【成宮雛 インタビュー】
青空と夜空、
対照的な2曲が揃った2ndシングル
「快晴」は過去と向き合った
今の自分の想いを込めた曲
確かに、成宮さんの音楽には風景画のような感じがありますね。成宮さんが頭の中で描いた風景をイメージしている気になります。「快晴」はどんな経緯で作られたのですか？
私の過去の出来事に向き合って、“あの過去があったから今がある”という想いで作った曲です。過去にいじめを受けた経験があったんですけど、その当時はすごく悩んでいたので、空がきれいなことや自然豊かな世界が素晴らしいと感じることが一切できなかったんですよ。でも、今は時を経て“空はこんなにきれいなんだ”“月は明るいんだ”と感じることができるので、そんな想いを込めています。サビの歌詞では《快晴な世界だった》と過去形にしているのは、もともと空はちゃんときれいなんだけど、“私は今、知ることができた”という意味を込めていて。《最低な世界のなか見つけた》という歌詞にも、過去の自分を見つめる今の自分を描いています。
すごく前向きな気持ちにさせてくれる歌詞ですよね。ご自身のつらい体験をあえて曲にしようと思ったのは？
いじめが原因の悲しいニュースだったり、社会に出ても周囲から非難されることがあったりして、自分以外の人も経験していることだなと。自分が悩んでいた頃は“なんで私ばっかり、こんな想いをしなきゃいけないんだろう？”と思っていたんですけど、今になって視野が広がってくると、そういうこともあったから今があると思えて、同じような経験をした人たちに寄り添った曲を作りたいと考えるようになったんです。“つらい時期を乗り越えたら、こんなきれいな景色が見えた”っていうのを伝えたいと思って作りました。
ご自身が特に歌詞やアレンジでこだわった部分は？
ラストですね。《特別なものはいらないから》という歌詞以降は、自分が伝えたいことを重要視しました。自分の歌と同じ主線のメロディーに合わせてパーカッションの音色も入れています。
どこか視界が開けていくような雰囲気を感じさせてくれる展開ですね。
そうですね。それと《足枷を付けたままの今でも》という歌詞にも想いが詰まっています。つらい想いをした過去は一生消えないものじゃないですか。どうしても心の奥には残っちゃうから、そういうのを持っていても生きている限りは頑張っていこうという気持ちを込めたワードになっています。
一方、カップリングの「上弦の月」は「快晴」とは対照的に、夜の空を描いた幻想的なナンバーですね。
自分の中では珍しくタイトルから決めました。“上弦の月”という言葉が神聖できれいな響きだと思っていて。ただ、上弦の月に関する実体験があまりなかったので、自分の中で作り出した物語を歌詞にした曲なんです。いつもはサビのメロディーから思いつくんですけど、この曲は冒頭の《天高く上弦の月》のAメロから作ってきました。書き出しからストーリーを紡いでいくような、この曲は“静かできれいで神聖”というイメージがあるので、《流るる川》《艶やかに》とか自分の中で美しいと思うワードを詰め込んでいます。
普段と違う曲作りはいかがでしたか？
AメロからサビをつなぐBメロが全然思いつかなくて苦戦しましたね（苦笑）。
トライアルな曲だったんですね。特に好きなフレーズありますか？
この曲はAメロとBメロの間に間奏を入れているんですけど、《艶やかに咲いた桔梗が見ている世界》という歌詞でどんな目線の曲なのかを表現してから間奏を挟んでいるんです。この曲の情景の主人公が誰なのか、聴いてくれた方の想像が膨らむように作ってみました。
シングルとしては1年振りになりますが、改めて本作を届ける現在の心境は？
2枚目のCDを出せることは、すごく嬉しいです。気合いを入れて作った2曲なので、今作をきっかけに私のことを知ってもらえたらいいなと思います。
