L→R 内田愛子(Ba)、鈴木奈津美(Vo)、中西詠美(Gu)、茄子川(Dr)

L→R 内田愛子(Ba)、鈴木奈津美(Vo)、中西詠美(Gu)、茄子川(Dr)

【ポタリ】どの曲にもポタリらしさが
しっかり入ってる

愛知県豊橋市発のガールズバンド、ポタリが初のフルアルバムをリリース! セルフタイトルを掲げた今作は、メンバーにとっても自信にあふれた一枚になったようだ。
取材:高良美咲

初登場のため、まずはバンドについて教えてください。ポタリ結成当初はどのようなバンド像を描いていましたか?

鈴木
ポタリの前身バンドを組んだのは中学2年の頃で、最初は“学園祭に出演したい!”、その一心のコピーバンドでした。その頃、みんなで盛り上がれることが一番大切だと考えていて、どんな曲を演奏しようかとメンバーと相談する時も“みんなが知ってる曲”“みんなで歌える曲”とかの案を出し合っていました。とにかくライヴが大好きで、学生の頃は地元で月8本とかライヴに明け暮れる日々で(笑)。意欲はものすごくて、見よう見まねで東京までライヴをしにいったこともありました。鈍行列車で! なんの根拠もないけど、ORANGERANGEさんみたいになれる気がしてたなぁ(笑)。

活動をしていく中で、どのような変化があったのですか?

鈴木
私はとにかくフロアーを盛り上げるのがメインで、いかに一体感を出すか…みたいな感じで、目の前のライヴハウスという環境でしか“自分の音楽”というものを見出せてなかったんだと思います。でも、CDを全国リリースしたり、YouTubeで映像を配信してみたりして、ライヴ以外でポタリの音楽を知ってくれてる人がいるんだと知った時、歌詞とかメロディーが持ってる音楽の本来の魅力に興味を持ち始めました。“誰かに届ける音楽”をやりたいと思うようになったのもこの頃です。
中西
私はガールズバンドが苦手だったので、自分がガールズバンドをやってるのがなんか嫌だったんですけど…というか、そういう時期で。でも、なつ(鈴木)の作る曲や声が好きで、次第にそんな偏見はなくなっていきましたね。ロックなものはロックだって思えるようになりました。
茄子川
ドラムでサポートするところから始まったんですけど、当時のポタリは地元でも有名で、ヴォーカルのなつが途轍もないギャル…というイメージでした(笑)。だけど、ライヴが好きなんだなぁと思うのは今と変わらないですね!

9月9日にリリースになった『ポタリ』は初のフルアルバムで、セルフタイトルですね。

鈴木
“とにかくずっと聴いてほしい! だから、いい曲を作るんだ!”ってガムシャラだったんですけど、完成したフルアルバムを聴いた時に、“理想通り、間違ってない!”と思えました。だから、まさに今のポタリの全力…間違いなくこの一枚を表現できる言葉がセルフタイトルの“ポタリ”だったんです。
茄子川
シングルをたくさん出させてもらって、シングル曲だけ聴いてるとみそカツ定食、焼きそば定食、炒飯定食、カレーライス…みたいな感じだったので、そこにどんどん継ぎ足していった感じです。
中西
このメンバーで初めてワンマンをした時に、達成感とともに課題がすぐに見つかったんです。曲が足りないって思って、フルアルバムに向けて曲をひたすら生産し始めたっていうのもあります。
内田
制作自体は1年以上前から始めていて、とにかくアルバムとして、いい作品になるように、何回聴いても楽しいものになるようにというのを大事に制作していきました。今までやろうとしてこなかったことにも手を出してみたり、吸収しては出して、吸収しては出しての繰り返しでやっと作れた、今最大限のフルアルバムになったと思います。

今作には12曲が収録されていますが、他にも候補がある中での選曲でしょうか?

