【ライヴアルバム傑作選 Vol.7】
EARTHSHAKERの
『LIVE IN 武道館』が映す
ライヴバンド、
ロックバンドとしての確固たる姿
ベスト盤であるがゆえの一考察
《もっと! もっと! 孤独よ踊れ/もっと 鮮やかに》(M1「MORE」)。
《真夜中過ぎの 孤独のファクトリー/始発を待つ いつものロックハウス/81年の頃 俺たちは集り/手に入れた 金を集めた》(M7「THE NIGHT WE HAD」)。
《汚した傷のあと 数えながら/怯えたloneliness 隠して》(M8「流れた赤い血はなぜ!」)。
《眠る事も忘れ Ah/走る車の音が流れ/繰り返す日々 ひとりの部屋/眠りにつく俺が生まれた》(M10「T-O-K-Y-O」)。
《怯えた Fugitive/怯えた Fugitive 俺は/怯えた Fugitive/怯えた Fugitive 今も》(M12「FUGITIVE」)。
孤独、loneliness、ひとり、M 12ははっきりと孤独ではないが、孤立はしているようだ。この“孤独”は個別に見ると、若者ならではの感情であったり、都会のディスコミュニケーションであったり、社会におけるバンドマンのポジションであったり、さまざまな状況が想像できる。日本の音楽シーンでのハードロック、ヘヴィメタルのステイタスという受け取り方もできるかもしれない。とにかく“孤独”を訴えている局面が多いことは意外だった。だが、その一方で、それだけで終わっていないところにも注目した。“孤独”の対極であったり、“孤独”を乗り越えたところに“夢”があるのである。M7の内容が顕著だが、M6「夢の果てを」はタイトルからしてズバリだ。ラストM13「COME ON」のイントロ前で西田“MARCY”昌史(Vo)は叫ぶ。“壁をぶち壊して、新しい時代を作んのは、やっぱロックやで”“築き上げようぜ、俺たちの時代を! Everybody、Come On!”。さまざまな状況下で“孤独”を感じている者たちのアンセム──それがロックであると宣言しているかのようだ。この力強さはこのバンドの本質でもあったのだろう。それはフェスに代表される、2000年頃からの日本でのロックムーブメントにも共通しているのではないかと思う。そこが確認できたことは個人的には大きな収穫だった。一部でいわゆる“ジャパメタ”ブームの火付け役…的なことを言われることの多いEARTHSHAKERではある。細分化されたジャンルうんぬんで語るのも別に悪くはないが、そのメッセージ性にもう少し目を向けてもいいのではないかと感じたところである。それを実感する意味でも『LIVE IN 武道館』を聴くべき理由はあると思う。
TEXT:帆苅智之
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