【South Penguin インタビュー】
2カ月連続配信シングルで打ち出す
独特のポップ観
“ゆとりサイケ”“マーマイトポップ”を掲げるSouth Penguinが約2年振りとなる新曲「idol」と「alpaca」を2カ月連続で配信リリース。アカツカ(Vo&Gu)がサポートメンバーを迎えて6人編成のバンドとして完成させた2曲は、バンドの持ち味をアピールするのものとなった。アカツカをはじめ、サポートメンバーのニカホヨシオ(Key)、宮田泰輔(Gu)の3人に話を訊いた。
面白要素と独特の感性がある
異国の食べ物的な感じ
バンドが掲げている“マーマイトポップ”という表現が、まず面白いと思いました。
アカツカ
マーマイト(イギリスの栄養食品)って好き嫌いがはっきり分かれる食べ物で。過激な臭い食べ物と言えばシュールストレミング(世界一臭いと言われるスウェーデンの発酵食品)なんて好き嫌いが分かれるどころか、ほとんどの人が好きじゃなくて、食べることがないらしいです。僕はポップスが好きなので、ポップスから外れることはないラインで音楽をやっていきたいと考えているんですけど、シュールストレミングみたいなものじゃなくてマーマイトみたいな根付き方をしているものっていいなって。実は僕が大好きなコナン・モカシンがとあるインタビューで“マーマイト”って言葉をアルバムタイトルに使いたいと言っているのを読んで知った言葉なんですけど、拝借したというか…勝手に使わせてもらいました(笑)。
ニカホ
語感がいいですよね。最初に聞いた時、すぐに“いいじゃん”ってなったんですけど、そんな深い意味があるとは知らなかった。まぁ、癖があるけど、ポップという感じなのかなと思ってました。
宮田
でも、僕はSouth Penguinってそんなにポップだとは思わないですけどね(笑)。
宮田
いやいや、良い意味で。そういう面白要素もありつつ、独特の感性もありつつっていうのは、異国の食べ物的な感じがあるなとは思いますけどね。
そんなSouth Penguinの結成は2014年7月だそうですが。
アカツカ
1曲だけ音源を録ってSoundCloudに上げたあとは2年ぐらい何の活動もしなかったから、ちゃんと活動し始めたのは2016年からなんです。
バンドを始めた時、こんな音楽をやりたいというのはあったんですか?
アカツカ
ポップスをやりたいと思ってました。尖った音楽というよりも、お母さんたちが聴いてくれるような音楽をやりたくて(笑)。
さっきもポップスが好きだとおっしゃっていましたが、アカツカさんが考えているポップスって?
アカツカ
ユーミン(松任谷由実)とか、サザンオールスターズとか、日本のニューミュージックの人たちが自分の中でのポップスの大きな芯ですね。あとは、ポルノグラフィティですね。初めて買ったCDがポルノグラフィティだったんです。
ニカホ
そこからこういう曲ができるんだっていうのは、にわかには信じがたいけど。
アカツカ
フリッパーズ・ギターとか、コーネリアスとかも好きでしたね。
でも、いわゆるJ-POPの王道のようにやろうとは思わなかったのですか?
アカツカ
それが難しいんですよね。やろうと思っても気持ちが邪魔しちゃって、できなくて。ユーミンはすごく意識しているんですけど。
どんなところを意識しているんですか?
アカツカ
変わったコード進行だったり、すごく複雑なアンサブルだったりするんだけど、最終的に聴き心地が良いもの。安直なポップスとは一線を画しているんですよ。だから、僕も歌モノであることを軸にしているけど、細かいところで面白いアプローチをしていくっていう。ユーミンっぽい曲を作ろうと常に考えているわけではないですけど、普段から聴いているので、そういう歌心が無意識のうちに曲に表われているんじゃないかって思ってます。
宮田
歌心はあると思いますよ。それがユーミンっぽいかどうかは別として(笑)。
その一方、サイケデリックロックの影響も受けているわけですよね。
アカツカ
それはさっき挙げたコナンの影響がでかいです。YouTubeでいろいろ掘っている時に出会いました。
それ以前に洋楽は何か聴いていたんですか?
アカツカ
Sly & The Family Stoneとか、プリンスとか。中でもTalking Headsが一番好きでしたね。初めて買った洋楽のCDはTalking Headsのアルバム『Remain In Light』でした。だから、ミニマルなものとかファンキーなものとかの影響もあると思います。随所で今回もSly & The Family Stoneのフレーズの引用とか、Talking Headsのオマージュとかがあります。