【藍色アポロ インタビュー】
聴く人の想像力に問いかける音楽
初の全国流通盤となる1st EP『312g』をリリースした、下北沢発の4ピースバンド・藍色アポロ。2020年3月から活動をスタートさせたニューカマーだが、音楽コンテストでの優勝経験もある彼らは、いったいどんなバンドなのか? 新作の話はもちろん、バンド結成の経緯や音楽への向き合い方も含めて、メンバー全員に話を訊いた。
聴く時によって感じ方や、
楽しみ方が変わる音楽でありたい
バンド結成の経緯について教えてください。
ナガイ
バンドを組みたいと思って、メンバー募集のサイトの掲示板に書き込んだんです。そこで出会ったのが石川とみゃんでした。ふたりとはバンドを本気でやって、行けるところまで行きたいという気持ちが同じだったんです。
すず木
僕とナガイは大学の同期で、一緒にコピーバンドを組んだことがあったんです。それで、突然ナガイから“バンドやろうぜ!”と電話がかかってきて、急遽4人で会うことになるという。
すず木さんにとっては、まさに青天の霹靂のようなお誘いだったと思うのですが、すぐにバンドを組むモードに切り替えられたんですか?
すず木
本気になったきっかけは、2020年4月に『RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2020』で優勝したことですね。
ナガイ
僕らはバンドを結成してからすぐにコロナ禍に入ってしまったんですけど、あのオーディションのおかげでモチベーションを保つことができました。その時に演奏した曲が「線、曲がって止まって」で、個人的にはあの曲ができた時に“これはきたぞ!”と思って。
結成序盤で得られた優勝経験や楽曲制作が、それぞれの大きな自信につながったんですね。みなさんのルーツとなる音楽は?
ナガイ
僕はASIAN KUNG-FU GENERATIONやNUMBER GIRL、ストレイテナーなど、2000年代初頭を代表するバンドですね。
すず木
ベースを始めたきっかけは東京事変で、バンドを好きになったきっかけはMy Hair is Badです。
みゃん
僕は最初に聴いたバンドはBUMP OF CHIKENで、そこからRADWIMPSやきのこ帝国、スーパーカーなどを聴くようになりました。
石川
僕は、B’zやサザンオールスターズやGLAYを聴きながら育ったので、その流れで2000年代初頭のビジュアル系の音楽をずっと聴いていました」。
結構バラバラですね。音楽的な方向性は事前に決めた上で活動をスタートさせたんですか?
ナガイ
聴いてきた音楽が違ったので方向性は決めなかったです。でも、バンドとして目指そうとしている目標は同じだったし、音楽的なベースはあとからついてくるだろうから、“とりあえずバンドをやろう!”という気持ちで始めました。その上で僕自身が好きな音楽を布教しつつ、藍色アポロらしさを作っていけたらと。
みゃん
僕はナガイと好きな音楽が似ていたし、彼の歌声も好きだったので、自分が好きそうな音楽を作ってくれそうだと思っていました。初めてスタジオに入った時に持ってきてくれたのが「通る電波」だったんですけど、それを聴いた時からめっちゃいいなと思っていました。
ナガイ
石川は最近になってやっと聴いてくれるようになったんですよ!(笑)
石川
確かに時間はかかったけど(笑)。でも、そういう音楽を自分がやることに対しての抵抗はなかったです。
オルタナティブロックを掲げているバンドですが、このジャンルのどういったところに惹かれているのでしょうか?
ナガイ
これはバンドとして目指しているところでもあるんですけど、オルタナティブロックって長く聴かれる音楽だと思うんですよね。年齢を重ねるごとに感じ方が変わっていくし、その度にいろいろな楽しみ方ができるというか。明るい曲調の中にもどこか暗さがあるし、曲を聴いて感じ取れるカラーがひとつじゃないというところが魅力だと思います。