L→R カズマ・タケイ(Dr)、もっさ(Vo&Gu)、朝日(Gu)、藤田(Ba)

L→R カズマ・タケイ(Dr)、もっさ(Vo&Gu)、朝日(Gu)、藤田(Ba)

【ネクライトーキー インタビュー】
紆余曲折を反映させた
アルバムにしようと思った

2017年に朝日(Gu)を中心としたメンバーで結成されたネクライトーキーから初の全国流通盤アルバム『ONE!』が到着! MV視聴数が170万回を突破した「オシャレ大作戦」はもちろん、もっさ(Vo)主導で制作した「ゆうな」など新しい魅力も引き出され、メンバーの言葉からも自信を感じる充実したデビュー作だ。

まずは2017年のネクライトーキー結成にあたって、当時に描いていたイメージや目標がありましたら教えてください。

朝日
まだメンバーが揃っていない時に、ひとりで曲を作っていた頃の目標がフジファブリックだったんです。なので、その頃にできた「タイフー!」「だけじゃないBABY」「行方不明」などはフジファブリックの影響というか、むしろオマージュに近い気持ちで作っていました。それを自分の曲と親和性の高い面白い声の女性ヴォーカルが歌えば未体験の反応があるんじゃないか、そんなことを考えていましたね。

アルバム『ONE!』はメンバー4人の存在感がしっかり確立できていると感じましたが、レコーディングはどうでしたか?

もっさ
ちゃんとしたレコスタに感動しました。とにかく広い!(笑)
朝日
もっさはちゃんとしたレコーディングが初めてなので多少の不安もあったのですが、そんなものを感じさせない素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたのがすごい嬉しかったです。
藤田
めちゃくちゃスムーズにいったのが良かったです。もっさの成長を感じました。前回のデモレコーディングの際はリズムを合わせることや弦のミュートに時間が掛かって、もっさ自身もやきもきしていた印象でしたが、今回は他のメンバーのペースに付いて来れていました。
タケイ
いつも通り朝日のフレージングに触発されて良いアイデアが出ました。
もっさ
みんなと比べて経験値がないので、必死で食らい付いてました。今までは自分の弾き方だったのが、朝日さんの作る曲になると自分では使わないコードだったりリズムだったりがたくさんあって、それに慣れるのが難しかったです。なので、朝日さんからは“こうやって弾くねん!”ってスタジオで体現して教えてもらったり(笑)。ピッキングの強さとかはだいぶ力強く変わったような気がします。
朝日
チャットモンチーのアルバム『YOU MORE』などを担当しているレコーディングエンジニアの上條雄次さんにお願いしたんですが、あまりきっちり直さない主義というか、レコーディングに対して“現時点での記録”という考え方を持っている方で。できないことは実現させないし過剰な修正もしない、多少のタッチミスがあったところで“それがバンドの今の姿だから”というスタンスだったので、それが絶対ネクライトーキーに合うと思っていたんです。実際にレコーディングが始まって1曲目でそれが“はまった!”と感じた瞬間、“勝った!”と思いました。そこからは「こんがらがった!」のメロ修正など大変なこともありましたが、楽しい制作期間でしたね。

シンセやマリンバなどメンバー以外の音もぎゅうぎゅうに詰まったアレンジが印象的でした。

タケイ
アレンジはほぼ朝日が決めているんですけど、打ち込みのデモをもとに、プレーヤー目線で気になることや他にやりたいことがあればメンバーに相談して決めたりしています。そこでメロディーラインに自信のなさだったり迷いがあるなと感じた時は遠慮せずに伝え、考え直してもらったりもしますね。

すでに全12曲のうち4曲のMVを公開しているのに、さらに10月から3カ月連続MV企画を行なっている部分からも今作に対する自信を感じました。

もっさ
少しでも多くの人に聴いてほしい、出し惜しみしたくないという気持ちでやっちゃいました。どの曲も個性があって良い曲なので純粋に聴いてもらいたいという気持ちです。
タケイ
3カ月連続となると日程もタイトになってしまい、その都合で2本分を1日で撮影することになってしまったのが大変でした(笑)。

今年は台風の上陸が多かったので、リード曲「こんがらがった!」の歌詞にある《来週は台風ががっつり来るから休めば?》のトレンド感も面白いなと思いました。この曲はいつ頃完成した曲なんですか?

