないかと(笑)。スピード感があるのはチームならではだと思います。

逆に変わっていないことはありますか?

ちょっとしたイラストや文章を書くことが好きなので、それはずっと続けています。フリー時代には自分のイラストをグッズにしたり、以前はライヴ会場で配布していたファンクラブ会報のようなものも、PCで編集して雑誌のように作ってみたり。そういったハンドメイド好きみたいなところはずっと変わっていないですね。

10月6日には音楽活動6年目に突入して第一弾楽曲となる「息を吸う ここで吸う 生きてく」が配信リリースされます。この曲はアニメ『真の仲間』のオープニングテーマということで、まずはアニメからどんなイメージを持ちましたか?

タイトルの長さから“なろう系の小説かな?”とは想像できました。アニメは好きですし、ラノベはすこし読んだことはあるのですが、なろう系・追放系はほとんどノータッチなのでイメージがあまり湧かなくて、“剣が出てくるのかな?”とか“大きな魔物と戦うのかな?”とか、かなり粒度の低いイメージでした(笑)。

どんなオープニング曲に仕上げるか結構悩まれたそうですね。

ファンタジーやバトルものは触れたことがなかったので、お話をいただいた時は“本当に私にできるかな?”と思いました。ですが、おおもとのテーマが“スローライフ”だったので、“ゆったりとしたスローライフ感のある楽曲なら私の得意分野だ!”と切り口を変えてみたら曲のアイディアが生まれてきたんです。また、原作を読み進めるうちに、主人公のレッドが作るご飯を、リットという女の子が美味しそうに食べていたり、作品の中にちょっとした生活感もあったりして、スルスルとかたちになっていきました。

シンセやトランペットが鳴る晴れやかなサウンドも印象的です。

ミニアルバム『She is Feelin' Good』(2020年9月発表)でご一緒したアレンジャーの水口浩次さんにお願いしました。水口さんのアレンジが本当に大好きで! シティ感あふれる曲に仕上がっています。水口さんのアレンジで私が素晴らしいと思っているのは、私の歌詞の意図を汲み取ってアレンジをしてくださるところで。2番で急に打ち込みっぽいサウンドに切り替わるところがあるのですが、コーラスもラジオのようなサウンドで、歌詞とよくマッチしています。『真の仲間』のオープニングで気に入っていただけたら、ぜひアレンジにも着目してフルバージョンを聴いてほしいです!

ひたすら“気持ちが良い朝”という楽曲なのではなく、《ありがとうと言った口で ひどい言葉放ったことも 笑い話になった》という部分や、《もっとあれをしたい これをしたいとか 言ってくれたらいいなと思う》など、生活する中で生まれる小さな気づきが入っていることで、“あなた”と過ごしてきた時間が自然と思い浮かぶ歌詞になっているのがとても素敵だなと感じました。

《ありがとうと言った口で~》はリットがツンデレな性格であることから生まれた歌詞なんです。私自身も共感できる歌詞でもあり、“『真の仲間』内”と“『真の仲間』外”で共有できるような歌詞にするのは意識しました。《あなたを見つけてよかった》という部分もそうですね。他のゆいにしおの曲のようにしっかり韻を踏むことはしませんでしたが、文末の母音を整え、細かい韻を調節するなど、丁寧に歌詞を作りました。

アニメの放送回数を重ねるにつれて、ピンとくるフレーズが増えていきそうですね。

余談ですが、レッド役の鈴木崚汰さんが某ラジオ番組での愛称が“す”ということで、歌詞に《好きの「す」の文字は》と小ネタも仕込んでいます(笑)。メインフレーズの《息を吸う ここで吸う 生きてく》も、““す”で終わるフレーズを作ろう!”と思って生まれた歌詞なので、アイディアのもととなった鈴木崚汰さんには感謝してもしきれません。
ゆいにしお
配信シングル「息を吸う ここで吸う 生きてく」

OKMusic編集部

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