“春の訪れ”とはいつ頃のことを言いますか? これまでともに過ごしてきた友達や先生、そして思い出深い教室などの人や場所と別れを告げるのが3月なので、日々の変化に春の訪れを感じる人もいるでしょう。花粉症の筆者の場合は、その年で初めて花粉をキャッチした日に「まもなく春」と認識し、そこから約1〜2週間が経過した頃に春の訪れを実感しています。そこで今回は「春の訪れを感じる瞬間に聴きたい洋楽5曲」をご紹介します。
「Feel The Earth Move」収録アルバム『Tapestry(つづれおり)』/Carole King
「Everglow」収録アルバム『A Head Full of Dreams』/Coldplay
「Beautiful Day」収録アルバム『All That You Can't Leave Behind』/U2
「Boys Don't Cry」収録アルバム『Boys Don't Cry』/The Cure
「Here Comes The Sun」収録アルバム『Abbey Road』/The Beatles

「Feel The Earth Move」(’71)
/Carole King

「Feel The Earth Move」収録アルバム『Tapestry(つづれおり)』/Carole King

「Feel The Earth Move」収録アルバム『Tapestry(つづれおり)』/Carole King

アメリカのシンガーソングライターの草分け、キャロル・キング。彼女の名盤『Tapestry(つづれおり)』に収録されているこの楽曲は全米1位を獲得したアルバムのオープニングを飾る曲でもあります。タイトルでもあり、歌い出しのフレーズでもある“Feel The Earth Move”は“大地が動くのを感じる”という意味で、恋愛の初期衝動の比喩的表現と考えられますし、力強く響くピアノサウンドがその恋への確信を感じさせます。そしてまた、恋愛と春の訪れは非常によく似たもの。痛快なテンポからは新たな恋が始まるワクワク感があふれ、聴いていると恋愛したい衝動に駆られる一曲。多くのアーティストにカヴァーされているのでさまざなバージョンを楽しんでみてください。

「Everglow」(’16)/Coldplay

「Everglow」収録アルバム『A Head Full of Dreams』/Coldplay

「Everglow」収録アルバム『A Head Full of Dreams』/Coldplay

2015年にリリースしたアルバム『A Head Full of Dreams』のリード曲で、クリス・マーティンがあるサーファーから耳にした“Everglow”という造語をヒントに制作された作品で、大切な人を失ってもその人がくれた闇に輝く光は永遠に輝くだろうと謳うこの曲のレコーディングには、クリスの元妻で女優のグウィネス・パルトロウがバック・コーラスとして参加しています。別れても相手が与えてくれた掛け替えのないものを尊び、ノスタルジーにふける男の心情に共感する人、また、別れてからもこんなふうに想われたら本望という人も多いのではないでしょうか。別れをこれほど美しく、ドラマチックに描写するコールドプレイの音楽とともに黄昏の春を過ごすのもいいですね。

「Beautiful Day」(’00)/U2

「Beautiful Day」収録アルバム『All That You Can't Leave Behind』/U2

「Beautiful Day」収録アルバム『All That You Can't Leave Behind』/U2

アルバム『All That You Can't Leave Behind』の1曲目に収録されたこの曲はバンドが原点回帰、つまりロック路線に戻った楽曲です。グラミー賞では最優秀楽曲賞、最優秀レコード賞、最優秀ロック・グループ賞の3部門入賞、翌年にも同アルバム収録の別楽曲が2年連続で受賞するという前代未聞の快挙を遂げた他、4度目の全英シングルチャート1位を獲得するなどの世界的ヒットシングルとなりました。バンドが旅に出ることを連想させるMVはフランスのシャルルドゴール空港で撮影。メンバー4人が青空に輝く太陽の下でシンプルに演奏するシーンに絡めた何度も飛び立つ飛行機の映像からは“何度でも飛べる”というバンドの確固たる意志を感じずにはいられません。

「Boys Don't Cry」(’79)
/The Cure

「Boys Don't Cry」収録アルバム『Boys Don't Cry』/The Cure

「Boys Don't Cry」収録アルバム『Boys Don't Cry』/The Cure

今年デビュー40周年を迎えたイギリスを代表するバンドのひとつ、ザ・キュアー。今夏には『フジロック』のヘッドライナーとして来日することが決定している彼らが40年前にリリースしたこの作品には去った恋人を忘れられない男の本心が綴られています。本当は足にすがりついて許しを請いたいし、涙だって流したいところだけれど、笑い飛ばしてみたり嘘で塗り固めて本当の自分を見せないのは「男児たるもの、泣いてはいかん!」という幼気な男心。また、1999年に公開された同タイトルの映画『Boys Don't Cry』はこの楽曲からインスピレーションを受けたもの。別れの冬を乗り越え、新たな春を迎えようとしている男性にはこの作品と映画をセットでお薦めします。

「Here Comes The Sun」(’69)
/The Beatles

「Here Comes The Sun」収録アルバム『Abbey Road』/The Beatles

「Here Comes The Sun」収録アルバム『Abbey Road』/The Beatles

最後にご紹介するのはビートルズの春を感じさせてくれる柔らかな風合いの作品です。“孤独だった冬が終わり、今いる場所には太陽が昇る。だから大丈夫”とやさしく繰り返すこの楽曲は、なんと50年前にリリースされたもの! 春は出逢いと別れの季節と称されるだけあってセンチな気分になりがちですが、ビートルズが半世紀前に放った音を聴き、受け止めることで救われ、幸せな時を過ごすことができるのも、そして多くのカバー作品を楽しめるのも、後世に残すことができる音楽という芸術の醍醐味ですよね。ちなみにこの曲は、ジョージ・ハリスンが遊びに行ったエリック・クラプトンの家の庭で、彼のギターを借りて書き上げたという逸話があります。

TEXT:早乙女ゆうこ

早乙女ゆうこ プロフィール:栃木県佐野市出身。音楽を軸に、コンサート制作アシスタント通訳、音楽プロモーション、海外情報リサーチ、翻訳、TV番組進行台本や音楽情報ウェブサイト等でコラムや記事を執筆するなどの業務を担うパラレルワーカー。

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