朝日
レコーディング直前です。最初はAメロもBメロもまったく違うメロディーだったんですけど、スケジュールも差し迫っていた中で出せるものを出したつもりでした。だけど、タケイに“これじゃ少し弱い”と指摘され、それを直すと今度は藤田ともっさに“これはあまり好きじゃない”と言われ…最終的な決定稿があがったのはレコーディング当日でした。なので、他の作業と並行しながら歌詞も仕上げるというなかなかに過酷な工程でしたね。

《皆殺しのメロディだけだ!》みたいなちょっとサイコなフレーズにもバンドの頑固さが詰まっている気がします。

朝日
過激な歌詞だとラジオで流せないんじゃないかという話もあったけど、“皆殺しのメロディ”などどうしても入れたいフレーズは外さなかったし、最終的には良いものができたと満足しているので、それこそまさにメンバーの頑固が詰まった楽曲なんだと思います。

「タイフー!」はライヴ会場限定シングルとしてネクライトーキーで初めて発表した楽曲ですが、リリースから1年以上経った今改めて収録してみていかがですか?

藤田
ライヴでブラッシュアップできていたのでノリがさらに良くなりました。メインのリフが前より小気味良く仕上がったと思います。ライヴではサビでお客さんが“アッ!”と歌ってくれるのですが、それはライヴ版として、今回の音源でもサビの歌はもっさのみにしました。
もっさ
デモ段階ですでに朝日さんが完成形まで作っていたのですが、録り直したという実感のおかげで改めて自分たちの曲になったと思いました。「タイフー!」や「だけじゃないBABY」は私がバンドに加入する前から音源ができていたので、それに歌だけ乗せた感じで、そもそも自分のギターの音じゃなかったんです。ライヴを重ねていって自分なりの弾き方になったものをちゃんと録音できたので良かったですね。

今作にはもっささんが主導となって制作した楽曲もありますね。

藤田
「ゆうな」の歌詞を初めてちゃんと聴いた時、お父さんに向けて書いた曲なんだなとすぐに分かりました。ちょっと気恥ずかしい感じがもっさの等身大を表していると思います。男性メンバーはお母さんに向けて書いた曲だと受け取っていたのが面白かったです。
タケイ
すごくストレートな曲で、朝日が作る曲とはまた違った良さがありましたね。
もっさ
ネクライトーキーでやるとは思わずに聴かせたので驚いています。「ゆうな」はネクライトーキーを組む前からあった曲で、自分の弾き語りとかでしか歌ってなかったんで。かなりスローな曲だし、どストレートだし、バンドのイメージとは違うと思ってたんですけど、弾き語りの音源を朝日さんに聴かせたら、何日か後にバンドのかたちにアレンジした「ゆうな」が返ってきたんですよ(笑)。そしたら、ちゃんとネクライトーキーの曲っぽく成立してて。自分の曲をネクライトーキーでもできることが嬉しかったし、イメージじゃないとかではなくて、自分が好きな曲をやろうと思えました。
朝日
バンドが結成される前から「行方不明」という楽曲があったんですけど、バンド活動を続けていくうちに違和感を覚えるようになったんです。その違和感を上手く言語化できないのはもどかしいのですが、とにかく“このままじゃ駄目なんだろう”という感覚。なので僕はそれまであった自分で作ったメロディーを全て捨てて、歌詞も含めてもっさに何もかも預けました。その結果、曲が悪くなったって構わない…ネクライトーキーをバンドとして続けていく中で絶対に必要な痛みでした。自分のメロディーと決別するのは寂しかったですが、「明日にだって」という曲に生まれ変わることによって最終的には本当の意味でネクライトーキーの曲になったと満足しています。

