L→R 鈴木 敬(Dr&Cho)、小関竜矢(Vo&Gu)、辻 怜次(Ba)、須田原生(Gu&Cho)

L→R 鈴木 敬(Dr&Cho)、小関竜矢(Vo&Gu)、辻 怜次(Ba)、須田原生(Gu&Cho)

【Bentham】歌モノとして成立するギ
リギリのところがカッコ良い

攻撃的なバンドサウンドとハイトーンヴォイスで歌うキャッチーなメロディーに加え、ダンスビートも武器にライヴハウスシーンでめきめきと頭角を現してきた4人組、Bentham。半年振りにリリーする3rd EP『OMG』は追い風を感じながら彼らがさらなる一歩を踏み出した意欲作だ。
取材:山口智男

メンバー全員、聴いてきた音楽はバラバラだそうですね。そういうメンバーがどんなふうに集まったのでしょうか?

小関
もともとは地元が同じ須田くんと僕がコピーバンドをやっていたんですよ。高校卒業を機に真剣にバンドをやっていこうということになり、オリジナル曲を作り始めたんですけど、ライヴを一回やったあと、リズム隊が抜けてしまったんです。それで、当時、同じリハーサルスタジオで働いていた辻くんを誘ったんです。
小関のバンドのライヴを観た時、歌もメロディーもいいなって思ったんですよ。僕、歌モノが好きなんですよね。だから、誘われた時はやるって即答しました。
小関
そのリハスタで個人練習に入りまくってたのが鈴木くんだったんです(笑)。最初はサポートとして入ってもらったんですけど、前作から正式にメンバーになってもらいました。
鈴木
サポートとして加わった時は、まだ前のバンドもやってたんですけど、そのバンドは全員の趣味が近かった分、“カッコ良い”“カッコ悪い”の線引きがはっきりしていて、それが窮屈になってきたところだったんですよ。逆にBenthamはメンバーのバックグラウンドが全然違うから何でも遠慮なく言えるし、自分を出せるからやりやすいし、楽しいんですよね。

小関さんと須田さんがオリジナルを作り始めた時は、どんなバンドをやりたいと考えていたのですか?

小関
日本語を大事にしながら言葉遊びもしつつ、キャッチーなものがやりたかったんです。曲を作り始めた頃は、それこそコピーしていたメロコアの延長でやろうと考えてたんですけど、いざ曲を作り始めたらそうはならなかったんです。4つ打ちのリズムが武器としてひとつあると思うんですけど、辻くんと鈴木くんの加入がそこに骨太なロック感を加えてくれたんです。だから、軽やかな曲でも全体的に重たいんですよ。
須田
いろいろなアプローチで曲を作りながら、こっちのほうが反応がいいってことを第三者から気付かされて、軸が決まっていったようなところもあります。

いろいろな魅力がある中で、ぱっと聴いて印象に残るのは、ハイトーンの歌声とキャッチーなメロディー。いわゆる歌モノとしての魅力だと思うんですけど、歌モノのバンドで、こんなにバックの3人が主張しているバンドっているのかなって(笑)。

小関
歌モノとして成立するそのギリギリのところがカッコ良いと思うんですよ。僕がバツンと歌えば問題ない。力技ってところもあるんですけど、聴きやすいって思ってもらうことに関しては自信を持ってるし、間違ってないと思ってるので、そこはもっともっと追求していってもいいと思ってます。歌メロはほんと自信あるんで、その分、3人は好きにやってよって感じなんです。

メンバー全員、曲も作るんですね?

小関
前の2作では、僕がスタジオに持っていって、バンドでアレンジを練ってというやり方だったんですけど、今回は1週間で20曲作ってこいとレーベルから課題を出されたので、それぞれに作ることになりました。
鈴木
それぞれに作ってきたデモがあまりにもバラバラだったので、最初は“大丈夫なのかな?”ってところはあったんですけど、プロデューサーのTGMXさんとスタジオに入って、かなり時間をかけてセッションしたんですよ。前2作以上にバンドらしいアレンジになったという意味では、それが大きかったと思います。

前2作をきっかけに認知度が高まると同時に、今年に入ってからは大きなイベントにも出演してきましたよね。追い風が吹いてきた印象があるんですけど、そういう状況は今回の制作にどんな影響を与えましたか?

小関
確かに1作目(EP『Public EP』)の「パブリック」、2作目(EP『NEW LIFE』)の「TONIGHT」でBenthamと言えば、4つ打ち、聴きやすい、踊れるというイメージがついてきたことは大きかったんですけど、他にもいろいろやりたいことがあるんです。4つ打ちだけやってイエーイってバンドじゃない、ロックの基礎がちゃんとあって、歌心もあるというところを僕らなりに主張した上で、今までのBenthamとこれからのBenthamをつなげる一枚にしたいと思っていました。だからって、4つ打ちを辞めたいわけではない。それも武器のひとつとしながら、引き出しを増やして、「パブリック」「TONIGHT」のBenthamからちょっとずつ広げていきたかったんです。

それが一番できた曲は?

須田
前2作でアプローチしてなかった引き出しという意味では「STORY」と「After party」かな。

「STORY」はフォーキーなスローナンバーですね。

小関
ゆっくりした曲、実は個人的に得意なんです。「STORY」はクリスマスソングなんですけど、そういう季節感のある曲もひとつ挑戦としてやってみました。「雨と街」は今後、やりたいと思ってた歌モノの感じを、まだ探り探りではあるんですけど、出せたんじゃないかな。楽器隊が主張しながらも歌のストーリーがしっかりあって、なおかつ歌もバーンと出ているところが新しいと思います。

その「雨と街」と「After party」はフュージョンっぽいアプローチもうかがえますね。

鈴木
そのちょっと古い感じを、4つ打ちが好きな若い子たちがどう受け止めるか反応が楽しみではありますね。

リリース後は11月13日の静岡公演から来年2月16日の渋谷CLUB QUATTROまでリリースツアーを開催しますね。

小関
ライヴの本数も増やして、規模ももっと大きなものにしていきたと思いながらもライヴの一体感も大事にしているんです。例えば「クレイジーガール」の最後の“アーアアー”というコーラスはメンバー全員で歌ってるんですけど、お客さんもみんな手をあげて一緒に歌ってほしい。“ここはみんなで歌ってほしい”とか“歌ってくれるだろう”ってところは、他にも結構あるんですよ。今回のEPをきっかけにお客さんと僕らの距離はぐっと近付くと思いますよ。
『OMG』
    • 『OMG』
    • KOCA-87
    • 2015.11.11
    • 1944円
Bentham プロフィール

ベンサム:2010年結成。16年4月に初ワンマンとして代官山UNITにてフリーライヴを開催することを発表すると、キャパシティーの10倍となる約5,000人から応募が殺到。17年4月にシングル「激しい雨/ファンファーレ」でメジャーデビュー。同年7月には1st アルバム『Re: Wonder』、19年2月には2ndアルバム『MYNE』、同年11月にはバンド初となるベストアルバム『Bentham Best Selection「Re: Public <2014-2019>」』をリリース。結成10周年の節目を迎えた21年は、周年記念プロジェクトの一環として365日×10年をテーマに「3650」を発動。同年9月には全10曲入りアルバム『3650』を発表した。BenthamオフィシャルHP

OKMusic編集部

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