L→R 本多響平(Dr&Cho)、諒孟(Gu&Cho)、宮原 颯(Vo&Gu)、井口裕馬(Ba&Cho)

L→R 本多響平(Dr&Cho)、諒孟(Gu&Cho)、宮原 颯(Vo&Gu)、井口裕馬(Ba&Cho)

【irienchy インタビュー】
夏の流星群をモチーフにした
片想いソング

サビを聴いた瞬間に
絶対にいい曲になる確信があった

では、新曲「ヒトミシリ流星群」が出来上がるまでの話を聞かせてください。クレジットは作詞が裕馬さん、作曲が響平さんと裕馬さんの共作になっていますが。

諒孟
おおもとは響平が作ってきたんだよね?
本多
そうだね。サウンドのイメージだけで僕がざっくりとしたデモを作って、メンバーに投げたのが最初です。2021年の終わり頃にはみんなで共有していました。
井口
そのまま手つかずで眠っていた感じだったので、僕がメロディーと歌詞をつけてみる流れになりました。以前に「海底」(2021年10月発表ミニアルバム『○○者』収録曲)という曲で生まれて初めて作詞作曲を担当したんですけど、作りながらついサウンドのほうに傾倒しがちなところがあったんですよね。だから、歌詞を大切にした曲作りにトライしてみたくて。

具体的な世界観はバトンを受けた裕馬さんが作っていったということですか?

井口
はい。ロック調のサウンドだった響平のデモに対して、まったく合わないような歌詞をあえて当てはめてみて、試行錯誤するうちに夏の流星群をモチーフにしたラブソングに行き着きました。夏の流星群ってかなり光が強くて、スピードが速いのが特徴らしいんですけど、それが思春期の恋愛経験に似ていると思ったんです。ウズウズして気持ちがすごく燃え上がった反面、振り返ってみると一瞬で過ぎていってしまった感じなので。そんなほろ苦さも込めた曲ですね。

颯さんの声や人間性にも合っている感じの曲でした。

井口
本当ですか!? 僕としては颯くんが歌ってくれることによって、何か化学反応が起きればいいなくらいで。わりとラフなタッチで、自分で歌も入れたオケを渡したんですけどね。
宮原
でも、裕馬からもらった第一稿の音源はめっちゃヤバかったんですよ!
諒孟
申し訳ないんだけど、聴いて思わず笑っちゃうほど癖の強い歌が入っていて。
本多
あははは!
宮原
特にAメロはぶっ飛びすぎていて理解不能だったんで、何度か裕馬に直してもらいました。自分の感情と照らし合わせて納得がいくものじゃないと、やっぱり歌えないですからね。その修正作業を経て、僕らしさも伝わるようにブラッシュアップできたんだと思います。だけど、サビは最初からスッと入ってきて、聴いた瞬間に“絶対にいい曲になる!”っていう確信があったんです。
井口
魅力的な要素もちゃんとあったということで(笑)。サビはもとのバージョンとあまり変わっていないですね。

歌い出しの《わかってるんだよ》は、すごく曲に合っている表現だと思いました。後悔と諦めと希望が混ざったようなニュアンスがあって。

宮原
歌詞に直しを入れていく中で、最後に生まれた部分です。ここは僕も大好きで…分かっていないくせに《わかってるんだよ》と言っているんですよ、この主人公は。片想いした時って“どうせ無理だろうな”とか、結果がだいたい予想できていたりするじゃないですか。でも、どこかでうまくいく可能性を願わずにいられない自分もいる。「ヒトミシリ流星群」はそんな経験がある人に共感してもらえる片想いソングになったと思います。恋愛のどうしようもないモヤモヤを、“あんなに人を好きになれて良かった”という気持ちを、歌と音で絶妙に出せましたから。
井口
ギターの音色でも、そういう切なさを出してもらったりね。人生でまだ2曲目の作詞作曲なので紆余曲折ありましたけど、なんとか完成形に漕ぎ着けた感じです。
本多
裕馬さんらしい曲になったと思う。
宮原
うん。裕馬ってアイドルの曲も好きだから、作ってくるメロディーがむちゃくちゃキャッチーなんですよ。
諒孟
そうそう。僕は初めて聴いた時に乃木坂46やAKB48を彷彿させるキラキラしたメロディーを感じて、その匂いを残したかったんです。となると、さわやかな曲調になりますよね。

アレンジも流れるような展開で、以前よりさらに聴きやすくなった印象があります。

諒孟
実は今回、初めてアレンジャーさんに入ってもらったんです。
宮原
宇多田ヒカルさんをはじめ、幅広いアーティストの方々とお仕事をされている西平 彰さんと作業させていただきました。そういった挑戦をすることで、irienchyがもっと良くなる気がしたし、実際ものすごく勉強になりましたね。
諒孟
コードの選び方とか、歌に対しての装飾音の当て方とか、リズムの作り方とか。いろんな切り口を教えていただいて、発見だらけでした。西平さんのおかげで、もともとあったイントロをすっきりとカットできたりもして。
井口
より削ぎ落としたアレンジにできたんじゃないかと思いますね。
本多
BPMは決して速くないんですけど、疾走感もじんわりとある曲なので、ノリやすさをキープしつつ、あまり余韻を残さないようにドラムは叩きました。

改めて「ヒトミシリ流星群」の聴きどころだと思うポイントは?