前半は“これぞネクライトーキー”な攻めたナンバーをどんどん繰り出していますけど、8曲目の「ゆうな」からはアレンジもシンプルになって、空気が一変する流れにハッとしました。

朝日
曲順番長は藤田なので、あえて口出しせずに任せてました。
藤田
全体の流れとして前半は推し曲や強い曲を持ってきて、後半は静かな「ゆうな」や「夏の雷鳴」をはめ込みたいと考えていたんです。その上で「オシャレ大作戦」という爆弾に対抗できるかつ空気を変えてつなぐ役割として「がっかりされたくないな」を配置しましたが、これ以外の曲順はないというほどはまってくれました。

ラストの「夏の雷鳴」では“ネクラ”な部分…ある意味バンドの真骨頂で締め括られているなと思いましたが、どんな想いが込められているのでしょうか?

朝日
メンバーが集まってこのバンドになるまで本当に紆余曲折あったので、それをちゃんと反映させたアルバムにしようと思っていました。今まで組んでいたバンドの解散や活動休止、なかなかライヴができない現状、そんな中で出会ってやっとバンドを組んだんです。自分たちの力だけでバンドを動かすのは大変で、お客さんが0人の状態でライヴをすることもあったし、このままどうなるかがまったく分からない状態でもどうにかこうにかやってきて、まだまだどうなるか分からない状態ですけど、やっとアルバムを出せる。だから、「夏の雷鳴」には今までの薄暗い後悔やら悔しさ、それでもどうにかこうにかやらなきゃ死ぬだけだという前向きなのか後ろ向きなのかよく分かんない感情が詰まってます。そんな曲だからこそ続けていける…終わりの曲だけどバンドは続く。そういう気持ちがこの曲にはあると思います。

そんなネクライトーキーの現状も表現した今作を引っ提げての全国ツアー『オーキートーキー!全国編』が2019年に控えていますね。最後に意気込みを教えてください!

タケイ
初めて行く場所もあるんですけど、コーヒーが好きなので土地土地の名店を巡りたいです。
もっさ
初ツアーだし、2マンツアーだから今からわくわくです。
藤田
初めましてのバンドも、何回かやったこともあるバンドもいるのでどういう化学変化が起きるのかただただ楽しみです。あと、地酒と美味い飯も(笑)。
朝日
アルバムを出して最初のツアーなので、アルバムの曲たちがどう受け入れられるのか、どう成長していくのかが楽しみですね。そして、初ツアーの中でどれだけ次が見えてくるのかが一番の課題だと思っています。

取材:千々和香苗

アルバム『ONE!』2018年12月5日発売 Necry Talkie
    • NCJD-10002
    • ¥2,315(税抜)
ネクライトーキー プロフィール

ネクライトーキー:2017年にギターの朝日が中心となって結成。19年3月に初回ライヴよりすべてのライヴサポートを行なっていたキーボードの中村郁香が正式加入し、現体制となる。ボカロP“石風呂”名義でも活動する朝日による軽快なロックサウンドと、あどけなくも鋭く響くもっさのヴォーカルが印象的。20年1月にアルバム『ZOO!!』でメジャーデビュー。21年5月にアルバム『FREAK』、22年6月に石風呂の楽曲をネクライトーキーでリアレンジしたセルフカバーミニアルバム『MEMORIES2』をリリース。23年8月にEP『踊れ!ランバダ』を発表、11月に配信シングル「bloom」をリリースした。24年2月に2年9カ月ぶりとなるオリジナルアルバム『TORCH』を発表後、5月よりリリースツアー『ゴーゴートーキーズ! 2024』を開催する。ネクライトーキー オフィシャルHP

L→R カズマ・タケイ(Dr)、もっさ(Vo&Gu)、朝日(Gu)、藤田(Ba)
アルバム『ONE!』

OKMusic編集部

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