L→R 宮下 浩(Vo&Gu)、今井 昂(Ba&Cho)、太田幸伸(Dr&Cho)

L→R 宮下 浩(Vo&Gu)、今井 昂(Ba&Cho)、太田幸伸(Dr&Cho)

【nothingman】“これがnothingmanな
んだ”と改めて思った

2013年、リテイク・リマスタリング曲を含めたベスト盤的ミニアルバム『小さなライヴハウスのステージの上から』『彼方からの手紙』を2枚連続でリリースしたnothingmanが、約2年振りとなるアルバム『ocean』を発表。10年目を迎えた彼らにとっての大きな節目の作品になった。
取材:高良美咲

2013年にはベスト盤的ミニアルバム『小さなライヴハウスのステージの上から』『彼方からの手紙』を2枚連続でリリースしましたが、リリース後はどのような反響がありましたか?

宮下
廃盤になっていたCD(『ライト マイ ライフ』/2009年12月)の曲や無料配信だけでのリリースだった曲が改めてCDになったことが、まず喜んでもらえましたね。あと、「beautiful world」などはもともとライヴでの定番曲ではあったんですが『小さなライヴハウスのステージの上から』で、曲の前に「-fanfare-」というライヴでやっているような曲への導入部分も入れてみたりして。それがあることで、さらに曲への導入部分も楽しんでもらえるようになったと思います。

今作のリリースに至るまでの2年間はライヴを軸に活動を行なっていたのですか?

宮下
2枚のベスト盤的ミニアルバムを出した時に、持ち曲が本当に空っぽになりまして。その後は、ライヴを軸に…というよりは、音楽活動そのものをリセットしているような期間でしたね。曲を作って、2014年5月には自主レーベルからライヴ会場限定シングル「この時代を愛していてね」を出して、それでツアーに回って。もう一度自分たちの自主性を掘り起こすところから活動を見直していった感じです。逆に、今の自分たちに何ができるのか?という単純な興味もありました。

ミニアルバム2枚を踏まえて、2年振りに全国リリースされるフルアルバム『ocean』は、どのような作品にしようと思いましたか?

宮下
結果的に、2014年以降が今作の制作期間になったという感じで。『ocean』には「この時代を愛していてね」以降の曲が全て入っています。“アルバムを作ろう”というよりは、“できてきた曲をアルバムにしよう”という感じだったんです。そう思ったのは、自分たちが今10年目という節目を迎えたからだと思います。

収録された12曲は他にも候補がある中での選曲ですか?

宮下
全て入っているので、もう曲はありません(笑)。なので、特に選曲の理由もないのですが…強いて言うなら“あえて全て入れた”ということでしょうか。バランス的にスローな曲が多いので、以前のnothingmanならそのうちの何曲かは収録を見送ったと思うんです。その分、アルバムを通して聴いてもらうための工夫をプラスアルファで入れています。

ラストの「ocean」からまた1曲目の「opening」に戻った時に、この2曲のつながりに気付いて、繰り返し聴くことでより一層深みが増す一枚だなと感銘しました。

宮下
「ocean」のラストに海の音を入れたいというのは、このアルバムを作ることになった時からなんとなくイメージしてたんですけど、「opening」にも海の音と少し弾き語りを入れることにしたのは太田のアイデアです。最初は「ocean」とまったく関係ない弾き語りも考えたんですけど最終的にあのかたちがしっくりきました。

今作に名付けられた“ocean”は大きな意味を持っていると思ったのですが、このタイトルに込めた意味とは?

宮下
自分自身が日本海の近くで生まれ育ったんです。「ocean」に収録されている波の音も、そこの海に行って録音してきました。地元に戻るたびに一度は海を見に行くんですけど、そのたびに故郷を感じるというか、帰る場所のような気がして。このアルバムも誰かにとってそんなふうになったらいいなと思っています。

「この時代を愛していてね」はライヴ会場限定でもリリースしていますが、聴いた方からはどのような反響を受けていますか?

宮下
これまでの曲とは多少スケール感が違ってるように聴いてもらえることが多いです。人生とかバンド活動の価値観が少しずつ変化していたので、それがいいかたちで曲に出て、聴いてくれている人に伝わっているとしたら嬉しいですね。

「相思相愛~母への手紙~」はたくさん感謝の言葉が並んでいますが、どういった思いから作った曲ですか?

