L→R ハイスクール・ジュニアやますけ(Gu)、近藤芳樹(Vo&Gu)、谷田七海(Dr)、有坂生夢(Ba)

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【molly インタビュー】
聴いてくれる人の夏の記憶を
mollyなりに突きたい

自分の実体験と架空の物語を
ごっちゃにして作るのが好き

資料にあった近藤さんのコメントに“夏特有、独特なことを閉じ込めたり、思い出したりしたくて書いた曲”という記述がありました。これは近藤さんが以前ツイートなさっていた“学生の時の青い気持ちを意識的に取っておいている”という旨と関係している気がしたのですが。

えっ!? ツイートを掘り返されるの恥ずかしすぎる…どうしよう!(笑)

あははは。思春期に忘れられない思い出があって、それが創作にもつながっているんだろうなと感じました。

そうですね。僕の高校は女子がクラスに3人くらいしかいなくて、僕のクラスは男子のみだったんですよ。その環境でコピバンを始めて、好きな子ができて…なので、自分にとっての青春はその子との思い出しかないんです。僕の書く恋愛の曲はその時のことをしゃぶり尽くしている感じで…って、僕、今めちゃくちゃ恥ずかしいこと言ってますけど(笑)。

自分は夏の中心にいられないという意味でも“アウトサイダー”なんだと。

夏っぽいタイトルにしたかったので、“サイダー”みたいなカタカナを入れられたらと思って辿り着いた単語です。夏に虚しさを感じる僕は完全に夏において部外者だし、“サイダー”って響きは夏っぽい明るく弾けるイメージも、すぐに抜けてしまう虚しいイメージも持っているのでぴったりだと思いました。

近藤さんのコメントの続きには“この曲を聴いた時に思い浮かぶ色が何色なのか、人によって全然違う。そんな曲をこれからも書けたらいいな!”とも書いていましたが、その理由はどんなものでしょう?

「アウトサイダー」がどんな物語なのか説明したら、その色が強く出て、もうそういう曲にしか聴こえなくなると思うんです。でも、そんな事前情報を知らない初聴きの時に生まれる感情はすごく大事だと思っていて。メンバーにも歌詞の説明はせず、曲の色のイメージだけ伝えるようにしているんですよ。僕の曲は自分に対して歌ってる曲ばかりだし、押しつけるようなことを歌っているわけでもないので、その人それぞれの感じたことが全部正解だと思う。聴いてくれた人たちの感情が一番大事だと思っていますね。

そういう距離感とスタンスだからこそ“mollyの音楽には自分の居場所がある”という声をもらうことが多いのかもしれませんね。

“側にいてほしい”と思う人にとっては側にいるような感覚になれるバンドだと思うし、 mollyを支えにしてくれる人にとっては自分の心の中にいるような、引っ張ってくれる存在だと思っている人には引っ張っていけるバンドだと思います。聴いてくれる人が求めてくれるものに全部当てはまる…もしかしたら都合のいいバンドなのかも!?(笑)

いやいや。今のお話を聞いていて、mollyはいい距離感を取ってつき合ってくれる友達のような存在なのかなと思いました。ソングライターでありフロントマンである近藤さんに“こういうことがやりたいな”や“こういう自分を出したいな”というビジョンがしっかりあるから、聴いている側も心を開けるというか。

聴いてくれた人が自由に解釈できる音楽のほうが楽しいと思うんですよね。僕はそういう音楽が好きだし、聴きながら“どういう気持ちでこの歌詞を書いたのかな?”“きっとこういうことがしたくてこのアレンジにしたんだろうな”と考えられたほうが楽しい。

MVも監督の加藤マニさんならではの「アウトサイダー」が提示された物語になっていますしね。

本当にそうですね。自分たちが出演しないMVは初めてだったし、ドラマを観ているみたいで。MVを観ると曲のイメージも変わってくるから監督には感謝しかないです。

8月には東名阪ツアー『夢見た生活は炭酸のよう』が開催されますが、mollyは毎回ツアータイトルが凝っているのも印象的で。

僕ら世代のバンドはツアータイトルがシンプルかボケるかの二択が多い気がしていて(笑)。“じゃあ、mollyはちゃんとしたタイトルを掲げてみよう!”と思って毎回考えています。今回は夏ならではのライヴにしたいから“アウトサイダー”というタイトルとかけて“炭酸”という言葉を使って、あとは今回のツアーでベースの有坂生夢が脱退するので“生夢”という文字を入れたかったんですよね。

唯一のオリジナルメンバーの有坂さんは近藤さんにとって盟友的存在でもありますが、現体制ラストツアーを間近に控えた現在はどのような心境なのでしょう?