鈴木
シングル曲を軸に色とりどりなアルバムになるよう選曲しました。たくさんボツになった曲たちもあるんですよ~。いつか“ボツ集アルバム”とか出して復活させたいくらい、名曲も振るい落とされた激戦で…。でも、ピンとくる曲はメンバー全員一致するもんで、迷ったりはそんなになかったような気がします。

その中で、軸になった曲はありましたか?

内田
「Are you ready?」です。音楽っていろいろな捉え方があるけど、“やっぱりライヴが好きなんだ!!”って強いメッセージソングからドカンと始まりたいっていうことで、歌詞もアレンジも全員で取り組みました。

「Are you ready?」は、アルバムの始まりを告げるのに相応しい爽快な曲ですね。

鈴木
ライヴで一発目に演奏して、ドーンとスタートを切れるような一曲を作ろうというところから始まりました。まさに!!という感じに仕上がって、ライヴでも気持ち良く歌ってます(笑)。このストレートな歌詞と、メロディーが最高なんです!
内田
最終的に、たくさんの熱い思いがこもった一曲になりましたね。
中西
ギターに関しては、自分がギターを始めた時の初期衝動だったり、感情が高ぶるようなシンプルでロックなものがいいと思ってアレンジしました。
茄子川
ライヴでアガっちゃうような、自分たちがバンドを始めたきっかけの初期衝動みたいなものを根底に、コピーしたくなるようなシンプルでカッコ良いものを目指して作りました。

2014年3月にライヴ会場限定でリリースした「Hello, Happy Chance!」は明るくてライヴで盛り上がりそうな曲ですが、実際にライヴなどで演奏してみてどのような曲だと思いましたか?

中西
意外にロックなんだなって思いました。
内田
ムードメーカーな曲だと思います。曲が出来上がったばかりの頃は、元気でキラキラした曲ができた!と思っていて、そのイメージでアレンジも考えていたけど、ライヴをしていくうちに相当ロックな楽曲だなと気が付いて。それからは、その場を盛り上げてくれるムードメーカーな曲になったな、と思います。
茄子川
最初メロだけ送られてきた時に、すごい変わったサビだな~と思ってた! ライヴでも耳に残りやすいと思います。

「2nd」「JUST!」も過去にシングルとしてリリースされた楽曲ですね。

内田
「2nd」は秋にエモーショナルな曲が作りたいねってなって、ちょっと今までにないカラーの一曲になってます。
茄子川
「2nd」を出した時は、単純にポタリにはロックでカッコ良い系の曲があまりなかったので、新鮮なんじゃないかな?と思ってました。「JUST!」はライヴでやっても問答無用で口ずさめると思う。サビのドラムのキメがかなり気に入ってます。
内田
「JUST!」は、もうポタリのライヴでは欠かせない曲になっていて、楽しい! 思いっ切り音をぶつけられる、お客さんも私たちも一緒になって楽しめる定番曲になってきてるなと思います。

「横顔と手と手」は乙女心を書いた可愛らしい楽曲ですね。

鈴木
付き合って2年目くらいのイメージでした。完全に妄想。書きながら、私って…て恥ずかしくなるくらいに乙女な歌詞になりました。
内田
付き合い初めて2~3年あたりのカップルのイメージで、だんだん分かり合って、だんだん思い出が増えて…っていう、当たり前だけど当たり前じゃない、みたいなところを大事にして作っていったような気がします。
中西
誰かを“好きだなぁ”って思う、誰にでもありそうな、そういう日常的な感情を曲にしたいと思ってカフェで自然に流れてそうな曲のアレンジも意識しました。

