L→R 宮崎良太(Ba)、くまおかりお(Dr)、アサノチャンジ(Vo&Gu)、岡村耕介(Gu)

L→R 宮崎良太(Ba)、くまおかりお(Dr)、アサノチャンジ(Vo&Gu)、岡村耕介(Gu)

【SHIFT_CONTROL インタビュー】
さらに自分たちを
ブラシュアップしていきたい

リード曲「ニヒル」は曲のカッコ良さ、
演奏の難易度ともに過去一だと思う

「MakeMyName」がアルバムタイトルにもなったのは思い入れがあるからという理由からなのですか? 

いえ、逆なんですよ。このアルバムが完成したこともひとつのタイミングだったと思うんですけど、今回は曲を作りながら今まで辿ってきた道を振り返ることが多かったせいか、改めて自分たちの音楽や自分たちのやりたいこと、“SHIFT_CONTROLってバンドはこれだぞ”っていうものを再定義したかったんです。自分たちがこのアルバムの曲をツアーで演奏しながら、自分たちがどうあるべきか、何を目指していくのかをさらに探していきたいと考えているんですけど、自分自身でも気づけていないこともあると思うんです。そういうものを探して、再定義していきたいという思いを込めて“MakeMyName”というアルバムタイトルにしました。曲のほうの「MakeMyName」は当初、このタイトルになる予定ではなかったんです。どんな仮タイトルをつけていたかは忘れちゃいましたけど、改めて歌詞を読んでみた時、これが自分の考えで、一番言いたいことなんだと気づいたので、アルバムと同じ“MakeMyName”にしたんです。

冒頭の《ねぇ 好きなものを綺麗なものを数えてみよう/ねぇ くだらない いらないものが多すぎるよ》、あるいは《透明な正体は ちょっとうるさくてどうでもいいことさ》という歌詞がパンチラインのような気がしますが、そんな「MakeMyName」と同じタイミングでできた「愛されたいくせに」は1分29秒のショートチューンです。もちろんライヴで楽しむことを前提に作ったんですよね?

そうです。あっと言う間に終わる尺で作りたいと思いました。1stミニアルバムの『Afterimage』(2020年1月発表)に入っている「かまうな」という2分15秒の曲があるんですけど、今でもライヴの終盤でやることが多くて、それを楽しみにしているお客さんも少なくないんですよ。僕ら自身も自分達のライヴに火をつけたいタイミングで、その「かまうな」を演奏することが多いんですが、それと同じくらい勢いがあって、強い曲を作りたいと思って作りました。そしたら思いの外、難易度の高い曲になってしまって(笑)。そもそも2ビートの曲ってSHIFT_CONTROLにはそんなにないし、その2ビートもこれまでで一番速いし、おかむのギターも最初から最後まで同じようなリフをものすごく速いスピードで刻み続けているという耐久レースみたいなことを求められる曲なので、ライヴでやるのは大変だと思います。でも、そのぶん、楽しみでもあります。

曲の最後に付け足したみたいに鳴るギターのピロンって音が面白いです。

遊び心というか、チョケというか、何かしらカッコつけきらない部分を残したかったんです。そういうところが僕自身であって、SHIFT_CONTROLのキャラみたいなところだと思っていて、カッコつけてるんだけど、最後でダサいみたいな(笑)。そういうところを表現するために付け加えてみました。

「愛されたいくせに」のみならず、「JUMP」や「MADNESS乱舞者」もライヴで盛り上がりそうですね。

そうですね。ちなみに「MADNESS乱舞者」の“乱舞者”は“ランブラー”と読みます。「JUMP」は構成の面で今までのセオリーを打破しようと思って、なかなかサビに行かないという作り方をしてみました。Aメロから曲が始まるんですけど、Bメロに行くのかと思ったら、またAメロを繰り返して、Bメロがないままサビになるという裏切りがある曲で。でも、キャッチーだからか、すでにライヴでもやっているんですけど、お客さんの反応もいいんですよ。その意味では、僕の狙いどおりの曲になりましたね。

後半のポエトリーリーディングもある意味、裏切りと言えそうですね。

限られた楽器の中で当たり前にコードを鳴らして、そのスケールに合った音で歌うだけだと面白味がないし、それが正解というわけではないのが音楽だと思うんですよ。それで、自分なりにその固定観念を打破するもののひとつとして、本当はライヴで曲を演奏する前に即興で入れるみたいなこともしてみたいんですけど、今回は作り込んだ曲に入れ込むというかたちでやってみました。

「ニヒル」をアルバムのリード曲として先行配信したのはどんな理由からだったのですか?

曲のカッコ良さ、演奏の難易度ともに過去一だと思うんですけど、そういう曲が狙ってもいない、予定もしていないタイミングでスルッとできたんですよ。デモの時点でこれはすごい曲になるというのがメンバーの中でもあって、だったらアルバムのリード曲として世に出したいと思いました。この間、MVも撮影してきたんですよ。その「ニヒル」と「愛されたいくせに」と「MakeMyName」が最後にできたとさっきお話しましたけど、作っている時の記憶が曖昧で(笑)。その3曲は夢の中でメロディーが浮かんだんですよ。初めての経験だったんですけど、夢の中で歌っていたメロディーを起きてからも憶えていて、それを溜めていたものがその3曲になりました。

きっと脳みそが曲作りモードになりすぎるあまり、潜在意識でも曲のことを考えていたんでしょうね。ところで、“ニヒル”は“虚無”という意味ですが、《目覚めたニヒル》という歌詞はどんな心境から出てきたものなのですか?

「ニヒル」の歌詞は、実は仮歌詞バージョンをそのまま使っているんです。まずは歌詞なしのデモができて、歌の感じを確認するために、とりあえず意味を考えずに仮の歌詞をバーッと当てたんですけど、そのままじゃ意味が通らないから、テーマ、ストーリーを持たせた歌詞を改めて作ったんです。そのふたつを歌って比べてみたら、仮歌詞のほうが聴いた時の耳の馴染みや、言っていることの訳の分からない感じが、むしろ聴き心地が良かったんです。なので、“これが正解です”とか“これを感じ取ってほしい”とかっていうのはなくて、その訳の分からなさを含めて、楽しんでもらいたい曲ではあります。物事に正解を求めすぎると面白味が欠けてしまうと思うんですよ。もちろんとらえ方や解釈の仕方によっては、僕の考えていることが節々に出ているとは思うんですけど、一曲通して“これが言いたい”とか“こういう意味がある”とかってわけではないんです。

その節々に出ているというアサノさんの考えは結構トゲトゲしたものですよね?(笑)

そうですね(笑)。ただ、それも曲の雰囲気を感じ取った上で、それに合わせているところもあるので、僕自身がニヒルで、トゲトゲしているというわけではないんですけどね。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着