本多
間奏でガツンとくる諒孟さんの鬼のタッピングが大好きです!
諒孟
ありがとうございます(笑)。珍しく技巧派なプレイをしました。ギターソロの頭は響平が作ったデモにあった弾き方をそのまま活かしていたりもしますね。サビのディレイでは星が流れる感じをイメージしていて、そこも聴いてほしいです。
井口
僕は歌詞ですね。歌詞を見ながらじっくり楽しんでください。ベースに関しては懐かしい感じや和音的なフレーズを織り交ぜました。
宮原
さっきも言ったんですけど、恋をした時の頭がおかしくなっちゃう感じ…その心情が伝わるように歌ったので、どっぷり入り込んでもらえたら嬉しいです。

そして、今後はさらなる新曲のリリースも予定しているそうですね。

宮原
今回の曲を皮切りに、配信シングルをどんどん出していきたいと考えています。
本多
面白い曲がいっぱいできているし、今の勢いを止めるつもりはないです。
諒孟
すでにライヴでやっている曲もあって、お客さんの反応がすごく良かったりするんですよ。
宮原
逆に「ヒトミシリ流星群」はまだライヴで演奏したことがないから、リリース後のツアーを楽しみにしていてほしいです。
井口
「ヒトミシリ流星群」は僕と響平の共作でしたけど、次回はまた作り手が変わると思います。
宮原
irienchyは全員が曲を作れるからね。メンバー同士で戦っているようなところもあるんですよ。“誰の曲がシングルに採用されるか?”みたいに(笑)。

9月から10月にかけては『irienchy秋のミニツアー2022 ~What a wonderful house!~』が控えていて。

宮原
ツアーはかれこれ3回目ですね。これまでの自分たちがダメだったなんて言うつもりはないんですけど、そう思っちゃうくらいに今のirienchyが仕上がってきているので、たくさんの人に観てもらいたいです。
本多
『AMPLITUDE』のツアーファイナル(2022年4月23日@渋谷CHELSEA HOTEL)と比べても、ガラッと変われている自信があります。“なんて素敵な家なんだ!”というタイトルのとおり、お客さんも対バン相手もひっくるめて参加してよかったと思ってもらえる温かいライヴにしたいですね。みんなで一緒に作るような感じで。
井口
ライヴを重ねるごとに、友達やかかわってくれる人が増えたりして。そういう中で生まれた僕たちの変化を感じ取ってもらえたら楽しいと思います。
諒孟
ツアーを楽しみながら、目の前にある壁をぶち壊していきたいです。
宮原
想いをしっかり伝えて一本一本やりたいですね。当たり前のことができない時期があったからこそ、絶対に後悔しないライヴをしたい。あと、僕がirienchy結成前にそうだったように、悩みをなくすために生きている人って多いと思うんです。そんな経験をした自分がどうしたいかと考えたら、やっぱり“悩みをなくす=みんなを笑顔にする”ために生きたいなって。軽くとらえられてしまいがちだけど、そこはちゃんと言っていきたいです。来てくれた人たちに楽しんでほしい気持ちは、他のどのバンドにも負けません。

取材:田山雄士

配信シングル「ヒトミシリ流星群」2022年9月7日配信リリース BIGRANDE MUSIC

『irienchy秋のミニツアー2022 ~What a wonderful house!~』

9/21(水) 広島・広島CAVE-BE
9/22(木) 福岡・LIVE HOUSE Queblick
9/30(金) 東京・渋谷CHELSEA HOTEL
10/18(火) 愛知・名古屋CLUB UPSET
10/19(水) 大阪・心斎橋Live House Pangea

irienchy プロフィール

イリエンチー:2020年1月、元MOSHIMOの宮原 颯(Vo&Gu)と本多響平(Dr&Cho)が新たに結成。同年4月に1stミニアルバム『START』、23年12月に1stフルアルバム『MISFIT』リリース。恥ずかしいほど正直な心の声や日常に潜んだセンシティブな感覚を紡いだ詩と、どこかほっとするメロディー。ポップにまとまりながら攻撃的な一面のあるテクニカルな演奏など、4人それぞれの感性が絡み合い、先が読めない非凡な可能性と美学を秘めた4ピースバンド。irienchy オフィシャルHP

OKMusic編集部

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