今や海外でも活躍するFLOWの
バンドとして本質が詰まった『GAME』

『GAME』(’04)/FLOW

『GAME』(’04)/FLOW

2019年1月30日。FLOWが10年振りの日本武道館公演『FLOW LIVE BEST 2019 in日本武道館~神祭り~』が開催される(本コラムが公開された時間と開演時間とが同時くらいだろうか)。極めて異例と思える長期タームを経て、再び武道館でワンマンライヴを行なえるというのは、即ち彼らのポテンシャルの高さと言っていいと思う。メジャーデビュー作『GAME』からそのバンドとしての本質を検証してみたい。

パンク日本らしい抑揚を注入

FLOWと言えば、今やアニソンバンドとして世界的にその名を知られる存在であることはみなさんもご承知だろうが、古いリスナーである筆者にとっては、海援隊の「贈る言葉」のカバー曲(2003年)の印象が強い。まずそこからFLOWを語ってみようと思う。

エッジの立ったギターサウンドと性急なリズムとで既発曲を演奏する。これがパンクのカバーの基本であり、それこそSid Viciousによる「My Way」(原曲:Frank Sinatra)など、パンクの黎明期からある手法だし、Hi-STANDARDもさまざまなロック、ポップスをカバーしている。パンクにおいてカバーは当たり前というか、カバーしてこそのパンクといった雰囲気すらあるが、FLOWがあの当時、誰もが知っているフォークソングをパンクにしたことは、実はかなり斬新なことだったのではないかと思う。少し大袈裟な言い方をすると、それは今、彼らが世界的なアニソンバンドとなったことと決して無縁ではなかったのではないかとさえ思うのだ。

筆者はそれほどアニソンに明るくないので半可通なりの分析であることをご承知願いたいが、アニソンが海外で受けるのは歌の抑揚が日本ならではのもので、それが日本以外の方々には新鮮に聴こえるからなのだという。A→B→サビという展開もそうで、“Bメロで溜めてサビで開放!”みたいなものは欧米ではほとんどないと聞く。おそらく“サビ頭”という概念もないだろうから、いきなりキャッチーなメロディーから始まり、A、Bを経てまたサビという構成も海外の人にとっては目新しいものなのだろう。

もっとも、原曲である海援隊の「贈る言葉」は明確にA、B、サビが分かれた構成ではなく、A→B→A´という感じで、上記アニソンの定義に則した感じでもないのだが、FLOWバージョンはご丁寧にサビを頭に足して、しかもそこはリズムレス。Aからバンドサウンドが入るものの、Bでリズムパターンを変化させたりとメリハリを強調している。単にサウンドを荒々しくしたというものではなく、日本らしい歌の抑揚と楽曲構成を何の衒いもなくやっているようにも見える。

メジャーデビュー前後のFLOWは“青春パンク”バンドのひとつとして語られていた。“青春パンク”とは曖昧なジャンルだったが、[1990年代後半頃から起こったメロコアブームやフォークソング・リバイバルを背景としている。]というから([]はWikipediaから引用)、海援隊をカバーしたFLOWがそこに入れられたことは理解できなくもない。だが、そうしたジャンル分けで矮小化するよりも、FLOWの音楽はパンクに日本らしさを導入したハイブリッドなものと見るほうが前向きでいいのではないかと思うし、だからこそ、彼らは世界的なアニソンバンドと成り得たと考える。

若干話が脱線するが、Wikipediaを見ていたら、[2003年の終わり頃からブームは沈静化し、同年より台頭してきたミクスチャーロックバンドや下北系ギターロックバンドに取って代わられるようになる。そのため前述のロードオブメジャーやFLOWなど、新たな方向性を模索するバンドも多く現れた。]([]はWikipediaから引用)とあった。しかし、事ここに至っては、セールスプロモーション的な方向性はともかくとして、“青春パンク”が下火なったからと言って、FLOWがその音楽的方向性を変えることがなかったことは間違いない。そこは訂正したほうがいいのではないかと思う(ロードオブメジャーのことはよく分からないけど…)。

OKMusic編集部

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