「おばけのチャ★チャ★チャ」はタンバリンの音が入っていたり軽快な楽曲かと思えば、曲間ではベースとギターの聴かせどころもあったりと聴きどころも満載でした。

茄子川
これは遊んでるんだけど、ロックでカッコ良いものにしたかった。
中西
昔からあった曲で、最初はもっとポップだったんですけど、面白くてポップより、面白くてロックなほうがカッコ良くなるかもしれないと思って、ロックなギターに弾き直したのを覚えています。特にサビ終わりのフレーズとか!
内田
ちょっと楽しい、砕けた曲にしよう!っていう意識の中でアレンジが進んでいって、アレンジもメンバー同士で意見し合っていろいろ試してみたりしながら進んでいって、いい意味で実験的な曲作りができて、出来上がっていくのがとても楽しい一曲でした。

疾走感のある楽曲に乗せた鋭い言葉、迫ってくるようなサウンドが印象的な「shut up」は、もともとはどのような楽曲を作ろうと思ったのでしょうか?

鈴木
カッコ良い曲が欲しい!っていう、曖昧な感じからスタートした曲作りでしたが、完成までにそんなに時間はかからなかったですね。この曲を作ってる頃、ちょうど“私はこんな人間にはなりたくないわ~”っていう方に出会った時期で、歌詞は実際に感じた憤りをそのまま表現したので生々しいかも! 怒りを歌詞にするっていうことを最近してなかったから、個人的には新鮮で斬新で、曲を作りながらすごくウハウハしていました。
内田
激しい感情とかアレンジを乗せた楽曲にしようというコンセプトのもとで進められていて、なつが怒りを歌詞で表現するっていうことを今作で初めてやったり、歌い方にまで変化が出ていたりして、メンバー側からしても新鮮で面白かったです。
茄子川
私は洋楽が好きなんですけど、ポタリで初めて洋楽っぽさが少し出せたんじゃないかな?と思います。
中西
茄子川の好きな洋楽のCDを借りて勉強して、私の好きな邦ロックと摺り合わせながらちょうどいいところを攻めた楽曲になったと思います。

「GOOD LUCK」「コンパス」は前向きで背中を押してくれる曲で、ストレートに伝わってくる言葉選びが印象的でした。

鈴木
応援ソングはストレートが一番だと思っています! 伝えたくて書いているからっていうシンプルな理由なんですけどね。私はすぐ照れ臭くなってしまうところがあって、大切なことをうまく伝えられずにきた人間なんですよ。今でもわりとそうで…。でも、音楽を通してなら素直な言葉を言える。だから、真っ直ぐ伝えなくちゃ!と思って。

最後を締め括る「遥か」は《まだやれるよって自分に言い聞かせた》というように、迷いながら進む等身大が描かれた楽曲ですね。

鈴木
この曲の歌詞に関しては、多くを語らないほうが伝わると思っています。でも、この曲に支えられながら自分たちも頑張れた時期がありました。聴いてくれる方の心の弱ってる部分にスーッと溶け込んでくれる曲だろうと信じて収録しました。
茄子川
フルアルバムを出すことに迷いはなかったんですけど、ライヴとレコーディングで生活がカツカツになってる時期があって。幸せなことなのに、周りの友達のFacebookとかを見ると、楽しそう…って、嫉妬のようなものがあったんですけど、そんなことも、この曲が出来上がったらどうでもよくなりました(笑)。珍しく自分たちに向けた曲ですね。でも、共感できる人もいるだろうなー!

ポタリのパワフルさ、カラフルさが全面に押し出された一枚になりましたね。

鈴木
誰がどんな状況で聴いても共感できる曲があるような、色とりどりな一枚になったと思います。
中西
昔の音源と聴き比べると、こんなアレンジするようになったんだな~とか、自分的にも成長できた一枚になりました。“意外にいい”“こんな曲も作れるんだ”とか…なにかひとつでもポタリを知るきっかけになればいいなと思います。
内田
笑顔あり、パンチあり、涙ありのいろんな表情のある一枚になったと思います。
茄子川
実際に聴くと、すぐに一周終わっちゃうので何度でも聴いてほしい。歌詞カードも頑張ったので、ぜひ歌詞カードのイラストも見ながら! 歌詞にも共感してもらえるんじゃないかな?

