写真左上から時計回り 前田典昭(Vo)、藤村 優(Gu)、安井卓也(Ba)、田中智裕(Dr)

写真左上から時計回り 前田典昭(Vo)、藤村 優(Gu)、安井卓也(Ba)、田中智裕(Dr)

【ソウルフード インタビュー】
幸せになることを自覚して、
共存していく

関西在住の4人組ロックバンド・ソウルフードの1stアルバム『SOULFOOD』。メンバー全員が関西のライヴハウスのスタッフとして現在も働き、バンドマンとして、ライヴハウスマンとして生きる彼らにとって、初の全国流通盤となる今作はどういう存在になったのか? 前田典昭(Vo&Gu)と田中智裕(Dr)のふたりに話を訊いた。

“バンドの力でここまでできる”
それを証明したかった

アルバム『SOULFOOD』は初の全国流通盤となりますが、心境としてはいかがですか?

前田
実は、今まで全国流通盤をリリースすることにメリットを見出しきれていなかったんですよ。古い考え方のバンドマンなので、ライヴの物販で手渡しで買ってもらったほうが温もりが伝わると思っていましたし、取り扱っていただいたCDショップや動いてくださる人たちの労力に見合うレベルまで、“自分たちのバンドの力は達しているのか?”とも考えましたしね。でも、同時に“必要な人に届かない音楽に意味はあるのか?”という考えも生まれてきまして、今回は全国流通盤としてリリースすることに決めました。みんなの先頭を走れなくても、走っているみんなの隣に僕らがいられたらいいなと思うし、このタイミングで全国流通を決めたことは意味のあることだと思っています。
田中
これまで会場販売限定作品として3枚のミニアルバムを出してきたんですけど、流れとしては、次はフルアルバムだろうと思っていたんです。でも、全国流通に踏みきった大きなきっかけは、自分たちが2020年から行なっている『SUPER BEER ROCK FES』というイベントを立ち上げたことですね。出演してくれるバンド仲間と横並びで歩いていくためには、僕らもステップアップしていかなきゃいけないと思いましたし、その先にある景色を見たくなったんです。あとは、自主レーベルからリリースをすることで“自分たちの力でここまでできるんだぞ!”ということを、ライヴハウスで出会うバントに対して説得力のあるかたちで明示したかった部分もあります。

前田さんもLIVE SQUARE 2nd LINEの店長という一面は、バンド活動の中でも離れられない要素になっているんですか?

前田
ソウルフードのバンドマンであることも、2nd LINEの店長であることも、さらに言えば、家で家族といる時の父親としての自分も、全部同じ“前田典昭”なんだから、役割で区切ることなくずっと自然体でいればいいと思っていたし、そのほうがカッコ良いし楽だと思っていたんです。でも、それは難しくて、やっぱりできなかったですね。だから、今はいろんな顔を持っていることを過度に意識したり、プレッシャーとして感じたりせずに、ただひたすら生きているという感覚です。

でも、今おうかがいした話から滲み出る人間性といいますか、リアルな葛藤の部分は今作からも感じますし、ソウルフードの根幹を担っているファクトなんだろうなと思いました。今作は過去の作品に収録されている楽曲と、新曲4曲を含めた全13曲というボリュームですね。

田中
結成初期からあった曲もリテイクしましたし、ベスト盤的な作品になったと思います。
前田
僕は作詞にものすごく時間がかかるタイプなんです。完璧だと思って組み立てていたものが、翌朝にはめちゃくちゃになっているなんてしょっちゅうですし、上の句と下の句のバランスや、句読点の位置まで気になるんです。そういう点では、「アーティファクトノベル」は難産でしたね。
田中
そうだったね。この曲、僕が全体的なメロディーを組み上げたものに“勝ち負け”という歌詞のテーマをふみくん(前田)に投げたんです。メロディーの空気感的に“こういうテーマをもとにして歌詞を書いてほしい”というかたちで依頼するというパターンは、最近結構ありますね。「それゆけ!バンドマン!」もコロナ禍で何もできないバンドのことを思って作ったオケに、そういう意味を込めた歌詞を乗せてもらうようにお願いしました。
前田
そうそう。“ふみくん、バンドマンのカッコ良いところを歌詞にしてください”って言われて、頑張って書きました。

