今や海外でも活躍するFLOWの
バンドとして本質が詰まった『GAME』
前向きな歌詞とhideへの敬愛
《夢へと向かい 旅立つ僕に「がんばってね」と一言》《夢へと続く長い月日を がむしゃらに走りながら》(M3「流星」)。
《人ひとりじゃ出来ない事ばかり 出来る事それぞれ持ち合えば/やってやれない事はないさ 一歩前へ踏み出せよ!》(M4「Without you」)。
《とてつもなく激しい北風に 叫ぶ声かき消されて/それでも歌い続けてる この思いが昇る朝日に届くまで》(M8「シャリララ」)。
《その視線の先には必ず 僕らが進むべき道があるはず》《その視線の先には必ず 僕らが進むべき道が続いてく》(M11「その先には…」)。
《走れ 走れ オレ達を乗せて/星の彼方へ向かって/進め 進め とどまる事なく/つないだその手離さずに行こう》(M12「ドリームエクスプレス」)。
《流した涙の数だけ 僕らは強くなれるよ/眩い光を胸に ここから歩き出そう/僕たちのこの世界が 暗闇に覆われても/手を取り 愛の歌を 歌っていこう》《かけがえのない今を 共に歩き出そう…》(M13「Hands」)。
もしかするとこれは言うまでもないことなのかもしれないが、『GAME』収録曲の歌詞は前向きなものばかりだ。“未来”“夢”“一歩前”“朝日”“星”“光”“愛”…チョイスされた言葉からしてポジティブな匂いをさせている。英語詞もなくはないが、基本は日本語なので、歌詞には現在FLOWが海外のリスナーからも支持されている要因は見い出せないけれども、こと日本国内においては聴き手を選ばないというか、汎用性が高いということは言えるだろう。メロディもサウンドもポップなので、変に捻ることなく、こうした前向きなのものにしたほうが良かったと思うし、メンバーのキャラクターにも合っていると思う。
そんな歌詞の中から最も注目すべきものを挙げるとするならば、M6「Surprise」だろうか。
《そうね だいたい 同じ毎日/繰り返してく戯れ/それなりに楽しんでる》《通い慣れてる道の途中で/なんとなく 空 見上げ/気づけば ため息ついてる》《HEY BOY! スピード上げて/HEY GIRL! 見つけた未来へ/YEAH 小さなキッカケが Big Surprise》《何千何万の星が キミを彩る/OH! YES!!! 飛び立とう We can do it now!》(M6「Surprise」)。
KOHSHIとTAKEとが中学生の時、代々木競技場第一体育館でのhideのライヴへ行ってステージに挙げられたというエピソードがあることはFLOWファンの多くが知っていると思うし(この映像はhideのライヴビデオにも映っているという)、よしんばそれを知らなかったとしても、上記の歌詞がhide with Spread Beaverの「ROCKET DIVE」のオマージュであることは分かるだろう。ちなみにTAKEはその時に観たステージからの景色があまりにもすごくて、ライヴアーティストになることを決意したそうである。言葉の引用も含めて、リスペクトするアーティストのことを、これまた何の衒いもなく出せる潔さもFLOWのいいところではあると思う。
TEXT:帆苅智之
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