“1限つらい~(> <”とか“部活のあと、みんなでラウンド1行ってきた♪”とか、学生のそんなつぶやきをTwitterで見かけるたび、うらやましくてニマニマしてしまいます。当然のことながら自分もそうしたスクールライフを送ってきたわけなんですが、卒業式やその前後となると、今となっては記憶がまったくなかったりして…。当時は卒業気分に合う曲をセレクトして聴くこともしなかったから、ちょっともったいなかったなぁ。やれば良かったなぁなんて思うのです。音楽とリンクしていると、思い出って覚えていることが多いですしね。というわけで、“卒業シーズンに聴きたい5曲”選んでみました。今さらコテコテの歌謡曲セレクトをしても味気ないし、それだと昭和に偏ってしまう気がしたので、今回は平成のナンバーからのチョイスです。

1.「若葉」/スピッツ('08)

2014年夏には日本武道館4公演を含む全国アリーナツアーを行なうことも話題のスピッツの34枚目のシングル。ミリオンを記録した「空も飛べるはず」「チェリー」もいいけど、“卒業”にベストマッチなのはやっぱりコレ! 青春映画『櫻の園-さくらのその-』の主題歌でもあるし、繊細で切ない歌詞が出会いと別れが重なる季節にピッタリです。思い出を大切に紡ぎつつ、前を向いている決意が感じられるのも良くて、新たなステージに萌え出る若者の背中を押してくれるはず。ストリングスが入ってきそうでこなかったり、マンドリンが印象的に使われていたり、彼ららしいアレンジの妙もたっぷりの中、草野マサムネの澄んだ歌声が美しく映えている。どの世代の人にも聴いてほしい一曲。

2.「サラバ青春」/チャットモンチー(
'05)

元メンバーの高橋久美子が卒業をテーマに詞を書き、リクルート『卒おめプロジェクト2007』のCMソングにもなった楽曲で、2008、9年にはメンバーの母校で卒業生のためにパフォーマンスをしたことも。メジャーデビュー作『chatmonchy has come』に収録されており、それ以前の自主制作ミニアルバム『チャットモンチーになりたい』でも別ヴァージョンが聴けることから、バンドにとっての重要曲であることが窺えます。学校のチャイム音をかたどったささやかなベースで始まり、切なさいっぱいの歌声が舞う中で訪れる《何でもない毎日が本当は 記念日だったって今頃気づいたんだ》の一節には思わずハッとさせられる。思い出がフラッシュバックするようなラストのギターソロも秀逸。泣けます。

3.「青春」/おとぎ話('09)

同じくチャイム音のイントロだが、こちらはギターリフのようにがっつりとバンドサウンドで鳴らされていて痛快。同フレーズがアウトロで再び訪れる構成は、僕らが青春時代に繰り返し聞いた始業と終業のチャイムを表わしているのかも。おとぎ話の持つ温かさやキラキラ感はもちろんのこと、楽曲のテーマである少年性が強く打ち出され、賑やかな教室、晴れわたる青空、スプリンクラーで水を撒いたあとのグラウンドの香りなどが鮮やかに甦ってきます。歌にほぼ切れ目がなく、聴き惚れているうちに終わってしまうのも、まるで青春の日々みたいに儚くていい。オリジナルは「青春 GALAXY ep.」に、よりダイレクトな音になったnakedヴァージョンが3rdアルバム『FAIRYTALE』に収録。

4.「春に」/泉まくら('12)

2012年に彗星の如く現れた女性ラッパー、泉まくら。この曲は彼女のデビュー音源『卒業と、それまでのうとうと』に収録されており、話題のdaokoや狐火といったアーティストの楽曲でもお馴染みのトラックメイカー、観音クリエイションがプロデュースを手がけています。卒業に向かって季節がどんどん流れる中で、なんとなく置いてきぼりを感じてしまう女の子のやるせないキモチを絶妙に切り取っていて、誰にでもあるようなありのままの日常がベースになっているのも親しみやすい。人生の岐路に立つ時は戸惑いや不安もあるし、何かとアンニュイな気分になることもあるはず。そんな時に聴いてみてほしい曲です。

5.「グッド・リダンス(タイム・オブ・
ユア・ライフ)」/グリーン・デイ('
97)

洋楽からはコレ。シングルカットもされたグリーン・デイの人気曲で、海外ではもはや卒業ソングの定番と言ってもいいナンバーですが、今の若い人は意外と聴いていない気がしたので、セレクトしてみました。アコギとヴォーカルがメインで進行するという点で、ビリー・ジョー・アームストロングの弾き語りの向きが強く、途中から挿入される優雅なストリングスを含め、パンクロックのイメージがあるリスナーにとっては意外な一曲かもしれません。分岐点を前にした君への“きっとなんとかなる”“これから最高のときを過ごせますように”という歌も、シンプルなギターストロークも力強くてやさしい。5枚目のアルバム『ニムロッド』に収録。2cellosやIMALUがカバーしています。

著者:田山雄士

OKMusic編集部

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