6月も後半に差し掛かり、もうすぐ夏がやって来る。ジメジメした空気から徐々にカラッと明るい風が吹いて、心もなぜかウキウキしてくる頃だろう。夏フェスもどんどん増えてくるし、それ以外にも様々な行楽地に出かける人もいるかもしれません。今回は“初夏”をキーワードに、夏の訪れを感じられるような5曲を選んでみました。独断と偏見によるチョイスなので、その辺はお許しください。

1.「ジターバグ」(’03)/ELLEGARDE
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08年にバンド活動休止を宣言したELLEGARDEN。あるミュージシャンが「活動を止めたら、そのバンドの曲を生で聴くことができなくなる」と言っていたが、確かにその通りだ。バンドは存続する限り、その人たちが作った曲をライヴで聴き続けることができる。この曲は出世作にあたる2ndアルバム『BRING YOUR BOARD!!』に収録されたもので、初めて日本語曲で挑んだ異例の曲だった。ライヴでも必ずプレイされ、多くの観客が歌う光景がいまだに脳裏にこびり付いている。以前の哀愁漂うギターロックサウンドからメロディックパンク路線に一気にギアを切り替え、とりわけこの曲はバンドに明るい日差しをもたらす起爆剤になった。また、いつの日かライヴで聴きたい。

2.「夏の扉」(’81)/松田聖子

ベタすぎるとツッコミを浴びそうですが、曲名、サウンドといい、これほど初夏の幕開けを告げてくれる楽曲もないでしょう。81年に発表された5枚目のシングル曲で、80年代の松田聖子はヒット(名曲)を連発していたが、この曲も思い入れがある人が多いのではないか。湿りを含んだ楽曲が多かった山口百恵とは対極に、明るくて抜けのいいポップソングを歌わせたら、彼女の右に出る者はいない。明るいシンセと軽快なビートに乗って、《フレッシュ!フレッシュ!フレッシュ!》と歌う歌詞も今聴くとストレートすぎるけど、何の違和感もなく聴けてしまうのも聖子マジックと言うもの。ああ、夏が待ち遠しい。

3.「話しかけたかった」(’87)/南野
陽子

もはや年齢がバレそうですが、初めて好きになったアイドルがナンノで、きっかけはテレビ『スケバン刑事』でした。この曲は87年にリリースされた7枚目のシングルであり、オリコン1位を獲得した大ヒットナンバー。アイドルソングとしても完璧な仕上がりと言える胸キュンメロディーのオンパレードです。爽やかなポップ性はもちろん、恋の始まりを予感する女心を歌った歌詞は、まさに“初夏”に位置する心境を綴ったものでしょ!(少し強引ですが) でも、メロディーも本当に文句ナシ、あどけないナンノの歌声には何とも言えない魅力が詰まっています。大人になった今聴いてもまったく色褪せてません。ぜひ、この季節に聴いてみてください。

4.「Mercy」(’15)/MUSE

MUSEのニューアルバム『DRONES』が素晴らしい。既に知っている人も多いと思われるが、バンド史上初の全米1位を取り、22カ国でも1位を獲得する快進撃を見せている。つい先日も今年MAN WITH A MISSIONも出演したサーキット場であるドニントン・パークで毎年開催されている『ダウンロード・フェスティバル』の2日目(6月13日)においても、堂々のヘッドライナーを務めた(ほかのフェスでもヘッドライナー級のポジションで出演)。この曲はMVでも解禁済みだが、イントロから爽やかな鍵盤が印象的なポップチューンに仕上がっている。MUSEらしいデジタル音も効果的で、高揚感溢れるメロディーラインも夏の兆しを感じさせてくれる。

5.「Battle We Have Won」(’96)/E
RIC JOHNSON

いきなりですが、個人的に大好きな三大ギタリストがランディ・ローズ、ゲイリー・ムーア、そして、このエリック・ジョンソンという人なんです。最初に挙げたふたりはメタル畑の人ですが、エリックはそれとはだいぶ毛色が異なり、ジャズ、フュージョン、ブルース、カントリーなど多彩なジャンルを消化して、唯一無二のトーンを奏でる天才ギタリスト。ギターの腕前はもちろん、自らヴォーカルも務め、天は何物を与えれば気が済むんだ!と言いたくなるほど、豊かな才能を持っています。特のこの曲が収録された3rdアルバム『VENUS ISLE』は大傑作で、メロディーの美しさに悶絶する佳曲ばかり。この淡い明るさを放つ美メロは、この季節に聴くにはぴったりです。

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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