“夏の思い出作り”なんていう言い回しがあるくらい、この季節は何かと賑やかですよね。イベントが多く、最近では夏フェスもすっかり風物詩になったわけですが、そんな楽しいあれこれも終わってしまうと一抹の寂しさがあったり、戻せない時間ゆえに愛おしくなったりするものです。今回は「あの夏を思い出す5曲」と題して、切なさ、甘酸っぱさ、ほろ苦さが香るナンバーをセレクトしてみました。それでは、あの夏にプレイバック!

1.「summer FM」('99)/GLAY

今年デビュー20周年を迎え、『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』の開催も話題となっているGLAY。この曲はそんな彼らの15年前のナンバー、すなわち最初の『GLAY EXPO』が行なわれた直後にリリースされたもので、あまり話題に上ることはないかもしれませんが、とても秀逸な(「ここではない、どこかへ」の)B面曲です。夏の陽射しを思わせるイントロのギターに、出だしの歌詞は《いつかの夏の様に 君を海まで連れてくよ》ですよ! さらに、《僕らはどれくらい 一緒にいられるのだろう 汗ばむ手の平に君の気持ちの程が 読めなくて》と甘酸っぱいふたりの様子が男性目線で綴られています。bayfm周辺の千葉市稲毛海岸を舞台にした具体的な描写、さわやかなメロディー、アレンジも素敵!

2.「All memories」('13)/山中さわ

北海道のアーティストからもう1曲。GLAYとも交流がある今年結成25周年のthe pillowsのフロントマン、山中さわお(Vo&Gu)のソロです。孤独や寂寥を実に美しく表現した彼らしい楽曲で、アコースティックギターの音色が印象的に響く中、過去を回想しながら今残っている感触を確かめるという(おそらく)本人の思いが綴られた歌詞が切なくて、特に《フレッドペリーのシャツを着て キミといた夏の日々 防波堤で 冷えたサイダーを飲んだ》のあたりなんて映画みたいにドラマチック。the pillowsで言うと「Beautiful Picture」くらいの隠れた名曲なので、ぜひ聴いてみてくださいませ。あの夏を思い出しながら。3枚目のソロアルバム『破壊的イノベーション』に収録。

3.「Better Together」('05)/Jack
Johnson

夏と言えば、オーガニックなサーフミュージックを奏でるジャック・ジョンソンが聴きたくなりますよね。この曲は、世界的に大ヒットした3rdアルバム『イン・ビトウィーン・ドリームス』に収録された彼の代表作と言っていいでしょう。アコースティックギターのポロロンという音色に始まり、やがて心地良いストロークへ。水のようにスーッと流れてくる歌声が胸に沁み込めば、至福の気分が味わえます。《僕らは一緒にいれば必ずよくなる》と歌うサビがとてもロマンティックだし、思い出の美しさを肯定した詞もあるので、愛おしい夏の出来事を振り返る時にぜひ! やさしい気持ちになれるはずだから。安らぎのBGMとしてもどうぞ。

4.「夏の日」('94)/森高千里

「私の夏」「夏の海」「戻れない夏」などなど森高千里にはたくさんの夏ソングがありますけど、個人的に推しなのはこの「夏の日」です。同時期にリリースした《飲もう》のサビがインパクト大な「気分爽快」とは異なり、ミッドテンポのしっとり路線なのですが、歌詞もアレンジも非常に味わい深くてたまりません。サビの《頬なでる潮風 沖を走る連絡船 小さな幸せを 今はかみしめたい》とか、ものすごく素敵な女心だなぁと思うわけです。旅先で聴いてもグッとくるんですよねぇ。のんびり波を眺めながら、あの夏に記憶を戻してみてください。ちなみに、ドラムも本人が演奏してます。22枚目のシングル曲で、アルバム『STEP BY STEP』やベスト盤『DO THE BEST』にも収録。

5.「The End of Summer」('01)/COA
LTAR OF THE DEEPERS

ロック、デスメタル、エレクトロニカ、ネオアコ、ボサノヴァほか、さまざまなジャンルを混在させた音楽性で人気を誇るディーパーズ。この曲は4thアルバム『NO THANK YOU』に収録の壮大なナンバーで、淡いメロディーとともに降り注ぐ神々しいシューゲイズサウンドがとにかく絶品です。甘く美しい轟音が鳴り響く中、《この夏が 僕達にとって 最後の夏に なるのだろうか》と囁くように歌うNARASAKIのヴォーカル。もう儚すぎて、切なすぎて、涙腺が崩壊してしまいますって! シンプルな構成ながら、夏の終わりの哀愁が秀逸に表現された名曲。全てを忘れてどっぷり思い耽りたい時には、最適なんじゃないでしょうか。

著者:田山雄士

OKMusic編集部

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