男闘呼組、復活! 29年後の世界でオレたちの夜が明けた!

男闘呼組、復活! 29年後の世界でオレたちの夜が明けた!

男闘呼組、復活!
29年後の世界で
オレたちの夜が明けた!

7月16日、その日は突然やってきた! TBS系特別番組『音楽の日2022』に男闘呼組がサプライズ出演! そのニュースに“ついに来たか!”“えっ、いきなり!?”という、歓喜と驚きと興奮が入り混じったけれど、やはりテレビの力はすごいです。長い間待ち望んだファンだけでなく、番組終了後には“男闘呼組”がtwitterのトレンドに上がり、芸能人からの感動の声も続出! どうやら、日本中こぞって過去の映像や音源を辿っている模様。となれば、ぜひ聴いてほしいオススメをタイプの違う曲で選んでみました! どうよ、カッコ良いでしょ!?
「ROLLIN' IN THE DARK」収録アルバム『男闘呼組』/男闘呼組
「LONELY…」収録シングル「秋」/男闘呼組
シングル「ANGEL」/男闘呼組
「彼ら」収録アルバム『5-2 再認識』/男闘呼組
「パズル」収録アルバム『犬も歩けば棒に当たる』/成田昭次

「ROLLIN' IN THE DARK」(’88)
/男闘呼組

「ROLLIN' IN THE DARK」収録アルバム『男闘呼組』/男闘呼組

「ROLLIN' IN THE DARK」収録アルバム『男闘呼組』/男闘呼組

1988年にシングル「DAYBREAK」でデビューした男闘呼組。デビュー前から精力的に活動していたライヴにて欠かせない存在だったのが、1stアルバム『男闘呼組』に収録されている「ROLLIN' IN THE DARK」。ジャニーズとしては異端児的な不良っぽいイメージ、それを一番表現しているのがこの曲じゃないだろうか。《嵐の雨に~》という冒頭から振り切っている成田昭次のワイルドで巻き舌炸裂なヴォーカルが、たまらなくカッコ良い! 近年知ったのだが、実はハードロック/ヘヴィメタル好きの間では男闘呼組を愛聴している人が多いらしい。“アイドルがバンドなんて…”そう思って聴かずにきたことが悔やまれるという声も多いようで、今回SNSでよく見かけた、当時は中高生で“どうせカッコつけてるだけ”そう思っていたけど聴いたらびっくりしたという感想と近いものを感じる。ようやく彼らと彼らの音楽が、色眼鏡なしで評価される時がきたことに感動(泣)。50歳過ぎてもあの頃よりもっと激しく、転がり続けてくれるに違いない、その姿を胸に刻みたいと思います。

「LONELY…」(’88)/男闘呼組

「LONELY…」収録シングル「秋」/男闘呼組

「LONELY…」収録シングル「秋」/男闘呼組

男闘呼組は本当にいい曲がたくさんあるが、いわゆる“名曲枠”に入ると思われるのが、シングル「秋」のB面(当時アナログ盤)に収録され、ファンの間で根強い人気のある「LONELY…」。彼らがデビュー前に初主演し、スポニチ映画コンクールやヨコハマ映画祭などで各賞を受賞した映画『ロックよ、静かに流れよ』のエンディングテーマとしても使用されている。ツッパリとロックと友情がテーマになった実話で、後に自分たちの方向性が見えたと語るメンバーもいたとおり、この作品以降常に笑顔のアイドルではなくなった。そんな節目となった映画のストーリーにて、亡くなった友を想って作ったという設定のこの曲が、ラストシーンでその友のために一本ずつ吹き消すろうそくの、最後の一本が消えた時、エンドロールをバックに響き渡る。その瞬間が何ともいえず感動的で、一度観ると頭に記憶されて、曲を聴くたびに映像付きで脳内再生されるのだ! つまり、映画を観ると最大限にこの曲の魅力が感じられる、ということで…全国の映画館様、ぜひこの名作の上映をご検討お願いします! 

「ANGEL」(’91)/男闘呼組

シングル「ANGEL」/男闘呼組

シングル「ANGEL」/男闘呼組

男闘呼組の他のバンドではあまり見られない強みとして、メンバー全員が詞や曲を書き、ヴォーカルをとれるということが大きいのではないだろうか。それまでアルバムの中では作詞や作曲を数曲手がけてきたが、シングルで初めてオリジナル曲をリリースしたのが6枚目となる「ANGEL」だ。当時、湾岸戦争でイラクが空爆される映像をニュースで観て、ショックを受けたことで高橋一也(現:高橋和也)が作った曲(作曲は成田と共作)。MVでも、捕虜が自白のために入るとされる“赤い部屋”に閉じこもり、体に“人間”と印す高橋を鮮明に覚えているが、残念ながら発売当初に一度だけ観たきり探しても見つけられないでいる。タイプは違うが惚れ惚れするような高橋と成田のツインヴォーカルと、パイプオルガンの音色で始まる美しくも悲しげな印象のこの曲。詞の中に登場する主人公が、1番と2番の終わりに天使に語りかける。《君の住む所なら 夜など 来ないだろう》《君の住む所なら 苦しみは無いだろう?》、そして曲の最後にこう閉めている《君の住む所まで 今すぐに飛んでくよ》。音楽が直接救うことはできないものもあるかもしれない、でもこの復活に夢や希望を感じたり、“生きていて良かった”そう思った人だって確かにいるのです。