本当に全然実感が湧いてなくて…今も生夢も一緒にスタジオで新曲のアレンジを詰めてくれているんですよ。だからなおさら、生夢が抜けたらどうなるのか分からないです。このツアーは“これが生夢との最後のステージだ”と思うと同時に、そういうライヴにはしたくないとも思っていて、悲しくて寂しいライヴをすることは僕らも望んでいないし、お客さんはチケット代を払って交通費を使って会場に来てくれるんだから、お客さんが納得してくれるライヴにしたいんですよね。だから、この東名阪ツアーが終わってみないとどうなるか分からない。でも、きっと虚しさに襲われるんだろうな…。

ふたりが中心になって始めたバンドですし、音楽の趣味も合う者同士だし、なおさらですよね。

生夢は結成してからずっと、僕の作る曲をめっちゃ好きでいてくれるんですよね。今作っている作品が生夢と作る最後の作品なので、今はひとまずいいものを作れるように頑張りたいと思っています。そんな感じで、まだ生夢がベースを弾いているmollyのイメージしか湧かないんですよ。でも、生夢が抜けるということはオリジナルメンバーが僕だけになるし、その僕が作詞作曲をしているということは、自分がもっとちゃんと1アーティストとしてしっかりしなきゃいけない。それこそワンマンバンドになれるくらいに。

と言いますと?

フロントマンとしてメンバーを引っ張っていける人間がメンバーと協力して音楽をするのが一番いいと思うんです。だから、僕はワンマンバンドのフロントを張れるアーティストにならないとダメだなと。生夢が抜けて、もしやますけと七海ちゃんも抜けちゃったら、自分は何にもできない。今の僕にはバンドを引っ張っていく力が全然足りないから、いろいろ勉強中で…これまでは生夢にベースのフレーズを任せていたけど、最近は自分で考えてみたり。

なるほど。だから、ピアノを練習したり、いろんな楽器にチャレンジなさっているんですね。

そうです。それがきっかけで“この曲のベースはどんなふうに弾いているんだろう?”と他の楽器に興味を持つようになりました。音楽的にも人間的にも、バンドを引っ張れる存在になりたいんです。生夢が抜けたあとは現時点だとどうなるかまだ分からないけれど、僕は楽しいことが好きなので、楽しいことがしたいし、楽しくなかったら続けられない。そのためにも目の前のことを精いっぱい頑張りたいですね。

取材:沖さやこ

配信シングル「アウトサイダー」2022年7月27日配信リリース RED

『夢見た生活は炭酸のよう』

8/04(木) 東京・下北沢MOZAiC
w)バイリンジボーイ、初恋モーテル、Fusee 
8/10(水) 大阪・心斎橋BRONZE
w)ofulover、Bye-Bye-Handの方程式、ココロオークション
8/20(土) 愛知・新栄RAD SEVEN
w)アルステイク、ルサンチマン、アメノイロ。

molly プロフィール

モーリー:2019年春に活動をスタートさせた、地元の名古屋をこよなく愛する4人組バンド。感情がそのまま溶け込んだ繊細な歌声と、瞬間を謳歌するエネルギーで聴く者を惹き込むライヴが魅力。名古屋のライヴハウスを中心に果敢に活動中。19年9月から5作のデモを会場限定でリリースし、22年3月に初の全国流通盤ミニアルバム『moment』、同年11月に2ndミニアルバム『メメント・モリ』をリリースした。molly オフィシャルHP

「アウトサイダー」MV

OKMusic編集部

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