劇場公開を切望。
音楽ドキュメンタリーの大傑作
トーキング・ヘッズの
『ストップ・メイキング・センス』

『ストップ・メイキング・センス』
40周年記念上映会で
オリジナメンバー再集結

8月頃だったか、今度はネットニュースに上記のような嬉しい見出し&記事が出て、懐かしいというか…それなりに老けた4人が揃ったフォトセッションもアップされた。デヴィッド・バーン、ティナ・ウェイマス、クリス・フランツ、ジェリー・ハリスン。そうか、あれから40年も経ったのかと焦りも感じたが、待ったよ!という気持ちが沸いて出た。4人が揃って公の場に立つのは2002年にバンドが【ロックの殿堂】入りして以来というから、それからでも軽く20年が過ぎている。その間、連絡を取り合うこともたぶんなかったのではないか? 

トーキング・ヘッズとして再集結はしたけれど、これを機に4人が再結成、活動再開となるのかどうか、断定できない。人に聞くと「やるらしい」という者もいればプロモーションのために「顔を揃えただけ」という者もいる。私の中でも活動を再開する必然性のようなものをいまいち見出せないとはいえ、彼らのことだから、あっと言わせるようなプロジェクトを、実はもう進めていたりして? と期待もしてしまうのだ。なにせ、トーキング・ヘッズなのだから!

『ストップ・メイキング・センス』は1984年に公開されたトーキング・ヘッズのライヴを撮影したドキュメンタリー映画だ。1983年12月にロサンゼルスのパンテージズ・シアターで行われた4公演から撮(録)られたものからなり、公開後、映像はヴィデオ、レーザーディスク、DVD、Blu-ray、ストリーミングと変遷した。そして2023年版は行方不明だったオリジナルのテープが倉庫で見つかり、最新の技術で4K版としてレストアされたものらしい。一方、音盤のほうもサウンドトラック盤としてアナログ盤(LP)→CDと発売されたが、映像盤と音盤では微妙に曲順が異なっているものの、ライヴの完成度が非常に高いもので、音盤だけで聴いても充分に「ライヴ盤」として満足できるものになっている。とはいえ、これまでトーキング・ヘッズの音楽に接したことがない方には、映像を伴った彼らの音楽に触れるのが一番だろうと思う。

ドキュメンタリームービーなのだから、内容の詳細を語ってはネタバレになってしまう。初めて見る人も、私が40年前に体感したような、バンドのライヴ感、コンサートの概念を吹っ飛ばされるような衝撃、高揚感を味わって欲しいので、紹介は最小限にとどめておく。

デヴィッド・バーンがどう語っているのか知らないのだが、私なりに『ストップ・メイキング・センス』のコンセプトは何であったのかと考えると、それは「変遷 / Transition」ということになるだろうか。撮影された映像は、まさにトーキング・ヘッズの結成から徐々に音楽もバンドの形態も変えて世界のトップアクトに登りつめるさまがとらえられている。見方を変えれば音楽とビジュアルが見事に融合していく圧巻のパフォーミング・アーツを目撃するというものでもあるかもしれない。

OKMusic編集部

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