L→R 美寿々(Ba&Vo)、千陽(Gu&Vo)、ひな(Dr&Cho)

L→R 美寿々(Ba&Vo)、千陽(Gu&Vo)、ひな(Dr&Cho)

【nolala インタビュー】
飾らない自分のまま
曲を作っていきたかった

3人全員が演奏面で
頑張っている!

「メイプル渡辺201」はタイトルが気になっていました。別れた恋人が出ていった時の気持ちを歌った曲なのですが、メイプル渡辺ってアパートかマンションの名前ですよね、きっと。

千陽
私が大学の時に住んでたアパートの名前です(笑)。

本当にあるアパートなのかと思いながら聴くと歌詞のリアリティーも増しますよね。他にも気になる曲があるので、ここからはそれについて訊かせてください。4曲目の「恋、はじめ、誓約書」はリズミカルな歌を含め、ポップな曲調がアルバムの流れに変化をつけているのですが、nolalaの中ではこういう曲調ってあまりないと思うのですが。

千陽
正直言ってそういう曲を書けるとは思っていなかったので、自分でもびっくりしたんですけど、“いいじゃん!”って思いました。雰囲気を変えるためにもそういう曲が1曲欲しいと思っていたんですよ。不得意だから無理だと思っていたのに、なんかできましたね。いつも“こんな曲を書こう”とか考えずにギターを弾きながら、“何を題材に曲を作ろうかな? これかな?”とテーマを決めて、テーマに基づいた言葉を口ずさんでいるうちにいつの間にかメロディーになっているんですが、これは勝手にこういう曲になりましたね。

それが自然なソングライティングの上達なのかもしれませんね。

千陽
どうなんでしょう? でも、指定されたとおりに曲が作れないと困るじゃないですか(笑)。“速いテンポで”とか“こういう雰囲気で”とか指定された時、結構頑張らなきゃいけない。今の曲の作り方だとそういう力は養われないと思いつつ、さっきも言ったとおり今回はやりたいようにやろうと決めたわけですけど。

美寿々さんが作詞作曲した「しあわせの跡味」はカントリー調というのか、フォーク調というのか、こういう曲も今までなかったんじゃないかと思いました。

美寿々
初めは弾き語りに近いアコースティック調のバラード寄りの曲だったんです。ただ、それをライヴのセットリストに入れることを考えた時、バラードな感じではしたくなかったというか、バラードとしてやっているイメージが湧かなかったんです。それでどうにか明るい曲調にしたいと思いながら、まずギターのコードストロークを考える際に、せっかくだからと思って千陽ちゃんが普段弾いていないストロークをつけたところからカントリー調に寄っていきました。

ひなさんのドラムがそこで重要になってくる気がするのですが。

ひな
そうなんです。このドラム、単調なようでめちゃめちゃ難しいんです。しかも、実はそんなに得意じゃないという(笑)。nolala加入前にやってきたバンドは8ビートの曲が多かったので、この曲の4つ打ちの感じは挑戦でした。

そして、「アイユエ」と「ごめん、ありがとう。」の2曲はアップテンポのロックナンバーとバラードというふうに曲調は正反対なのですが、恋愛体験を題材にした曲が多い中、ともに家族に対する気持ちを歌っているという意味で、アルバムの流れに変化をつけているだけに留まらず、深みを加えていますね。

千陽
そうですね。「アイユエ」を書く前に「ごめん、ありがとう。」を書いたんですけど、それはお父さんの曲なんですよ。数年前から温めていた曲で、やっぱり家族の歌だから納得いくかたちで世に出したかったんですけど、自分の中でいいと思えるものに全然できなくて、何年もかけてやっとできた曲なんです。それをアルバムに入れるんだったら、せっかくだからお母さんの曲も作るかって「アイユエ」を作ったんです。

そんなふうに歌詞の面でもいろいろなバラエティーがあるところも聴きどころだと思うのですが、曲が揃ってしまったら、その後のレコーディングは順調に進んだのでは?

