『Nexus』は4人編成となった
ストレイテナーの
真の1stアルバムと言っていい
自信の漲った作品
バンドの進化でサウンドも歌詞も変化
《そして未来は訪れる/沈み行く太陽は月の影を白く染める/いつか願いは届いて/古ぼけた光が深い闇に消えていくよ》《今夜この街にいるすべての人が/同じ夢を見ているんだって》(M1「クラッシュ」)。
《気流が乱れてうまく飛べないけれど/少しでもいいから近付いていたい/煙る雨 軋む羽/未来へと運ぶ舟》《思考が暴れてうまく言えないけれど/今だけでいいから抱き締めていたい/強く願い 繋ぐ世界/未来へと拓く瞬間まで》(M3「Ark」)。
《生きていたい/いつまでも消えない炎で/肉体を失ってもこの思いだけ》《君がいてくれたら/他に何も望まない》《STRIKE ME WITH LIGHTNING/THEN I COULD COME BACK TO YOUR WORLD》(M4「Lightning」)
《僕らはたまたま同じ船に/乗り合わせただけの赤の他人/明日はすべてが嘘になっても/今日が本当なら大切にしたいよ今を》《生まれて死ぬまで平和を知らずに生きている/子供達へ》《遠回りして迷い込んだ路は/幼い日に見失った景色/僕らはたまたま同じ船に/乗り合わせただけの赤の他人じゃないのさ/わかっていたんだ》《ここでリンクした/ここにリンクした/遠い旅の空の下で》(M10「ネクサス」)。
当時インタビューで、この変化したと言っていい歌詞についての質問を、ストレートにホリエへぶつけると、彼もそこには自覚的だったようで、以下のような返答が戻ってきた。“今までは自分の内面から湧き出てくるものや内側に込めたメッセージを、そのままではなく落とし込みたいと思っていたんですけど、今回は自分の中から…ではなく、自分がおもしろいと思ったものを作りたいという意識があって。今まであまりしてこなかったことをストレートに書くものアリだなと気付いたんですよね”。そのこととバンドが4人編成となったことは因果関係があったのかと突っ込むと、“そうですね”と即答。“曲の世界観が鮮明というか、今までは自分が歌ってみないとその曲が持っている世界が分からないというようなところがあったけれども、4人になってからは自分が歌を乗せる前から曲の世界観が見えちゃう──そういう変化はあるかもしれないです”と続けた。それまでは“暗い曲だけど歌詞では明るいことを言ってみよう”といったところがあったと言うが、本作では暗いなら暗い、明るいなら明るいで、ストレートに書いたという。言い換えれば、分かりやすくなったとも言えるが、それ故に自分のようなものにも理解しやすく、共感し易いアルバムであった。
『Nexus』以降、ストレイテナーにインタビューする機会がなくなったので、オリジナルフルアルバムをちゃんと聴いておらず、もしかすると6th『CREATURES』から10th『Future Soundtrack』に至るまでに彼らの名盤と呼べる作品があるのかもしれないけれども、ここまで綴ってきた経緯から『Nexus』を個人的にはストレイテナーの名盤としたい。そのインタビューでホリエは本作を“これが1stですからね”とも語っていたから、あながちミスチョイスではないだろう。
TEXT:帆苅智之
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