あの曲、本当に名曲ですよねぇ。MVを観ても泣いちゃいますもん。

田中
僕もすごい好きなんですよね。自分のイメージしていたものに期待以上の歌詞が返ってきた時が最高に嬉しいですし、この曲は特にそう思いました。最新曲で言えば、「アーティファクトノベル」もそうですけどね。でも、今作には収録されていない「チャプターソング」という曲が僕とふみくんの初の共作楽曲なんですけど、あの時の感動はなかなか越えられないですね…。あの時からふみくんの歌詞にずっと魅入られ続けています。
前田
嬉しいですね。田中がたくさん曲を送ってくれた中で、僕がその場で返せる曲ってほんのひと握りなんですけど、そのぶんストックは溜まっていっていますし、その時々の気分に合った服を着られる感覚でワクワクしています。

その話で言うと、今作の中で今までソウルフードが着てこなかった服が「ネイバーフッド」だと思うのですが、あの曲はどういう気分にフィットしたんですか?

前田
あの曲はみんなから“SMAPみたい”って言われています(笑)。
田中
12曲を全部録り終えたあとに、“フルアルバムって何をやってもいいよね?”っていうモードに入ったんです。そのフェーズに入った状態でトラックっぽい音を打ち込んでいく中で、ふみくんに2nd LINEについての歌詞をお願いして書いてもらった、いわばライヴハウスの歌です。
前田
田中は策士だと思いましたね。自主レーベルから出る一発目、かつ名刺代わりの作品ということもあって、“このタイミングじゃないと2nd LINEの歌を入れられないでしょ?”という球を、田中が投げてきたんですよね。もうこれはサイズぴったりの服でした。《赤いベンチ》っていうのも実際にあるベンチのことですし、《ポテトサラダ》も打ち上げでよく食べるポテトサラダのことですし、あの場所に関するいろんな要素を盛り込んだ歌詞になりました。
田中
あと、この曲の最後にドラムのパターンが変わっているんですけど、あれって“セカンドライン”っていうリズムパターンなんですよ。

えっ! すごい!

前田
ニューオリンズ系の冠婚葬祭に向けたマーチングビートなんだよね?
田中
そうそう。あのビートがハマった時は、優勝したと思いましたね。でも、遊び半分の曲が意外にいいものになっちゃった楽曲なので、正直言って完成品ではないんですよ。だから、「ネイバーフッドII」を作りたいです。遊び心満載の楽曲に、あえて大事なものをテーマにした歌詞を乗せるということで固定概念をぶっ壊したいという気持ちもあったんですけど、それを良しとして受け入れてくれたメンバーに感謝です。
前田
僕は大事なものであればあるほど曲を書けないタイプなので、このくらいフランクなテンション感のほうがありがたかったですね。そのつながりで話すと、今作にも入っている「おぼろうた」という曲は、僕の妻に向けて書いた曲なんですけど、両親だったり、生まれる前の息子に向けた曲はあるのに、妻に向けて書いたことはなかったんです。現時点で愛している人に向けて曲を書いちゃうと、その曲が絶対的な存在になってしまうし、かたちになってしまうことが嫌だったんですよ。その気持ちがあったので、タイトルにも“おぼろ”を入れて、あえて明確なものにしていないんです。

かたちにすることで絶対的なものにすることを拒むのは照れですか? 恐れですか?

前田
恥ずかしさはないですね。歌詞の中で“僕にとってはこうです”とか“これは僕の考え方です”というニュアンスの言葉を使いがちなので、絶対的なものにすることにビビッているのかもしれないです。臆病なんでしょうね。
写真左上から時計回り 前田典昭(Vo)、藤村 優(Gu)、安井卓也(Ba)、田中智裕(Dr)
アルバム『SOULFOOD』

OKMusic編集部

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