ロバート・パーマーが誰よりも早く
ニューオリンズ・ファンクに
挑んだ傑作
『スニーキン・サリー・
スルー・ジ・アリー』
前例のない
ニューオリンズ・ファンクに挑んだ
パーマーの驚くべき先見性
パーマーの飛躍も華々しいものになった。一挙に人気が爆発するということはないものの、セールスもアルバム毎に伸びるようになり、ソロ4作目となる『ダブル・ファン(原題:Double Fun)』(’78)、続く『シークレッツ(原題:Secrets)』(’79)からはシングル曲が全米14位を記録するようになる。1985年には人気絶頂のデュラン・デュランのジョン・テイラーとアンディ・テイラーから請われ、シックのトニー・トンプソンらとともにスーパーグループのパワーステーションに参加し、アルバム『ザ・パワー・ステーション(原題:The Power Station)』が全英12位、全米6位と大ヒットした。同年、自身のソロ『リップタイド(原題:Riptide)』からシングル「恋におぼれて(原題:Addicted To Love)」が全米シングルチャート1位を記録し、パーマーはグラミー賞最優秀男性ロックヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞している。当時、女性モデルのバンドを従えて、本人がスタイリッシュに歌うMTVが話題になったものだ。90年代、そして2000年代に入ってルーツミュージックと取り組むアーティストが増えだした頃、パーマーならどんなアルバムを作るだろうかとファンが期待していた矢先、何ということか2003年に彼は心臓麻痺で急逝してしまう。今更ながら、音楽界は惜しいシンガーを失ったものだと思う。
古巣のアイランドレコード時代に残した珠玉のアルバムがCDでも再発されている。ぜひ聴いてみてほしい。
TEXT:片山 明