L→R みゃん(Gu)、ナガイレン(Vo&Gu)、すず木ひろ史(Ba)

L→R みゃん(Gu)、ナガイレン(Vo&Gu)、すず木ひろ史(Ba)

【藍色アポロ インタビュー】
真新しい藍色アポロに挑戦し、
表現していく

“届ける”という意識が
バンドの視野を広げる一因に

その“誰かと”という部分に通じる話なんですが、歌詞の中に第三者が登場することや、誰かに訴えかけるようなフレーズがあることを含めても、今作の歌詞は全体的に外向きになっている印象を受けました。これにはライヴ経験の積み重ねが影響しているように思うのですが。

ナガイ
あぁ、確かにそうかもしれませんね。今作は特にライヴで鳴らすことまで見据えて、言葉の置き方やテンション感を考えていったんです。それはお客さんに伝わってほしいことが、自分たちの中で明確化してきたからこそできたアクションなのかもしれないです。前作までは内向的な楽曲が多かったですけど、ありがたいことにライヴに来てくれるお客さんも増えたことで、“ちゃんと伝えなきゃいけない”という意識が育っていったというか。それもあって「Sketch」のようながっつり外向きの曲も生まれたんだと思います。

フジテレビ系TVアニメ『デジモンゴーストゲーム』のエンディングテーマとして「ペダル」(2021年11月発表の配信シングル)を作ったという経験はどうですか?

ナガイ
それもありますね。普段は僕たちの曲を聴かないような人たちにも聴いてもらえる機会でしたし、「ペダル」はアニメのことも考えながら、お子さんにも伝わるように書いた曲だったんです。なので、いろんな人に届くと自覚した上で楽曲を作ったという経験は、今作を作る上で重要なものになった気がします。あの経験がなければ、今作はもっと内寄りな作品になっていたと思います。
みゃん
ギタリストとしても“伝わるように”という意識は強くあります。人の意識を掴むというイメージは大事だとは思っていたんですけど、今作を作るにあたってインパクトを残すだけではなく、しっかりと心に残るギターを作りたいと思いましたし。そういう意識はメンバー全員にあったと思いますし、僕もそこはかなり意識して作りました。

確かに、その“届けたい”という意識は「今日が世界の最終日」や「夜を歩けば」「氷夏」といったポップチューンの強度が増していることにもつながっている気がします。

みゃん
そうですね。『312g』をリリースした頃までは“藍色アポロはこうであるべきだ!”とか“ギターはこうだ!”と、自分で自分の可能性の幅を狭めてしまっていたんです。それがいい意味で崩れていって、自由度が増していったんですよね。ナガイがどんどんと新しい扉を開けてくれていったし、自分も“もっとやっていいんだ”と思えました。「夜を歩けば」は藍色アポロが活動を開始してすぐのライヴで演奏していた曲で、今まで寝かせていたんですけど、今だからこそああいうアレンジができたし、「今日が世界の最終日」に関しても、今だからあのイントロのアプローチができるようになったんだと思います。

ナガイさんも「夜を歩けば」に関しては作った時のイメージとは変わりました?

ナガイ
そうですね。歌詞に関しても、言っていることは同じでも表現の仕方をまるっと変えましたし、ビートやサウンドも当初とはかなり変わっていると思います。バンドを始めてすぐ作った曲なので、どういう曲にしたいといったイメージもなく作った楽曲ではあったんですけどね。

なるほど。おふたりの中でお気に入りの楽曲はあります?

ナガイ
僕は今までにない藍色アポロをバシっと提示できたという意味で、「Tobaku-Beat」「一時休戦!!!」「今日は世界の最終日」の3曲ですね。ビート、コード進行、サウンド、それら全てが新しいですし、こういう曲をプレイする藍色アポロを想像するだけでワクワクします。
みゃん
思い入れの部分では「一時休戦!!!」ですけど、歌詞が好きなのは「叫んでいるんだ」ですね。この曲の歌詞は自分の学生時代とリンクするところが多いんです。自己表現が苦手で、嫉妬などの暗い感情を抑え込んでいた自分が、バンドを始めたことで開放的になっていったというバックグラウンドが、夜から朝になっていくという歌詞の情景と重なるんです。だから、この曲はとても気に入っています。
ナガイ
なんか…服を脱がされているような、恥ずかしい気持ちになりますね(笑)。
みゃん
あははは! でも、この曲に限らず、ナガイの歌詞のいいところは聴き手によって重ねる感情や解釈が違うところだと思うんです。だからこそ、いろんな人の心に届いていくんだと思います。

今のみゃんさんのお話もそうですし、「叫んでいるんだ」の《ただ出せる範疇で僕は届けられるだけ》や、「氷夏」の《届いてはいないけど、届けばいいくらいで》という歌詞からも感じられるように、ナガイさんの書く歌詞って余白があるんですよね。“無理はしないで、それぞれのキャパの中でやればいいよ”という緩さというか。

ナガイ
僕の人生のテーマとして“死なない程度に無理をする”っていうのがあるんですけど、そこが反映されているんだと思います。歌詞の主人公と僕自身は別人格にしているつもりなんですけど、根底にあるもの人間性は同じなんでしょうね。

明日が世界の最終日だとしたら、自分だったら何をします?

ナガイ
うわー! 何だろう…でも、伝えたい人に、伝えたいことをちゃんと伝えるんだと思います。歌詞のまんまになっちゃいましたけど(笑)。
みゃん
僕はサウナに行って、整って、ビールを飲んで気持ち良くなって、ギターを弾いている間に世界が終わってほしいですね。
ナガイ
最終日にサウナやってんのかな?(笑)

あははは! 確かに(笑)。でも、おふたりのお話を聞いて、今作の曲がライヴでどう化けるのかが楽しみになりました。

ナガイ
ドキドキしますね! 曲数が増えたことでセットリストの決め方も変わっていくと思いますし、今までできなかったライヴの展開や魅せ方ができると思うとワクワクします。そして何より、今作の楽曲を聴いたお客さんの反応が気になります。絶対に盛り上がると思うので、最高記録を更新できると思っています。
みゃん
僕は『クロマチック』が出来上がってから毎日聴いているんですけど、全然飽きないし、めちゃくちゃいい作品になったと思っているんです。なので、早くいろんな人に聴いてほしいですね。

取材:峯岸利恵

アルバム『クロマチック』2022年5月11日発売 No Big Deal Records
    • NBPC-0098
    • ¥1,980(税込)
藍色アポロ プロフィール

アイイロアポロ:2020年結成、下北沢発の 4ピースバンド。2000年代オルタナティブロックを継承し、哀愁も激情も歌い分ける確かな楽曲と熱伝導率の高いライヴを武器に、純度の高いギターロックを掻き鳴らす。21年11月にフジテレビ系TVアニメ『デジモンゴーストゲーム』のエンディングテーマとして配信シングル「ペダル」をリリース。22年5月に1stアルバム『クロマチック』を発表。藍色アポロ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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