千陽
それが順調ではなかったんです。というのは、今回ほとんどの曲のベースとドラムのアレンジを私が打ち込みで作ったんですけど、実際のベースの運指が分からないままフレーズを考えたので、めちゃめちゃ難しいというか、弾きヅラいものになってしまったんですよ。なおかつ、美寿々さんが普段使っているサンダーバードじゃないベースの音で弾いてほしいとリクエストして、ジャズベースで弾いてもらったんですが、弾く感覚が全然違うものらしく、それに慣れてもらうのにそれなりに時間が必要だったんです。
美寿々
弾いている感じがサンダーバードと違っていて最初は苦戦したんですけど、友達から借りたということもあって、友達の相棒を受け継いだみたいな気持ちもあったので、その気持ちもプラスαで加わったのは良かったですけどね。

千陽さんはジャズベの音が良かったんですか?

千陽
サンダーバードは癖のある音がするんですよ。ストレートなロックサウンドを作りたかったので、一番シンプルにベースらしいベースってところからジャズベースになりました。

そもそも、なぜ千陽さんが打ち込みでベースをアレンジしたんですか?

千陽
今までは3人でスタジオでアレンジしていたんですけど、今回は曲数も多いので、時間を節約しようと思ったんです。私の理想が分からないままアレンジを考えてもらってきて、“そこはイメージと違う”って言うのも申し訳ないし、あんまりそういうことを言いたくないんです。それだったら、私が考えたほうが作曲者の意思どおりの曲ができるじゃないですか。なので、美寿々さんが嫌じゃなかったらそれでやらせてほしいって、今回はやらせてもらいました。

今回、ベースソロが多い印象がありますが千陽さんのアレンジなんですか?

千陽
そうです。美寿々さんが書いた「しあわせの跡味」は美寿々さんが入れているんですけど、確かに多いかもしれないですね。ベースを打ち込んでいる時、“こういうベースが欲しい”と思ったら、結果的にそうなってしまったんです。今回は全員が演奏面で頑張っているんですよ! ベースソロを入れたり、ギターとベースのかけ合いを入れたり、“ふたりとも歌いながら結構やるよね”ってところをライヴで印象づけられたらって思いました。

じゃあ、ギターに関してもかなり頑張った?

千陽
はい。おかげで、今、ツアーに向けてめちゃめちゃ練習しています(笑)。

12曲目の「6畳1Kとジャズマスター」は千陽さんのアイデンティティーをアピールしているということに加え、リバーブを深くかけた音像がひと際ダイナミックに鳴っていることを考えると、アルバムを締め括るのにぴったりなんじゃないかと思いました。これは全員一致で?

千陽
その曲の裏タイトルは“飾らない私を愛して”なんですよ。このアルバムを聴いてもらって、そこから『飾らない私を愛してツアー』が始まるというイメージで、言わばツアーに向けたバトン代わりなんです。実はその曲で終わる曲順と、「ごめん、ありがとう。」で終わる曲順を考えていたんです。「ごめん、ありがとう。」は一番思い入れのある曲なので、自分の思い入れある曲を最後に聴いてもらうのか、ツアーまでの流れを取るのかで迷いに迷ったんですけど、ひなの意見で“やっぱりこの並びだよね”となりました。
ひな
曲順を決める時、「アイユエ」「ごめん、ありがとう。」「6畳1Kとジャズマスター」という最後の並びは絶対に譲れないと思ったんです。“飾らない私”というテーマで作ってきた中で、お母さんの曲、お父さんの曲ときて、最後は千陽ちゃんの曲で締めるっていうのが、それしかあり得えないと思えるくらい一番自然に思えたんです。

ところで、千陽さんは以前はテレキャスターを使っていたと思うのですが、ジャズマスターはいつ頃から使っているのですか?

千陽
たぶん2019年からだと思います。

なぜジャズマスターを?