宮下
「幸せの順番」(『彼方からの手紙』収録)のMVの中で実際にプロポーズした友達が結婚しまして。今回はその続編として、結婚式の二次会用に彼女へのサプライズも込めて書きました。自分がその二次会の幹事だったんで(笑)。歌詞のテーマが“新婦から母へ”だったので、100パーセント自分の思いを書いた曲ではないですが、母親に限らず家族を大切に思うという気持ちは少し乗せてるかもしれません。

nothingmanの楽曲は日々生きていく中で感じることを描いた、等身大な歌詞が心に引っかかることが多いのですが、楽曲はどのような場面やきっかけから書くことが多いですか?

宮下
日々の生活の中でふと出てくるものもあれば、“曲を作ろう”と思って机に向かって書くものもあるんります。「相思相愛~母への手紙~」のような特別なテーマがある曲はまた別ですが、やはり思ったことのないことや、腑に落ちてないことは言葉に出てこないので、日頃どういうことを思って生活しているかを大事にしてます。なので、あまり“楽曲を変化させよう”という意識はしてないですけど、積み重ねた時間の分、自然に書きたいことも変化していったのかもしれません。

バンドを続けている上での経験や感じることを書いた「グッバイグッドラック」は、別れなどを経ても《絶対僕らは 幸せになるんだ》という力強い言葉が印象的で、10年目を迎えたnothingmanの意志を示しているように感じました。

宮下
どのバンドも多かれ少なかれそうだと思うんですけど、バンドを続けることで得られる喜びの代わりに、犠牲にしていることもたくさんあって。年々その隙間って広がっていくものだと思うんですよね。バンドやってる、やってないにかかわらずですけど、自分が幸せかどうか?というのは、結局自分の心が決めることだと思うんです。そんな気持ちを曲にしてみました。

最後を締め括る「ocean」は、シンプルなサウンドに乗せて繊細に歌い上げるのが印象的でした。

宮下
恋人、家族、友達…人それぞれ大切な人や度合いは違うけど、出会えたことへの感謝や、今、自分に明日があることへの喜びを感じて書きました。“ずっと~”とか“永遠に~”とかが苦手なんです。そんな約束したことないし、そもそも死ぬまで分からないじゃないですか。ただ、一生どうこうは約束できないけど、明日1日のことは約束できます。自分の思う“永遠”というのは、そんな1日の積み重ねなんです。

10年目にして初のフルアルバムはすごく人間味や温かみがあって、聴き応えのある一枚になりましたね。

宮下
いつかはフルアルバムを出したいと思ってたので、これが10年目の節目となったことに自分たちらしさを感じてます。良いことも悪いことも経験して、今アルバムが出せるということにただただ感謝ですね。垣根なく全ての人に聴いてもらいたいのはもちろんですが、まずはこれまで応援してくれた人たちに届けていきたいです。“10年経って、こうなりましたよ”って。

歌に寄り添っているバンドサウンドだけではなく、今作では実際の波の音や駅のアナウンスの音などが取り入れられていて物語性も感じられました。

宮下
“一枚をひとつの作品として届けたい”というのがひとつテーマにあったんです。なので、「opening」から「ocean」まで、一本の映画のようにゆっくり聴いてもらえたら嬉しいです。

作り終えて何か得たもの、改めて発見できたことはありましたか?

宮下
“これがnothingmanなんだ”と改めて思いました。“nothingmanができた”というか…ひとつのことが完結したような感触ですね。何よりもただ、聴いてほしいなって。それだけですね。

今作のリリース後はどのような活動が期待できそうでしょうか?

宮下
あまりたくさんのライヴは予定していませんが、要所要所、縁に導かれながら活動していきたいです。お近くでライヴがあれば多分それは稀なことですので(笑)、ぜひ遊びにきてください。お待ちしてます。
『ocean』
    • 『ocean』
    • OBOCD-027
    • 2015.11.04
    • 2300円
nothingman プロフィール

ナッシングマン:2006年7月に結成された、名古屋を中心に活動中の3ピースバンド。これまでに自主制作によるミニアルバム、オムニバス、マキシシングルの他、松田龍平が主演を務めた映画『蟹工船』のインスパイアアルバムへの参加を果たしている。バンド結成10年目を迎え、15年11月に初のフルアルバム『ocean』をリリース。オフィシャルHP
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