【polly インタビュー】
“洋皿の上に乗ったおにぎり”を
志向する音楽
今後生きていく中で
忘れないようなお守り感もある
今作はなくしてしまった人や時間に対する曲が多いと思うんですが、「Life goes on」も気軽に言葉にしていない感じがします。
“Life goes on”は“それでも人生は続くよ”ってことじゃないですか。でも、僕の中ではネガティブな意味でとらえていたんですよね。“それでも人生が続いていくから、どうするんだ?”と。一般的に使われる“Life goes on”って文末につけるものだと思うんですよ。でも、僕の場合は接続詞的な“でも”や“だから”や“だって”みたいな使い方で、安易に使う言葉ではないけど、そうとらえました。
「One」は“ワン”で愛犬のことを歌っているのかなと。《言葉を持たないあなたが》という歌詞もあるので。
「One」っていうのは紐解くと最初の歌詞が《ねぇあなたがいないと“幸せ”という文字から“一“引かれてしまうから》ってすごくベタなんですよ。ひとつなくすだけで状況って変わるし、設計図が壊れてしまう。そういう意味での“One”っていう。
自分以外の人や生き物ではあるけど、身体から何か失われる感覚が初めて分かるのが、他者の死ということなのかなと思います。
そうですね。本当に内臓を取られたような、身体の奥から何かが出ていく感じですよね。嘔吐感ともまた違うし。
悲しい出来事とは次元が違うというか。
違いますね。もうちょっと奥の部分であり、例えるならひとつの宇宙みたいな感じがします。どこまでも深ければ、どこまでも高いし。
それぐらいの体験や体感があったことを記録しているアルバムだと思います。
僕、人間の死ってふたつあると思っているんですよ。肉体の死と、残された人が忘れてしまった時という。肉体の死は物理的な死だと思うんですけど、残された人がその人のことを思い続けていれば、本当に死ぬことはないんじゃないかと思います。
今作の楽曲は神聖なところを通って出てきたような気分にもなりますが、うっすら感じていることを理解して出した感じもあるし、あとちょっとお守り感もあるなと。
お守り感は僕の中にもありますね。今後生きてく中で忘れてしまわないような、このアルバムがあることによって、ふと改めて気づかされることもあります。
タイトルはリズムが出ることも理由かもしれませんが“Pray Pray Pray”って3回繰り返してるのはなぜなんですか?
僕らの1stアルバムが『Clean Clean Clean』(2018年5月発表)なんですけど、次に自主レーベルから出したのが前作の『Four For Fourteen』で、頭を並べるのがフルアルバムの合図というので決めました。それはPrimal Screemの「Ivy Ivy Ivy」って曲からのオマージュなんですけど、なんか分かりやすいかなって。
真摯に向き合った内容だけどキャッチーになるというか。
難しいですね。さっき本屋に行ってきたんですけど、本もタイトルに惹かれたりするじゃないですか。気分によって“生きるとは何か?”みたいなタイトルの本が読みたくなったりもするんですけど、もうちょっと声に出したくなるようなタイトルがいいなと…って、さっきも思いました。タイトルはすごく大事だし、前作に対しても未だに“このタイトルは良かったのか?”と考えることはあるんですけど、今は今作のタイトルすごくいいと思っています。
取材:石角友香
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アルバム『Pray Pray Pray』2022年2月2日発売
14HOUSE.
- 14HS-1014
- ¥3,000(税込)
- ※数量限定盤
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『polly Release Tour「Pray Pray Pray」FINAL ONEMAN』
ポーリー:2012年4月、越雲龍馬(Vo&Gu&Programming)を中心に宇都宮にて結成。海外のさまざまなジャンルを消化したサウンドと J-POPにも精通する耳馴染みの良いメロディーを軸とし、リリース毎に変化を見せている。20年11月に自主レーベル“14HOUSE.”を設立し、2ndアルバム『Four For Fourteen』リリース。22年2月には初の海外マスタリングで3rdアルバム『Pray Pray Pray』を発表した。オフィシャルHP
「窓辺」MV