千陽
もともと音が好きだったんです。バンド仲間の男子がジャズマスターで出していた音がすごく好きで、その子と“ジャズマスターいいよね〜”って話になったんですけど、その時に“ジャズマスターめっちゃいいけど、おまえは下手くそだから使いこなせない”と言われて、ずっと自分には無理だと思って触らなかったんです。でも、曲を作る中で鳴っているのは、やっぱりジャズマスターだったんです。それでジャズマスターを買ったんですが、気づいたら下手くそって言った男子と同じ色のジャズマスターを買っていたっていう(笑)。

「6畳1Kとジャズマスター」のフィードバックを生かしたギターサウンドもジャズマスターならではですね。

千陽
シューゲイザーっぽいサウンドにしたかったんですよ。でも、nolalaではエフェクターのコーラスを使ったことも、バッキングのギターにここまでリバーブを深くかけたこともなかったので、シューゲイザーをやっているバンド仲間に教えてもらったんです。

この曲がきっかけになって、ギターサウンドはここからさらに広がっていきそうですね。

千陽
アルバムの曲をライヴで最大限に再現するにあたって、エフェクターを一新したんですよ。ツアーで早速その変化を出せればいいんですけど、ライヴはこれまでシンプル・イズ・ベストでやってきたので、すでにドキドキしています。

今度のツアーはそこも観どころというわけですね。そんなツアーの意気込みを、最後に聞かせてください。

千陽
前作の『sequence』も自分たちにとっては挑戦の一枚だったんですけど、それをさらに超えるというところで、ライヴでどれだけ成果を出せるかが重要なツアーなんですよ。コロナ禍が落ち着いてきて、お客さんが少しずつライヴハウスに戻ってきているところなので、今一度、“ライヴハウスっていいな”って思ってもらうきっかけにしたいですね。あとは、テーマどおり変に無理せず、自分たちらしくやり遂げたいです。
美寿々
お客さんを満足させたいと思うんですけど、“nolalaは一回観たから、もういいかな”ってならないようにしたいですね。“また観たい!”“直接元気もらいたい!”と思ってもらえるよう次につながるようなツアーにしたい。お客さんの心を掴みにいかないとあかんなって思っています。
ひな
期待をしてもらっているぶん、その期待を超えていかないといけないと思っています。なので、より一層気合を入れて頑張って、ツアーを回ってきます!

取材:山口智男

アルバム『i my me mine』2023年5月3日発売 FAMILYPACK RECORD
    • NCJD-10009
    • ¥3,000(税込)

ライヴ情報

『1st Full Album “i my me mine” Release Tour 2023「飾らない私を愛してツアー」』
5/13(土) 京都・LIVE HOUSE GATTACA
w)to be announced...
5/20(土) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE
w)KAKASHI / and more...
5/21(日) 宮城・仙台enn 3rd
w)マイアミパーティ / and more...
5/28(日) 愛知・RAD SEVEN
w)藍色アポロ / ハローモンテスキュー / LEODRAT
6/03(土) 広島・ALMIGHTY
w)ドラマチックアラスカ / 南風とクジラ
6/04(日) 福岡・Queblickw
w)ドラマチックアラスカ / snooty
6/10(土) 北海道・BESSIE HALL
w)MoLse / TRiFOLiUM
6/18(日) 大阪・福島LIVE SQUARE 2nd LINE
w)シナリオアート / and more...
6/24(土) 東京・shibuya eggman
w)to be announced...

nolala プロフィール

ノララ:2016年に結成された、京都発のツインヴォーカル・3ピースガールズバンド。千陽がTwitterに投稿した“私は別れた彼氏を全員曲にするタイプです”というツイートが話題を呼び、ともに投稿された「グッバイライアー」のMVはセルフプロデュースながら16万回再生を突破。自主制作CDにも注文が殺到し、手売りのみで合計900枚が完売。21年7月に全国流通盤シングル「ルームメイト」をリリースした。nolala オフィシャルHP

「明日が最後でも
いいと思えるように」
MV

「ピアス」MV

OKMusic編集部

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