思い入れのある楽曲があれば、それぞれ教えてください。

鈴木
「おとぎ離し」! もう、早口言葉みたいな歌詞だから、ものすごい練習した!! ひとりで夜遅くまで何度も嫌んなるほど歌って。でも、レコーディングが終わった時の達成感ったらなかったので…印象的でした。ギター、ベース、ドラムのアレンジもものすごく好きです。少し大人な感じです!
中西
「コンパス」ですね。メッセージソングみたいなのが欲しくて。でも、自分の背中も押された気分になるし、とっても好きな楽曲になりました。とくに間奏の折り返しの中途半端な音が好きなので、ギターを聴いてほしいです(笑)。
内田
「二人のメロディー」は、作り初めた時からほんとに好きな曲で。制作する上でコードとメロディーがぶつかったりで大変なことになったりしてて苦労したんですけど(笑)、ちゃんと初めて聴いた時の印象が同じまま、好きな曲のまま、ちゃんとみなさんに届けられるかたちになって良かったなと思います。
茄子川
「GOODLUCK」。お蔵入りしてたけど、この曲メロディーいいのに…とアレンジを変えました。これを作った時は、ポタリのライヴに行きたいけど受験で行けない!って子がいたので、その子に向けて作ってたんですけど、作り終えて、誰もが共感できる春っぽい曲だと思います。

本作を作って何か発見できたことはありましたか?

鈴木
無限の可能性。自分も音楽も。あとは、どの曲にもポタリらしさがしっかり入ってるところです。この4人で作ればどんな曲でもポタリになるんだ!って自分自身驚いたからなぁ。
中西
メンバーの結束力。
茄子川
新しい自分たち。
内田
音楽は奥が深いってことをまたしても思い知りました。ライヴで演奏していくうちに、この曲たちの自分たちでの捉え方も、演奏の仕方も少しずつ変わっていったりするんだろうな、と思います。

今作を引っ提げて、ファイナルワンマンシリーズを含めたツアー『ポタリing TOUR 2015 ~秋にはどっさり収穫祭~』を9月23日から12月まで開催しますが、どのようなライヴが期待できそうでしょうか?

鈴木
新曲もたくさんあるので、ライヴではさらに表現できるんだろうなと思います。最高なライヴができれば、最高な仲間が増える! 新しい出会いもたくさんあるはず。楽しみです。
中西
個人的には、重ねまくってるギターをライヴでどう表現するのかとか、考えながらラストのワンマンまでいろいろ挑戦していきたいなと思います。ツアーでは観光をしたい!(笑)
内田
ライヴでのその曲の良さみたいなものを出せるようにしたい! できるように頑張ります。ツアーでの新しい出会いがとても楽しみです。
茄子川
ポタリ史上最長ツアー! 各地で待ってくれてる人に会いにいきます! 駆け付けてください!(笑) その土地の美味しいものが食べたい!!

最後に、改めてポタリとは?

鈴木
あったかくて熱い!
中西
あったかくて熱い。ポップだけどロック。切なくてロック。…なのかな?
内田
届けたいハッピーっていうものの中に、情熱とか、切なさとか、大きなエネルギーを持ってるバンドです。
茄子川
こんなに普通な女たちだけど、歌って、楽器を演奏して、ライヴをすること。このバンド感を率直にカッコ良いことなんだと知ってほしいです。
『ポタリ』
    • 『ポタリ』
    • TRISE-0009
    • 2015.09.09
    • 2300円
ポタリ プロフィール

ポタリ:鈴木奈津美、中西詠美を中心に結成された、愛知県豊橋市を拠点に活動中のガールズバンド。幾度かのメンバーチェンジを経て現在の4人体制となる。ポップなサウンド、同世代女子に突き刺さる等身大の歌詞が人気を博している。ポタリ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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