近石 涼

近石 涼

【近石 涼 インタビュー】
この曲はきれいに歌ってしまったら
絶対に届かないと思った

「馬鹿な女」MV

「馬鹿な女」MV

昭和感という意味だと、2番のAメロに出てくるような風景がそうで。彼女が朝、仕事で部屋を出て行く前に少し焦げたパンを焼いて目玉焼きを作ってくれたとか、ひとりになった“僕”がベッドの上で曲を作っていたとか…生活感にあふれた描写に昭和時代の四畳半フォークの匂いを感じました。そんな幸せだった情景が浮かぶ描写があることでなおさら、ふたりの別れの切なさや男の情けない心情が染みますね。

実は最初、1番も2番もAメロのパートは具体的な情景を描写してなくて、もっと誰にでも当てはまる漠然とした心情を歌っていたんですけど、レコーディング直前にそこの歌詞をガラッと書き直したんです。

何かあったんですか?

8月にシンガーソングライターの大先輩である大柴広己さんと対バンをさせてもらったんですけど、それがレコーディングの前日だったんですね。その時に歌った「ライブハウスブレイバー」(2021年8月発表のシングル)と「嵐の中の冒険家」(2019年7月発表のアルバム『歯型』収録曲)の2曲はすごく褒めていただいたのですが、そのライヴで歌った「馬鹿な女」は“歌詞が入ってこん!”と言われまして。確かに「ライブハウスブレイバー」と「嵐の中の冒険家」は僕の実体験をそのまま書いた曲だから、そこに具体的な経験を紡げたことの解像度があるし、熱がある。“じゃあ、「馬鹿な女」ももっと突き詰めないと!”と、その日の夜中に歌詞を書き直しました。大柴さんのおかげですごく気に入った歌詞になって、とても感謝しています。

ちなみにこの物語の描写だと別れを切り出したのが、男なのか女なのかはっきり描かれていないように思えましたが。

そこはですね、男はいつも振られる側…愛想を尽かされる側ですね(苦笑)。

なるほど。先ほど、実体験がもとになったとうかがったので深くは追求しないようにします(笑)。そして、「馬鹿な女」はサウンド的にもノスタルジーを感じるピアノ弾き語りテイストとシンプルなバンドサウンドが融合し、近石さんのエモーショナルなヴォーカルが乗ることで、さらにノスタルジックな温かみと熱を感じる楽曲だと思います。作曲とアレンジ面でこだわったことは?

音数も演奏もできるだけシンプルにして、盛り上がりを全て曲の後半に託したことです。聴く人が物語を追っていけて、一番聴いてもらいたい《お前は馬鹿な女》のサビのフレーズに感情の沸点を感じてほしかったので、あえて1番にはそのサビを置きませんでした。アレンジャーの平畑徹也さんも僕の意図をすごく汲み取ってくれて、途中にすごくお洒落で凝った間奏を交えつつ、ラストに一番の盛り上がりがくるようにしてくださっています。

だから、近石さんのヴォーカルの熱がどんどんと高まって心を揺さぶるんですね。さらに言うと、いつも以上に歌声もまるで一発録りのようなライヴ感がありますね。終盤には近石さんが唾を飲み込み、声を詰まらせながら歌っているところまでが音源化されていて、ものすごい臨場感が迫りました。

そうですよね(笑)。普通だったら絶対にボツにするテイクですし。僕はもともと美しく歌うことが大前提のアカペラグループ出身なんですけど、この曲はきれいに歌ってしまったら絶対に届かないと思ったんです。声を詰まらせるくらいの想いの丈が、この曲の主人公にはある。なので、あえて荒々しいテイクを残してほしいとエンジニアの方に僕からお願いしました。
「馬鹿な女」MV

「馬鹿な女」MV

「馬鹿な女」MV撮影シーン

「馬鹿な女」MV撮影シーン

そんな揺さぶられる感情の発露は、MVの映像にもぶつけられたそうですね。近石さんがピアノを弾きながら歌う演奏シーンも観どころだとうかがいましたよ。

実は昨日撮ったばかりなんですけど、瓦礫だらけの工場で撮影しました。めっちゃ雨を降らせながら撮影したんですよ。そんな中でアップライトピアノを立って弾いたんですけど、もう床がびしょ濡れなので、足が踏ん張れなくて滑っちゃったり、水量が多すぎて自分がどの鍵盤を叩いているのか見失いそうになったり、なかなか大変な撮影を頑張らせてもらいましたね。歌詞にも出てくる踏切シーンも撮ったんですが、電車が全然来なかったり、来たら来たで下校する小学生の集団と遭遇したりで撮影できず、めちゃめちゃ時間がかかりましたね。ロケは大変やなと思い知りました(笑)。

それは完成が楽しみです。ライヴのほうも主に関西地区での出演が数多く予定されています。「馬鹿な女」を聴く機会も増えているのはファンにとっても嬉しいことですね。

はい。ライヴハウスでの対バンや大きなイベントライヴに出演するチャンスも増えました。最近は僕ひとりでキーボードを弾き語る路上ライヴの数も増やしていて。僕のことを何も知らない方が足を止めて観てくれるのがすごく嬉しいんですよ。Twitterでも告知しているので、見かけたらぜひ遊びに来てほしいですね。2ndワンマンライヴもなるべく早く実現したいので楽しみにしていてください。
「馬鹿な女」MV撮影シーン

「馬鹿な女」MV撮影シーン

取材:阿部美香

配信シングル「馬鹿な女」2022年11月9日配信 lemon syrup/NEW WORLD RECORDS

【ライヴ情報】

■『bluer than indigo』
11/24(木) 愛知・名古屋 sunset BLUE
■『下北沢 DY CUBE』
11/25(金) 東京・下北沢 DY CUBE
■『ワンダフル放送局presents 「おもしろいことが起きそうな予感ツアー 大阪編」』
11/30(水) 大阪・アメ村 BEYOND(バンドセット)
※バンドセット
■『【future】 ~ club vijon 20th anniversary ~』
12/01(木) 大阪・北堀江vijon
※O.A出演
■『服部奈緒 2ndシングルリリース直前イベント『宙ぶらりん』』
12/09(金) 東京・新代田crossing
■『バッチこ〜い!KOBE!』
12/18(日) 兵庫・太陽と虎
※バンドセット2マン

近石 涼 プロフィール

チカイシリョウ:1995年12月17日、阪神淡路大震災後の神戸に生まれ、幼少期よりピアノを始める。学生時代にギターを始め、高校生の時からYouTubeにカバー動画をアップしている。初めて作った曲「シンガー」が『COMIN’KOBE16』のオーディションにてグランプリを獲得。20年には関西最大級の音楽コンテスト『eo Music Try 19/20』にて準グランプリを受賞。21年12月にインディーズデビューアルバム『Chameleon』を発売。22年に入り、ワンマンライヴと全国7カ所で『Chameleon Tour 2022』を開催し、配信シングル「自分らしさなんて捨てられれば」「ラベンダー」を発表。同年11月に新曲「馬鹿な女」をリリースした。近石 涼 オフィシャルHP

「馬鹿な女」MV

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」