Taichi Ro

Taichi Ro

【Taichi Ro インタビュー】
自然に出てくる
等身大の言葉で歌いたい

オーストラリアはシドニー在住のシンガーソングライター・Taichi Ro。先日配信リリースした1st EP『Time』のことをはじめ、“Modern J-POP”をテーマに掲げる彼のこれまでの音楽遍歴などについても語ってもらった。

世界中にいる
一流の音楽家たちに依頼

Taichi Roさんは沖縄県出身で、現在オーストラリアのシドニーに住んでいらっしゃるそうですね。

はい、もう3年くらい。作曲家を目指して日本で必死に頑張っていた時期もあったんですけど、途中でちょっと疲れちゃいまして。で、旅に行きたいと思って、何となくシドニーに来てみたのがきっかけなんです。最初は一週間程度のつもりだったのにとても居心地が良くて、結局そのまま暮らしています。僕が住んでいるところは人気の観光地でもあるボンダイビーチで、たまたまいいお家を譲ってもらえることになったので、Airbnb(エアビーアンドビー/民泊サービス)を始めたんです。そしたらたくさん人が泊まりに来てくれるようになって、今はボンダイで一番のスーパーホストになりました。あとは、カフェで働いてコーヒーを作る勉強をしたり、スポーツ大学でヨガを専攻したり。音楽を作る傍らでいろいろやっています。

音楽に興味を持ったのはいつですか?

小学生の時からピアノを習っていて、本格的に音楽にハマったのは中学生くらい。ちょうど携帯電話の着うたが流行っていたんですよ。音楽をダウンロードして、友達と聴き合っていた記憶があります。あと、近所の米軍基地でコンサートをやっていた影響で洋楽に夢中になりました。その環境が自分のルーツになっている部分が大きくて、逆に邦楽は全然聴いていなかったです。周りの子たちもR&Bが好きだったので、自分で作ったミックスCDを売りまくって遊んだり(笑)。その流れでDJを始めて、高校の頃にはお母さんとクラブに通っていました。

早いですね! そして、大人っぽい楽しみ方。

振り返ってみると、随分と早くからそういう遊びをしていましたね。大人のたまり場に行ってCDを配ったり、近所の美容室とかレストランで流すBGMの選曲を手伝ったり。子供ながらにジャズやソウル、R&Bにすごく憧れがあったと思います。

作曲家を目指すようになったのは高校を卒業されたあと?

いえ、高校卒業後はすぐにニューヨークへ留学したんですけど、音楽のためというわけではなかったです。親は東京で音楽の勉強をさせたかったんだろうけど、僕は東京で何かを学びたい気持ちがあまりなかったので、その時はとりあえずアメリカに行って、ただ文化に触れたかったんです。コンサートを観て、向こうの人たちと遊びたい、ご飯を食べてみたい、海外に住んでみたい…とか、そんな感じ(笑)。沖縄には外国人がいっぱいいるから英語もしゃべれていたし、知り合いがいなくても自然な流れで渡米できた気がします。4年ほど住んで、クラブに足繁く通いつつ、多くの人が羨ましがるようなアーティストのライヴをたくさん観られたのは大きかったです。

例えば、どんなアーティストを?

特に自慢できるのは、アレサ・フランクリンやプリンスかな? どっちも6回くらい観ることができて、僕の中で大きな財産です。周りを見渡すだけで本当にすごい才能を持っている人たちがたくさんいたので、ニューヨークでは音楽にトライしなかったんです。アポロ・シアターのアマチュアナイトで歌いでもしたら、実力の差を感じてすぐ挫折してしまいそうな気がしたので。

でも、ニューヨークでの経験があって作曲や歌をやってみたくなったと。

そうですね。ニューヨーク滞在時にそう思うようになって、日本に帰ってからはとにかく芸能の仕事に就きたくて、さまざまなオーディションを受けましたよ。でも、悔しいことに何にも引っかからなかった。それが最近やっと少しずつ引っかかってくれるようになってきたんです。今回も最初はEPではなく、「キスくらい」と「一度だけ」を収めたシングルをリリースしようと考えていたんですけど、両方ともSpotifyの公式プレイリストで取り上げてもらえたので、もうちょっと頑張ってEPを作ってみることにしました。iTunesやSpotify Japanで活躍されてきた野本 晶さんのご協力もあって、ようやく本格始動できた感じですね。

コロナ禍で音楽活動に支障が出たりはしなかったですか?

あまりセッションで音楽を作るタイプじゃないので、そのへんは問題なかったです。ここ5年くらいは『Soundbetter』(音楽クリエイター向けのプラットフォーム)を使って制作をしているので、どこに住んでいても世界中にいる一流の音楽家たちに依頼ができるんですよ。もちろんそれなりにお金はかかるんですけどね(笑)。

なるほど。

『Soundbetter』には超有名なクリエイターもいて、運が良ければその人がちょっとだけ手が空いたタイミングを狙ってお願いすることもできるんです。僕はサイトをまめにチェックしつつ、そういう方を探すのが得意で。「キスくらい」ではチャンス・ザ・ラッパーのバックコーラスで知られるリッチさん(サードストーリーのリチャード・サンダース)を見つけてコライトしました。今作はミックスとマスタリングのエンジニアも豪華なんですよ。「Tuesday」と「Easy Love」はミッシー・エリオットのほとんどの有名曲を手がけている、ポール・J.ファルコンさんにやってもらっています。

めちゃくちゃ豪華ですね。曲の作り方というのは?

ピアノでコードを作って、弾きながらメロディーも同時に浮かんでくるパターンや、近頃はサンプル音源が充実しているので、それを参考にトラックメイクから始めることも多いですね。自分で作曲を完成させるケースもあれば、“この曲は僕じゃない感性のメロディーを入れたほうが良さそうだな”と思うこともあります。その場合も『Soundbetter』で仮歌をつけてくれる“トップライナー”という人にお願いしていて、彼らは非常にプロフェッショナルで、全編しっかりコーラスがついたものを返してくれるんですよ。あとは、初期段階でプロデューサーを立てて一緒に作っていくとか。だいたいそういった方法ですね。

「Easy Love」で聴こえてくる恍惚感のあるギターは生で入れているんですか?

そうです。あのギター、すごくいいですよね! 僕はピアノしかできないので、友人のプレイヤーに弾いてもらいました。
Taichi Ro
EP『Time』

OKMusic編集部

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