「彼ら」(’92)/男闘呼組

「彼ら」収録アルバム『5-2 再認識』/男闘呼組

「彼ら」収録アルバム『5-2 再認識』/男闘呼組

前作から1年4カ月のブランクを経て1992年に発売されたアルバムは、なんと3カ月連続リリースの計37曲! カバー2曲を除く全てがメンバーによる自作曲だ。それまで以上に個々のカラーが判りやすく表れ、そしてロックバンドらしいこの3枚のアルバムが、個人的には全作品の中で一番好きでよく聴いている。その中で、ガチのロック好きにぜひオススメしたいのが『5-2 再認識』の1曲目に収録されている「彼ら」。何がいいって、まず始まりのベースでヤられる(笑)。でもって、曲全体を通して構成が無茶苦茶カッコ良い! ひとつずつ重なってきたり絶妙な場所に入ってきたりする各パートや、そしてそのフレーズや音の全てがいちいちカッコ良い。これを20代前半で作って演奏しているのかと思うと溜息が出る。そして、どうしてももう1曲紹介したいのが…『5-3 無現実』収録の「旋律」。岡本健一の作詞作曲で、彼の別バンドであるADDICT OF THE TRIP MINDSのメンバーがレコーディングにも参加している。こちらも最初に飛び込んでくるギターの音を聴けば、シビレること間違いなし! 終始スリリングなギターと岡本の独特な世界感が漂うナンバー。今回成田もコメントで4つの個性に触れていたが、このアルバムを聴くたびにいつも思っていたことがある。“音楽性の違い”そんなものが彼らに関係あるのなら、このアルバムを出す前にとっくに解散していただろう。そして、再集結することもなかっただろう。ただ一緒に音を出したいと、体中の細胞がそう騒いだだけ。音楽で繋がった絆はそんなやわじゃないから。 

「パズル」(’22)/成田昭次

「パズル」収録アルバム『犬も歩けば棒に当たる』/成田昭次

「パズル」収録アルバム『犬も歩けば棒に当たる』/成田昭次

『音楽の日』で披露された3曲の中で、唯一男闘呼組の楽曲ではなかったのが「パズル」。今年6月にリリースされた成田昭次のミニアルバム『犬も歩けば棒に当たる』に収録されており、ソロライヴではベースを担当していた元JUN SKY WALKER(S)の寺岡呼人が、成田と食事をした際の会話から“ぜひ1曲作らせてほしい”と書き上げたのがこの曲。どんな話をしたのかは分からないが、本人が書いたのかと思わせるほど代弁された歌詞のように思う。若い頃はぴかぴかでギラギラで美しいことがカッコいいと思っているが、色褪せて埃かぶって不恰好で頼りなんかなくたって、不思議なくらい馴染んでそこに笑い合う顔があれば、それが何より素敵なんだと、番組の曲終わりに顔を見合わせて嬉しそうに演奏しているその姿に思い知らされる。そして、放送後に公開された男闘呼組によるこの曲のMVは、わずか5日ですでに50万回再生を超えている。これがまた…涙なしでは観れない、何とも言えない4分34秒で、単純に“仲が良い”というよりは、成田が言った“血はつながってないけれど男4兄弟”という表現がすごくしっくりくる映像が詰まっていた。先日、放送作家の鈴木おさむ氏がこう言っていた。この再結成は相当難易度が高いはず、それを着陸させているっていうのは、全てメンバーの気持ちだと思う、と。2020年の夏に27年振りに集結してからの2年は、きっと映画を一本作れるくらいいろいろなことがあったと思うが、こうして揃った4つのピースをもう二度となくさないよう願って、額縁に入れて飾りたいと思う。活動再開、本当におめでとう!

TEXT:K子。

K子。 プロフィール:神奈川・湘南育ち。“音楽=音を楽しむ”ことを知り、好きな音楽の仕事がしたい!とOLをやめてオリコン株式会社に9年所属。旅行業界に転職後、副業で旅・エンタメ関連のWEBで執筆するも、音楽への愛が止められず出戻り人に。愛情込めまくりのレビューやライヴレポを得意とし、ライヴシチュエーション(ライヴハウス、ホール、アリーナクラス、野外、フェス、海外)による魅え方の違いにやけに興味を示す、体感型邦楽ロック好き。最愛のバンドがついに復活してくれてもう泣くしかない。

OKMusic編集部

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