あれから15年。01年、青春パンク&イ
ンディーズブーム前夜を振り返る5枚

世紀末(1999年)に地球が滅亡することもなく、時代は2000年代へ突入。アメリカではジョージ・ブッシュが大統領に、日本では小泉純一郎が総理大臣に選ばれ、エネルギッシュなふたりが世界を変えてくれるかも知れないと仄かな希望を抱いていた2001年。宇多田ヒカル、浜崎あゆみと二大歌姫がチャートを席巻する華やかな音楽シーンの陰では、後に“青春パンクブーム”と名付けられるムーヴメントが蠢いていた…あれから15年。昔話ばかり語ってるとジジイっぽくてイヤだが、ここでは01年にスポットを当てて、ライヴハウスシーンに革命をもたらした5曲を紹介したい。

1.「東京少年」(’01)/GOING STEAD
Y

01年5月、シングル「東京少年」の発売を記念して、代々木公園野外ステージでのフリーライヴ『東京初期衝動』を開催したGOING STEADY。今思えば、あのライヴがその後の“青春パンクブーム”と呼ばれるムーブメントの幕開けだった。無名だった彼らが約5,000人を集めて熱狂を生んだこの日のライヴは状況を一変し、同年7月にリリースされた2ndアルバム『さくらの唄』でその名を大きく轟かせることとなるゴイステ。峯田和伸のウェットで感傷的な歌声と衝動的かつ激情的な演奏、そして詩情あふれる歌詞世界にガッチリ心掴まれ、彼らのことが大好きになってしまう大名曲。峯田は現在、銀杏BOYZとして活動中。リリースされたばかりの新曲「生きたい」は15分強の超大作。本当に素晴らしいです!

2.「線香花火」(’01)/ガガガSP

“東のGOING STEADY、西のガガガSP”などと比較されることも多かった、自称・神戸のゴキブリ、日本最古の青春パンクバンド、ガガガSP。01年1月、アルバム『ガガガSP登場』でその存在を知り、同年8月にシングルリリースされた「線香花火」を聴いた時、バンドサウンドの異常なほどの熱量と歌の求心力、フォークとパンクを掛け合わせるセンスや滲み出る男臭さと泥臭さ、そして楽曲に秘めたそこはかとないセンチメンタルにドキドキしたのを覚えている。独自の道を歩み続けて15年。今年、デビュー15周年記念ツアーを敢行中のガガガSP。昨年9月にリリースされた、最新ミニアルバム『ミッドナイトinジャパン』も最高カッコ良いです!

3.「あなたに」(’01)/MONGOL800

00年代前半を“インディーズブーム”と括った時、真っ先に名前が浮かぶのがMONGOL800。01年9月にリリースされたアルバム『MESSAGE』収録の「あなたに」がCMソングに使用されたことをきっかけにその存在が世に広まり、『MESSAGE』は現在までに300万枚を超える空前のヒットを記録。当時はあまり馴染みのなかった沖縄のロックだったが、忘れかけてた純粋さや素朴さ、やさしさや温かさを持つモンパチの音楽が、ロックファン以外の層にも響いたというのがヒットの要因なのだろう。現在も沖縄在住、マイペースに活動を続けている。昨年8月にはアルバム『People Peole』をリリースし、全国ツアーも成功。何者にも縛られない、彼らの自由でピースフルな音楽は心洗われるようだ。

4.「BE MY WIFE」(’01)/BEAT CRUS
ADERS

モノクロの自画像お面をかぶった異様なスタイルで登場し、抜群にポップでメロディアス、かつエモーショナルな楽曲でライヴハウスシーンを席巻したBEAT CRUSADERS。まだ4人組の旧メンバー(03年にヒダカ(Vo&Gt)以外の3人が脱退)で活動していた01年、5月にリリースされた旧メンバーとの最高傑作と言えるアルバム『FORESIGHTS』の1曲目がこの曲。日本人離れした底抜けの明るさとポップさとバカバカしさを持つこの曲に、僕は90年代から続くメロコアブームの主流とは異なる、新たな道筋を生み出す期待を感じていた。その後、5人組となりメジャーに移籍すると、ロックバンドの枠を超えた活躍で破竹の勢いを見せた彼ら。現在、ヒダカはTHE STARBEMSのヴォーカリストとして活躍中!

5.「さよならベイビー」(’03)/サン
ボマスター

00年、東洋大学の音楽サークルで知り合ったメンバーで結成され、同年4月に“サンボマスター”として初ライヴ。僕が彼らを初めて観た時は観客よりメンバーが多いような状況だったんだから、世の中どうなるか分からない! しかし、当時から山口 隆のギターは圧倒的で、彼の弾くギターソロに“神が降りた!”と鳥肌が立ったのをはっきり覚えている。01年4月、300枚限定で発売された自主制作盤『キックの鬼』は、昨年5月にリリースされたアルバム『サンボマスターとキミ』の初回限定盤に付属されて、14年振りに日の目を見ることになるのだが。「カンフーロック」がiTunesになかったので、当時から演奏していたこの曲で。ちなみに当時、サンボの出演したイベントで、同じくライヴを観て鳥肌が立ったのが、『鳳』をリリースしたばかりのマキシマム ザ ホルモンでした。すごい時代だった!

著者:フジジュン

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着